All About トップ    編集長インタビュー    第51回:「輸入車」ガイド  西川 淳


「輸入車」ガイド:西川 淳

第51回:「輸入車」ガイド
西川 淳

2008年1月15日


「All About」を支える約500名のガイド。ガイドは一つのテーマに一人だけ。厳しいいくつもの審査を通りぬけ、そのテーマのナビゲーターとなる。彼らがそのテーマに魅せられた理由とは? All Aboutを通して発信したいこととは何なのか? このインタビューでガイドたちの素顔に迫ります。

ガイシャは文化です!クルマも料理や旅行と同じ

「輸入車」ガイド:西川 淳
「輸入車」ガイド:西川 淳

左:「輸入車」ガイド
西川 淳/
右:編集長 森川 さゆり

編集長:森川さゆりと「輸入車」ガイド:西川 淳

Photo by Naoaki Yamamoto


AllAboutオープン時から「イタリア車」ガイドを務めてこられた西川淳さんが、新サイト「輸入車」をスタートさせます。自他共に認めるイタリア車好きの西川さん、宗旨替えをしたのでしょうか? それとも何か、モータージャーナリストとしての“思い”があるのでしょうか?

ガイシャ原体験はスーパーカー

クルマの好き嫌いはカタチから

――
「イタリア車」ガイドを務めていただいたこともあって、「西川さんといえばイタリア車」というイメージがありますが……

西川
イタリア車専門ってわけじゃないですよ(笑)。ドイツ車も好きだし、最近ではアメリア車もすごく興味がある。もちろんイタリア車への思い入れは強い。クルマとの最初の出会いは70年代の「スーパーカー・ブーム」だったんです。スーパーカーって、ほとんどがイタリア車ですからね。フェラーリにしろランボルギーニにしろ。そこからですね、イタ車好きは。

クルマだけでなく、イタリアが好きなんです。イタリアに興味を持つようになったのは、クルマ業界に入る前。リクルートで営業をやっていた頃だから、89年やったかなぁ。大阪で営業中にものすごく旨いイタリアワインに出会って、「そういえばイタリアはオレの原点やったんや」と。そこからクルマだけでなく、料理、ファッションとイタリア文化に全般に興味を持つようになりました。

――
西川さんの場合、クルマのどこをみて「好き、嫌い」って判断するんですか?

西川
何といってもカタチです! 「どうしてそのカタチが好き?」と聞かれると困りますが。いうなればクルマを降りたあと、振り返ってみたいか、振り返りたくないか、の違い。分かりますか?

――
なんとなく(笑)。で、カタチが気に入ったクルマを集めてみたら、愛車が10台になったわけですね。でも、そんなに乗れないですよね?

西川
僕は所有欲が強いんです。女性が指輪をたくさん買うのと一緒。指はそんなにないじゃないですか。ついでにいうと、2008年にはアルファロメオの8C(コンペティツィオーネ)が愛車に加わります。しかも納車は何月になるかわからないという。

――
エルメスのバーキンみたい……それにしても奥さんはよく許してくれますね。

西川
あきらめてますね。でも近々、愛車を10台から3台にしようと思ってるんです。ホントですって! 自分のダイエットの前に、クルマをダイエット……。この苦行(3台のセレクト)を乗り越えたら、何かが見える気がするんですよね。

ドイツ車の強面には理由がある

お国柄の違いが輸入車の魅力

――
「クルマは単なる移動手段だ」と考えている方も多いと思うのですが、西川さんがのめりこむ輸入車の魅力って何なのでしょうか?

西川
確かにそうですね。昨今の「エコ」の流れもそうですが、移動手段としてのクルマの進歩は素晴らしいと思います。それはそれでもちろん重要ですが、クルマはそれだけじゃない。クルマ、とくに輸入車はもっと文化的な側面をもっていると思うんです。

たとえば海外ではクラシックカーレースが市民権を得ていますよね。老いも若きもクルマのレースを夢中になって応援する。そういった文化が日本にもほしい。ガイシャは、(クルマそのものの存在だけでなく)ここに至るまでの歴史、文化を教えてくれるんです。日本人がガイシャに乗ることは、その国の文化に触れるということになるんです。

――
なるほど。「お国柄」ってクルマに出るんですか?

