ビール/ビール関連情報

大人の味? ホップの苦味の強いビール

ビールを初めて飲んだときのこと、覚えていますか? 人生経験を重ねていく中でわかってくると言われる苦味の旨味。ビールはこの苦味が旨いんだ!という方にオススメのスタイルをご紹介します。

執筆者:レゲット川上 由紀子

ビールを初めて飲んだときのこと、覚えていますか? ニガイだけで、苦味の旨さなんてわからなかったのが、いつの間にか、仕事後に飲むビールが美味しくなっていた・・・・・・。そんな方って、きっと多いのではないでしょうか。

今回は、ビールの苦味を存分に味わえる、「インディア・ペールエール」というスタイルのビールをご紹介します。「インディア・ペールエール(India Pale Ale)」はその頭文字をとって、「IPA(アイピーエー)」と呼ばれています。

イギリスが「太陽の沈まない国」と呼ばれた時代に誕生したIPA

ホップ
ビールの基本原料であるホップは、ビールに苦みや香りを与える役割のほか、雑菌の繁殖を抑える働きもある。
Photo by (c) Tomo.Yun (http://www.yunphoto.net/)
IPAというスタイルは、強いホップの苦み高いアルコール度数(5%~7.5%)が特徴のビールです。

「インディア・ペール・エール(IPA)」の「インディア」は「インド」のこと。IPAの誕生は、イギリスがインドを植民地にしていた時代に遡ります。イギリス本国から植民地インドまでビールを運ぶには、赤道を越え、アフリカ大陸の最南端をまわり、もう一度赤道を越えるという、過酷な気候の下での半年近くにもおよぶ航海が必要。当時は保存技術や冷蔵技術が発達していなかったため、インドに到着する頃には、ビールは劣化し、腐敗してしまうこともあったそうです。

そこで、バクテリア(雑菌)の繁殖を抑えて保存力を高めるため、通常のペールエール(代表的なものは「バス・ペールエール」)よりも麦芽を多く使用してアルコール度数を高め、バクテリアの繁殖を抑える働きをするホップを大量に加えたビールが、インド帝国向けに造られるようになりました。これが「インディア・ペールエール」の由来です。

現在のIPAは、当時のものよりもアルコール度数も苦みも抑えられ、飲みやすいビールになっています。

イギリスのIPAとアメリカのIPA

イギリスで誕生したIPAですが、現在IPAには、アメリカンスタイルとイングリッシュスタイルがあります。両者の違いは使用するホップの違い。アメリカンスタイルのIPAにはアメリカ品種のホップ、イングリッシュスタイルのIPAには英国品種のホップが使用されます。

ホップは産地や品種によって特徴が異なるため、同じIPAというスタイルのビールでも、アメリカンスタイルとイングリッシュスタイルとでは個性が異なります。

カスケードホップが特徴のアメリカ西海岸のIPA

REDHOOK Long Hammer IPA
北米産の「カスケード」という品種のホップをふんだんに使用した、レッドフック(REDHOOK)社のIPA。ネット販売で1本400円弱。
今回はアメリカンスタイルのIPAをご紹介します。1981年にアメリカ西海岸ワシントン州シアトルで誕生したブルワリー、レッドフック(REDHOOK)社の「Long Hammer IPA」を飲んでみました。

このIPAは、北米産の「カスケード」という品種のホップの、フローラルな芳香とホロ苦い柑橘系を思わせる強い苦味が特長。

口に含んだとたん、口の中いっぱいに広がるホップの苦味と香りは、ビールが喉を通り越した後も、しばらく口の中にとどまります。

しっかりとした苦味がありますが、ビール全体のバランスがよいため、苦味と同時にやわらかい口あたりのする、そんな味わいのビールです。



次のページでは、IPAの購入情報をご紹介します。
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