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| 第6回:「起業・独立開業」ガイド 藤井 孝一 |
2004年03月16日
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| 「All About」を支える約280名のガイド。ガイドは一つのテーマに一人だけ。厳しい審査を何度も通りぬけ、そのテーマのナビゲーターとなる。彼らがそのテーマに魅せられた理由とは?All Aboutを通して発信したいこととは何なのか?このインタビューでガイドたちの素顔に迫ります。 |
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| Photo by Hideo Matsumura |
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| 編集長インタビュー第6回目は、起業・独立開業ガイドの藤井孝一さん。藤井さんは、経営コンサルタントとして中小企業のコンサルティングをするかたわら、週末起業という起業スタイルを発案。昨年ご執筆された『週末起業』(筑摩書房)は八重洲ブックセンタービジネス書部門で、8週連続第1位という記録を樹立しました。今回は、藤井さんのこれまでの歩みや、週末起業という新スタイルの働き方についていろいろお話を伺ってみました。 |
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| 正解のない時代だからこそ… |
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| “雇われ根性”からの脱却 |
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- 森川:
- 昨年、出版された『週末起業』、売れ行き好調のようですね。
- 藤井:
- おかげさまで…。この不景気でみなさん「リストラされたらどうしよう」とか、「老後はどうしよう」とか、いろいろ、不安を抱えていらっしゃいますからね。
その不安を解消するには、ただ世の中を傍観しているだけでなく、週末のあいている時間にでも自分の好きなことで起業してみたら?という提案が、すごく受けたみたいで、いろいろ問合せを受けるようになりました。
- 森川:
- 藤井さんご自身、週末起業経験者なんですよね?
- 藤井:
- ええ。僕はもともと、金融会社で働いていて、バブル期には“ヤンエグ”などと騒がれた世代なのですが、だんだん景気が悪くなってきましてね。組織の矛盾といったものをいろいろ感じるようになったんです。それで、以前から興味のあったコンサルタントにでもなろうと、まずは中小企業診断士の資格をとることにしました。
- 森川:
- 今みたいに何をしていいかわからない時代には「まず資格!」と考えられる方が多いようですね。私のまわりにも資格フリークが結構います。
- 藤井:
- 僕の場合、資格を取得するや否や、すぐに独立しようとしていたのですが、知り合いのコンサルタントに「資格をもっているだけでいきなり独立はムリ。独立する前に、サラリーマンをやりながら顧客開拓をしておかないと、食べていけないよ」と言われましてね。
ならば「サラリーマンをやりながら、2年でサラリーマンを凌ぐ売上を稼ぎ出してやる」と、二足のワラジを履くことにしたんです。
- 森川:
- その選択は正しかったと思いますか?
- 藤井:
- ええ。あのとき、資格を取得しただけで会社を辞めていたら…、と思うとゾッとします。というのも、経営コンサルタントというのは、売込みをしたからといって仕事をいただけるワケではなく、雑誌や本に原稿を書いたり、講演会をしたりして、それに興味をもった経営者の方が仕事の依頼をしてくるといった形のスタイルなんですよね。
駆け出しのコンサルタントがいきなり原稿を書いたり講演したりできるワケもなく、僕自身、はじめの頃は売れっ子コンサルタントの“おこぼれみたい”な仕事ばかりしていました。その際、会社からのお給料がなかったら…、家族を養うために何か別の道を考えることも余儀なくされたのではないかと思うんですよ。
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- 森川:
- 藤井さんの場合、その状況をどうやって打開されたんですか?
- 藤井:
- 実はそれが、メールマガジンなんです。出版社でボツにされた原稿をそのまま捨ててしまうのはもったいない、と思いましてね。
それを“まぐまぐ”でメールマガジンにして発行していたら、編集者の人が「おもしろい」と言ってくださって、雑誌への連載を頼まれるようになったんです。そこから講演の依頼を頼まれるようになり…、目標としていた2年での独立へこぎつけることができたんです。
- 森川:
- なるほど。実際に独立されてみて、現在の心境の変化というのはどんな感じですか?
