タイ政治情勢が迷走する真の理由4
そこで、あえて、タクシン政権の腐敗を批判する市民団体や労働団体などが結成したようにみせかけたPADを通じてタクシン派を攻撃しているのです。
むろん、これは矛盾を生じさせています。PADのリーダー、ジャムロン元都知事は民主主義を標ぼうしていますが、実際、彼らがやっている首相官邸占拠などは、民主主義に反していますし、ジャムロンも百も承知なはずです。
しかし、バックである「オールドエリート&知識人層」(反タクシン派)からの指示、支援によって、タクシン派への攻撃を目的としてやらざるを得ない状況なのです。
つまり、現在、PADが行っている反政府活動は一見、現政府とは政治イデオロギーが異なる民主主義者がやっている運動のように見えて、実は後ろで糸を引いているのは「オールドエリート&知識人層」(反タクシン派)なのです。したがって、出口が見えないのが今のタイの政治情勢す。つまり、PADが同じ民主主義で争えば、基盤がしっかりしているタクシン派には勝てないし、貴族政治の色を打ち出せば民衆の支持を得られないわけです。
一方、タクシン派は敵が多すぎて、全体を統制することが難しい。ですから、どっちも決定的な動きは出来ず、タイの政治情勢はしばらく混迷を極めそうです。
物の道理で考えれば、貴族政治に戻れるわけがないし、イデオロギーのはっきりしない(かつ支持基盤がない)民主主義が選挙に勝てるわけもありません。したがって、時間はかかるのでしょうが、タクシン派がいつかは国民の支持を得て、現在の混迷を制していくと、日本人なら考えてしまうところです。
しかし、最近になって、これもそう上手く行かないのでは?と思われるような事件が立て続けに起きています。
たとえば、11月25日より発生したスワンナプーム国際空港の占拠も海外の目から見たらとても不思議な現象です。
反政府側は暴徒とまではいかずとも明らかに不法行為を行っているわけです。しかし、そのような不法行為を働いているにもかかわらず、ソムチャイ政権側は強制排除できないでいる。国の安全を守るべき軍隊は静観しているのです。
したがって、世界の常識から見れば何故、民主主義の国と言っているのに大混乱しているのか?不思議に感じられると思います。明らかに法的にはおかしいことでも、タイの常識からみると、どこが正しいことで、どこが間違っているのかわからなくなっているような事態がタイの政治の現状と言えるでしょう。
したがって、しばらくは日本人の常識で考えずに、ことの成り行きを見守っていく必要があるでしょう。
<おわり>
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