睡眠/睡眠歳時記・季節ごとの快眠法

熱帯夜に負けない快眠法…今すぐできる簡単な対策は?

【医師が解説】暑い夏を健康に乗り切るためには、ぐっすり眠ってその日のうちに心と体の疲れを取ることが大切。熱帯夜でも快眠するために、生活習慣と睡眠環境を工夫しましょう。今日から取り入れられる簡単なコツを時間別にご紹介します。

坪田 聡

執筆者:坪田 聡

医師 / 睡眠ガイド

熱い夏を乗り切るために大切な「睡眠」

眠そうな女性

元気に夏を乗り切るために、質の良い睡眠を取ることは大切です


暑くて寝苦しい夏ほど、質のよい睡眠をとる必要があります。今日からすぐ実行できる、睡眠の改善のためのアイデアをご紹介します。
 

熱帯夜でも快眠するために……夕方にすべきこと・避けるべきこと

まず、できそうなことから、挑戦してみましょう

まず、できそうなことから、挑戦してみましょう

■ 午後3時以降は、昼寝・居眠りしない
昼寝をするなら、正午から午後3時までに、20~30分間にしておきましょう。それより遅い時間帯だと、夜の睡眠に悪い影響が出てしまいます。また、30分以上眠ると、睡眠が深くなるため、目覚めたあと脳の働きが元に戻るまで、時間がかかってしまいます。

■ 夕方以降は、強い光を浴びない
光には、体内時計をコントロールする最強の働きがあります。活動的な日中は強い光が必要ですが、眠りの準備に入る夕方以降は、少しずつ暗い環境にしていきましょう。遅い時間になって、コンビニやドラッグストアなどで強い光を浴びると、覚醒度が上がってしまい寝つきが悪くなります。特に青色の光には、要注意です。

■ 夕方に、軽い運動をする
体温には、深夜から早朝に低く、午後の遅い時間から夕方に高くなるというリズムがあります。このリズムがはっきりしてメリハリがきいていると、ぐっすり眠ることができます。運動習慣がない人は、ウォーキングなど軽めのものから始めましょう。

夕食は、眠る時刻の3時間前までに終える
胃腸には第2の体内時計があります。いわゆる「腹時計」です。胃腸が消化のために働いている間は、ぐっすり眠ることができません。肉や脂っこいものは消化に時間がかかるので、夕食は炭水化物を中心とした和食がお勧めです。夜の食事は、栄養素の吸収の効率が高いので、太らないためにも軽めにしておきましょう。

■ 晩酌は、日本酒1合、ビール中瓶1本、ワインはグラス2杯まで
アルコールは、脳の覚醒中枢を麻痺させることで、催眠作用を発揮します。少量のアルコールなら、寝つきがよくなり眠りも深くなりますが、途中で目覚めやすくもなります。

■ カフェインは、眠る4時間前までに
興奮作用があるカフェインは、若い人で1~2時間、高齢者では4~5時間以上、体の中に残ります。カフェインに弱い体質の人は、夕食後に飲むものをノンカフェインの麦茶やハーブティーに変えましょう。チョコレートやココア、栄養ドリンクの一部にもカフェインが含まれているので、要注意です。
 

熱帯夜でも快眠するために……快眠につながる夜の過ごし方

アロマは、直接脳に作用してリラックスさせてくれます

アロマは、直接脳に作用してリラックスさせてくれます

■ タバコは、眠る1時間前には止める
ニコチンは、交感神経を刺激してアドレナリンの分泌を促し、体と心を興奮させます。タバコを吸うことによるリラックス効果よりも、ニコチンの覚醒作用のほうが強力です。

■ 眠る時刻の1~2時間前に入浴する
体温がいったん上がった後、体が冷めてくるときに眠気が強くなります。寝床につく予定時刻のしばらく前に、38~40℃のぬるめのお湯に、20~30分つかりましょう。お風呂に入ると、リラックス効果も期待できます。

■ 眠る1~2時間前は、リラックスタイムにする
不眠の原因の多くは、ストレスによるものです。その日一日に溜まったストレスは、眠る前に解消しておきたいものです。心から楽しめる趣味や、軽めの読書、静かな音楽の鑑賞などがお勧めです。いくら好きなことでも、興奮してしまうことや、のめりこんで眠る時間になっても切り上げられないことは、やめておきましょう。

■ 眠る1時間前は、ディスプレイを見ない
テレビやコンピューターの画面を見ていると、チカチカした光が、眠気を覚ましてしまいます。睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌を、抑えてしまうことが原因です。

■ 眠る1時間前は、携帯電話でメールしない
大きな画面だけではありません。イギリスの研究では、ベッドに入る前にメールをチェックすることは、エスプレッソ2杯分と同じ程度の不眠効果があることが分かりました。また、電磁波が睡眠障害に関連している可能性も、指摘されています。

■ 寝室を室温25~28度、湿度50~60%にする
高温多湿の日本の夏の夜を快適に乗り切るためには、エアコンや扇風機などを上手に使いましょう。特に、寝ついてからの3時間を理想的な環境に保つと、高い質の睡眠が得られます。

■ 眠くなってから寝床に就く
不眠に対する薬を使わない治療法の1つに、「刺激コントロール法」があります。この療法を行うときの、基本のルールです。眠くないのに寝床でゴロゴロしているのは、時間の無駄! その上、布団に入ってもなかなか眠られない状態が続くと、そのこと自体がストレスとなり、不眠の原因にもなります。