- 藤井:
- ええ。何より時間的にも、金銭的にも自由な「雇われない生き方」をしているということに、精神的満足を感じます。というのも、僕がサラリーマン時代に感じていたストレスは何なのかといったら、給与所得者である以上、会社に依存した生き方しかできない、ということ。それはすごくリスキーだと思ったんですね。
- 森川:
- 確かにサラリーマンであるということは守られている分、いろいろな制約がありますからね。
- 藤井:
- その防衛策として、転職とか、資格取得とか、独立起業とか、いろいろあると思うのですが、転職は雇い先である会社が変わるだけで根本的な解決にならないし、資格取得も就職や転職を有利にする武器にはなるけど、これ自体が「雇われる生き方」を根本的に解消することにはならない。
そこで、独立起業というのが出てくるんですが、独立起業というのは「雇われない生き方」であるのと同時に、すべて自己責任で、リスクも高い。また、会社を辞めて、その勝負に打って出たからといって、必ずしも成功できるワケでもない。
そう考えたときに、会社勤めをしながらできる週末起業というのは自分の人生において、リスクヘッジをしながら、勝負に出ることができる、まさにサラリーマンに打ってつけの方法なのではと思うようになったんです。そしてこの素晴らしさを、みんなに伝えていかなきゃ、と思ったんですよね。
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| 転職でも、独立でもなく |
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| 35歳を過ぎて自己実現するには… |
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- 森川:
- こういったご時世ですし、週末起業を目指す方はどんどん増えてきているのではないでしょうか?
- 藤井:
- いえいえ。やってみたいと「思う」方は多いようなのですが、実際に「行動する」方はほんのひと握りなんですよ。
- 森川:
- 実際に週末起業される方というのは、どんな方が多いのですか?
- 藤井:
- 35歳以上の方が多いですね。
- 森川:
- え、まさにAllAboutのメイン世代と一緒ですね。もっと若い方が多いと思っていたのですが…。
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- 藤井:
- 若い方の場合、他にも転職とか独立とか、いろいろな選択肢がありますからね。35歳を過ぎると、転職するのも難しい年齢に差し掛かってくるじゃないですか。社内でのポジションも先が見えてくる。
そんな中で「独立」を考えるものの、家族もいれば、住宅ローンもある…。そこである種「消去法」的に週末起業というのが浮かび上がってくるようなんですよね。
- 森川:
- 私もそうなのですが…、バブルを経験している世代って、なんだかいつも夢見がちで、アーリーリタイアメントでハワイに永住したい、なんていう夢をいつも心のどこかで本気で考えていたりしませんか?
- 藤井:
- 確かに。そんなところはありますね。そういった夢をいつかは実現したいという欲求が、われわれ世代を突き動かしている部分はあるかもしれませんね。
- 森川:
- 週末起業を考える方の中には、女性の方も多いのですか?
- 藤井:
- いえいえ、女性の場合、男性が家族のことを考え、会社を辞めることを躊躇するのに比べると、自分の好きなことのために会社を飛び出ることに抵抗がないケースが多いようですね。
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| 好きなことがお金になる? |
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| 藤井流、週末起業術 |
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- 森川:
- 週末起業というのは大体、いくらくらい稼ぐことができるものなのですか?
- 藤井:
- 人にもよりけりなのですが…、現在のサラリーマンの年収が大体600万円前後だとすると、それくらい稼いでいる方はざらにいます。
とくにうまくいきやすいのはオンラインショップで「モノを売る」というより、僕みたいに「コンサルティング」的なビジネス。オンラインショップというのは、インターネットのような情報が行き交う場所ではなかなか価格以外に差別化が難しい。
一方「コンサルティング」型の、本や雑誌に原稿を書いたり、講演するといったビジネスは自分独自のものなので、確実に差別化がはかれるし、単価もね、ある程度以上のものが見込めるのですよ。
- 森川:
- わたし自身『週末起業』を読んで「何かできないかなあ」と考えてみたのですが、なかなかコレといったものが思い浮かばなくって…。ビジネスソースはどういった形で見つけていけばいいのでしょうか?
