漢方・漢方薬/漢方の基礎知識・体質チェック

漢方には副作用がないってホント?!

漢方の魅力や疑問をわかりやすく解き明かしていく「漢方薬のウソ・ホント」シリーズ第一弾!! 漢方薬に副作用はないって思ってますか? 西洋薬と比べながら、漢方薬がもたらす副作用のあれこれをご紹介します。

杏仁 美友

執筆者:杏仁 美友

国際中医師 / 漢方・薬膳料理ガイド

病院やテレビなどで目にすることも多くなった「漢方薬」。しかし知らないことや不安も、いっぱいあるんじゃないでしょうか? そんな疑問をすこしずつ解き明かしていく、漢方のウソ・ホントシリーズ第一弾! 今日は気になる「漢方薬の副作用」についてです。


西洋薬と漢方薬ではココが違う!

タンポポ(蒲公英)
タンポポの全草だって、熱を取り解毒作用のある、りっぱな生薬なんですよ
「西洋薬」とは、薬局や病院で買える、一般的には化学合成された薬のことを指していますが、それに対して自然界の植物や鉱物、動物のなかで、薬効の高い「生薬」を組み合わせて、相乗効果を発揮させたものを「漢方薬」と呼んでいます。

つまり、漢方薬だってクスリであり、西洋薬と同じ「医薬品扱い」なんですね。では西洋薬との違いはなんでしょうか? それぞれの特徴を具体的にご紹介しましょう。

■西洋薬
  • 化学合成されたものが多い
  • 効き目が一定で、薬の品質にバラつきがない
  • 即効性が高く、急性の炎症や感染症に優れている
  • 臨床治験※は3~5年で終了


■漢方薬
生薬の例
生薬のなかには動物から作られたものだってあります

  • 植物の草や花、木や根っこなどから取った生薬を、何種類か組み合わせるものが多い
  • 作用や効果は多岐にわたる
  • 穏やかに効くものが多く、慢性的、体質的な疾患に対して優れている
  • 臨床治験は2千年以上も前から


それぞれに良さがありますが、漢方薬はさまざまな特長の生薬を組み合わせることによって、もともと副作用を出しにくい仕組みになっているのですね。かといって、副作用がまったくゼロとはいえません。

※臨床治験とは、新しい薬の効き目や副作用の有無を、患者さんや健康な人に服用させて調べることをいいます。


注意!まったくゼロでない副作用のあれこれ

生薬
生薬アレルギーの方も、中にはいます
その人の体質やそのときの体調によって、処方を変えることができるのが漢方の良さです。しかし、正確に自分の症状が伝わっていなかったり、自己判断で勝手な使用方法をすれば、危険を起こす可能性があることもあるのです。次のケースのように、注意が必要なものをご紹介します。


■胃腸障害を起こす
一般的に漢方薬は、消化吸収しやすいように食前に飲んでください、といわれます。しかし胃腸の弱い方は、胃もたれ、吐き気、胸やけ、下痢などの胃腸障害が出やすいので、食後に飲むようにと指示される場合もあります。

■高血圧になる場合がある
風邪の症状などでよく使用される漢方薬のなかに、「麻黄」(まおう)という生薬があるのですが、交感神経を興奮させる作用があるので、高血圧の人は控えたほうがいい場合があります。また「朝鮮人参」も虚弱体質にはいいですが、元気な人が使うと血圧が上がるケースもあります。

■身体がむくむ
薬物を調和させる働きのある「甘草」(かんぞう)は、漢方薬の中によく利用される生薬ですが、多量に服用するとむくみが出たりします。


これらの症状は、その人の体質をきちんと見たうえで、処方を変えていえば防げるトラブルです。服用を止めれば症状はなくなりますが、不調を感じた場合は、処方してくれたお医者さんや薬局にご相談くださいね。

漢方薬でも、一時的に病状が悪化する?

生薬
好転反応ともいえる瞑眩。しかし頻繁に起こるものではありません
(写真素材提供:LinkStyle
なお、その人の体質にあった処方を出しても、治療の過程で、一時的に病状が悪化する「瞑眩」(めんげん)という症状が出る場合もあります。

例えば皮膚病で漢方薬を飲んだときに、身体にたまった毒素が出て、血行が良くなったり、新陳代謝が活発になった結果起こるケースです。長くは続かず、2週間くらいで落ち着きます。

しかし、副作用と瞑眩の違いは、素人判断でわかるものではありません。症状が辛い時には飲むのをストップして、医師や漢方相談員に相談するのがベストでしょう。

まずは自分の体質をめんどくさがらずにきちんと伝え、気がかりなことや、どのような副作用が出やすいかなどを、事前によく聞いておくといいですね。なによりも信頼できる専門家に相談し、コミュニケーションをとることが大切です。
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