■ 寝床を睡眠とセックス以外に使わない
「刺激コントロール療法」の2つ目のルールです。これは、寝床と睡眠を関連づけて、寝床に入ると眠れるように条件反射を刷り込むためのものです。昼夜を問わず、寝床で本を読んだり、テレビを見たり、お菓子を食べるのはやめましょう。

■ 眠る前に、翌朝の起きる時刻を強く念じる
楽しい予定があると、朝早くても自然に目が覚めます。自分が起きたい時刻に目を覚ますことを、「自己覚醒法」といいます。これは練習すれば、3人に1人は身に付けられるスキルです。まず、眠るときに起床時刻を強く意識します。うまくいったら、自分にご褒美をあげると、精度が増してきます。

■ 寝床に就いて30分寝つけなかったら、起き出して他の部屋に行く
寝床に横たわって目をつぶっても、なかなか寝つけないのは辛いものです。睡眠障害がない人なら、15分以内に寝ついてしまいますから、30分たっても眠れないのなら、思い切って起きてしまい、他の部屋で楽しいことをしましょう。そして、再び眠くなってきたら、寝床に入ります。

次に、快眠のための朝習慣と日中の過ごし方のコツをご紹介します。
 

熱帯夜でも快眠するために……快眠の準備を朝から始める!

朝食をしっかり摂ると、幸せホルモンのセロトニンの分泌が増えます

朝食をしっかり摂ると、幸せホルモンのセロトニンの分泌が増えます

■ 平日は、一定の時刻に起きる
睡眠と覚醒が規則正しいリズムで繰り返されていると、体内時計の調子も良くなり、健康な毎日を過ごせます。睡眠時間の長短だけでなく、生活のリズムにも気を配りましょう。

■休日でも平日+2時間以内に起きる
平日の睡眠不足を補うために、休日に長く眠ること利にかなったことです。でも、寝過ぎは良くありません。ダラダラと眠っている時間は気持ちよいものですが、実は、睡眠の効率としてはよくありません。

■目が覚めたら、布団の中で軽く体を動かす
低血圧や低体温の人は、朝が苦手です。目が覚めたらまず、布団の中でストレッチングやアイソメトリックスなどの軽い運動をして、血圧と体温を上げましょう。低血糖気味の人は、枕元に「おめざ」を置いておくのも、よいかもしれません。

■布団を出たら、すぐに太陽の光を浴びる
人の体内時計は1周期が約25時間で、地球の1日の周期・24時間とは少しずれています。そのため、体内時計は朝の光を感じると、時計をリセットして新しい1日が始まります。外に出なくても、窓の近くに行くだけで、十分な光を浴びることができます。

■起きたら、熱めのシャワーを浴びる
熱いお湯は、交感神経を刺激して、体と心の活動の準備を促します。朝にシャワーを浴びると、爽快感が増し、疲労感が減少するため、すぐに目覚めの効果が実感できます。さらに、モチベーションや集中度が上がるという報告もあります。もちろん、時間があれば、お風呂に入るのもよいでしょう。

■朝食は必ずとる
長い絶食の後、お腹に食べ物が入ると、胃腸にある第2の体内時計も目を覚まします。また、脳の栄養源はブドウ糖だけですが、血液中のブドウ糖の量=血糖値は、朝食前に最低の値となります。しっかり朝ごはんを食べて、充実した1日のスタートを切りましょう。

■必要な睡眠時間と睡眠の周期を知る
いろいろな統計から、平均睡眠時間が7~8時間の人が、もっとも健康な生活を送る可能性が高いことが、分かっています。でも、睡眠はとても個性的なもの。6時間も眠れば元気いっぱいな人もいれば、10時間眠らないと調子が悪い人もいます。一番大事なことは、最も調子が良くなる睡眠時間と睡眠の周期を知って、それに合わせた生活をすることです。
 

熱帯夜でも快眠するために……睡眠の質は日中の活動量で決まると心得る

お昼寝には、枕を使いましょう

お昼寝には、枕を使いましょう

■ 1日に1万歩、歩く
睡眠の目的のひとつは、心と体の疲労を回復させることです。ということは、あまり疲れていなければ、眠らなくてよいことになります。運動不足気味の人は、ウォーキングから始めてみましょう。

■ 布団を干す
寝つきの悪さや熟睡感のなさの原因が、不潔な布団であることがあります。湿ったままの布団は、ダニやカビでいっぱいです! できれば1週間に1回は、掛け布団だけでなく敷き布団も、干すようにしましょう。また、毎朝、窓を開けて部屋の換気も忘れずに。

■ 昼寝は、午後3時までに20~30分以内
「 10分間の昼寝は、夜の睡眠1時間分に相当する 」 という説もあります。ですが、昼寝で深く眠ってしまうと、夜の睡眠に悪影響が出てしまいます。午後の早いうちに、短い時間だけ昼寝をしましょう。首を傷めたり、顔に跡が残らないように、昼寝用の枕も準備しておくとよいですね。

■ 昼寝の前に、カフェインを摂る
カフェインの刺激作用は、体に吸収されてから30分たつと発揮されます。ですから、昼寝からスッキリ目覚めるために、眠る前にカフェインを摂っておくことをお勧めします。起きた後のけだるい感じも、これで解消です。

忙しい中でも続けられる、快眠のためのアイデアを全部で27個、ご紹介しました。やってみたいなあ、と思ったものから試すと、きっとうまくいきますよ。

【関連サイト】
節電の夏を乗り切る! 熱帯夜のスーパークール快眠法
熱帯夜に負けない!夏でも快眠するための寝室の作り方
チョット待った! 熱帯夜の危険な眠り方はこう正す
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