- 藤井:
- 日本の場合、これまであまり起業する、ということを自分自身の問題としてとらえたことのある人のほうが少ないので、まずはこれまで自分がやってきたことや得意なことを棚卸しする、といった時間をとってみるといいかもしれませんね。
それと意外かもしれないのですが「儲かる」から考えるより「好き」を先に考えたほうが、うまくいくケースが多いのですよ。
- 森川:
- 「儲かる」より「好き」ですか?
- 藤井:
- ええ。儲かるということから考えると、どうしてもアイデアとして、おもしろいモノを捨てやすくなんですよね。
たとえばAll About夜景ガイドの丸々さんなど、夜景を武器に、夜景の楽しみ方に関する講座やカルチャースクールを開催したり、夜景の写真をインターネットで販売したり、「夜景ナビ」という携帯電話のコンテンツを開発提供したり、といった他ではなかなか考えつかないようなビジネス展開をしているのですが、これなども「好き」をベースにしなければ、なかなか考えつかないビジネスモデルだと思うんですよ。
そのほか、今流行りのコーチングだって、「人の話を聞く」ということを主体にビジネスモデルを構築しているわけで…、まずはあまりマーケットや商品といったものを気にせずに「好きなこと」から考えたほうがいいと思うのですよ。
- 森川:
- なるほど。それなら、AllAboutのガイドはまさに1つの週末起業の形ですね。私もじっくり考えてみようかな。意外な発見ができるかも…。藤井さんが「コンサルタント」を選ばれたのも「好き」が高じてなのですか?
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- 藤井:
- ええ、僕、本当は学校の教師になりたいと思っていて、でもビジネスを10年もやったあとだったから、ビジネスを教える教師、コンサルタントがいいかなあ、と。
ほかにもダイビング屋さんとか、本屋さんとかいろいろ考えたのですけど、最終的には“好き”と“ビジネス”がうまくシンクロする仕事として、この仕事を選びました。
週末起業って、基本的に元手をかけずに始めることを勧めているのですが、そうはいっても自分の人生という貴重な時間をとられることになるわけですからね。だからこそ「お金にはならなかったけど、好きなことをやって楽しんだからいいや」と思えるかどうかというのは、起業ネタを選ぶ上ですごく大事な視点だと思うんですよね。
- 森川:
- 藤井さんは『週末起業』の中で、本当に好きなことであれば、寝る間も惜しんでやりたくなる、と書かれておられましたが、本当にそんな感じでやっていけるものなのですか?
- 藤井:
- ええ。よくみなさん「時間がない」とおっしゃるんですが、「じゃあ、もっと早く起きたらいいじゃないですか?」といったときに、「朝は眠くて起きられない」とおっしゃる。そう言いながらも、会社があるときには会社に間に合うように、きちんと起きられるわけじゃないですか?
で、あれば、会社でやることよりも好きなことであれば、その前に起きればいい。起きられるはずだと思うんですよね。現に僕、中小企業診断士の勉強始めたころから、朝の4時に起きているんですが、もっと睡眠時間削ってもやりたい、と思うことばかりなんですよ。
- 森川:
- すごいですね…。やっぱりそれだけの強い情熱があるから、成功できているんですね。わたしの場合、そこまでのものはなかなかないのかもしれません。。。
- 藤井:
- もしかしたら本業で本当にやりたいことがすでにできている幸せな人なのかもしれませんよ。ただ、何をするにしろ、「想い」というのは大切ですね。「なにくそ、自分の好きなことで成功してやるぞ!」っていうね。
今の世の中、それを会社任せにして人生設計している人がすごく多いのですが、自分の人生は自分でシナリオを書いて、自分が主役を演じないと。そうでないと、せっかくの人生、本当に本当に、もったいないと思うんですよね。
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