西川
ムチャクチャ出ますよ。一時期それがなくなるって言われたんです。いまやデザインも市場もグローバル化が進んでいますが、世界中で売ろうと思ったら、逆にローカルな特徴がないと売れない。だから逆にお国柄が強くなりつつあるんです。

たとえば、ドイツ車って日本車の品質のよさをとりいれて、日本車っぽくなった時期もあったんです。でも最近のモデルは、高速道路での安定感とか造りの骨太さとか、高速道路で後ろから迫ってきたらよけたくなるような顔つきなんかはやっぱりドイツ車ならでは。メルセデスやBMW、アウディなんかすごいですよぉ。最近ではフォルクスワーゲンも怖い。

フランスには「フランスとラテン諸国以外では売らんでもでええわ」みたいなメーカーもあります。だからこそ世界のスタンダードから外れたユニークなものが出てきたりしますよね。乗り心地は相変わらずフランス車らしく柔らかいし。

ガイシャにはその国の生活や考え方が反映されます。海外ブランドは自国で評価されないことには始まりませんから、自国をベースに考えますし、歴史もありますから。だからデザイナーが日本人で商品企画がドイツ人、工場がハンガリーにあったとしてもフランス車ができるわけです。

――
じゃあ、「輸入車サイト」ではいろいろなお国柄が楽しめるわけですね。

西川
ガイシャ比較はお国柄比較ですから。今日はパスタ食べたけど、明日はステーキにしようかな、みたいな。フレンチを毎日食べても飽きない、と思い込んでいる人に対して、パスタやステーキもいいよ、といろいろと教えていきたいですね。

想像以上にガイシャの世界は深い

イタリア人にはなれないけど……

――
「イタリア車」と「輸入車」、ガイドとしての意識は違いますか?

西川
(国を)限定せずに書ける楽しさはありますね。これって、食べ物やファッションと一緒。イタリアものだけを極めるのもいいけど、やっぱりトータルに語るにはフランスやイギリスを知らないとダメでしょ。イタリア車好きの人々も引き続き「輸入車」を見ていただいて、「やっぱりイタ車いいな」という人がいてもいいし、「ドイツ車、買ってみようかな」と思ってもらえるとうれしい。

せっかくのクルマ好き、しかも輸入車っていうニッチなマーケットに興味があるんだから、いろんなクルマを味わってみてほしい。他の人が知らないクルマの世界を知ってほしいし、知ることで自分の生活が変わる。ホント、変わるんですよ。ライフスタイルが変わったり、友達がかわったり。

――
最後に輸入車を買う読者へアドバイスをお願いします。

西川
ウワサには惑わされずクルマを見てほしいですね。たとえばベンツは○○○だとか、フォルクスワーゲンは△△△だといった先入観では見ないでほしいんです。

まずは、ちょっとでも気になったら見に行ってほしい。できれば少しでもいいから乗ってみて、エンジンをかけてみてほしいですね。僕は「こういうところを見ると面白いとよ」とか、「乗るときにこんなところに注目してほしい」というアドバイスはできます。僕の記事を見て、気になったり、「ホンマかいな」なんて思うことがあったら、まず実物に触れてほしい。

クルマも旅行や料理と一緒ですよ。たとえばパリ。聞いているのと行ってみるのでは全然違うじゃないですか。そんな全然違うパリにひかれたりする。そんなことが、皆さんが想像するよりも輸入車にはいっぱいある。それが異文化というものです。

僕らは一生、イタリア人にはなれないしドイツ人にはなれない。でも彼らがいいと思ったことは発見できるかもしれないですから。

西川さんがよく利用するAll Aboutのサイト