■各党の年金マニフェストを徹底比較!
□2:制度の将来像は?~負担率の上限と制度再構築は基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げる問題は、実は「年金マニフェスト」の一部分でしかありません。問題は、
今後の国の年金制度をどのような方向で維持、あるいは再構築していくかのビジョンこそが今回の
「年金選挙」の大きなポイントであるはずです。
国の年金に対する不安・不信が今ほど深くなったことはありませんでした。特に若い世代の年金不安は深刻です。こうした世代の信頼を得る年金制度でなくてはいけません。
各党のマニフェストを同じキーワードで比較すると以下のとおりです。
現 与 党 側 | 自由民主党 |
| 将来の国民負担率(税金+社会保険料の負担割合)を50%以内に抑えるように現状の制度を見直しする。将来の消費税率引き上げについても検討する。ただし3年は上げないとしている。 |
| 公明党 |
| 現状の年金額については下げない。将来にわたり現役時代の50%~50%半ばを維持(現状およそ59%)。厚生年金保険料については20%以下に抑える(現状13.58%)。国民年金保険料については月額18,000円台に抑える(現状13,300円)。年金積立金については100年かけて取り崩しを行い給付水準の維持に活用する。消費税については当面、引き上げない。 |
現 野 党 側 | 民主党 |
| 「国民基礎年金」と「所得比例年金」の2階建てに。「所得比例年金」は国民すべてを対象に現状の厚生年金等を再構築し、所得に比例した負担を財源に現役時代の拠出に応じた給付を受けられるようにする。年金積立金は50年で取り崩し保険料の引き上げを抑える。「国民基礎年金」は単純な1階建てではなく所得比例年金の少ない人により厚く支給する年金という考え方で費用をコンパクトにする。全額を税金でまかなうが基礎年金の国庫負担分の財源に加え、年金控除の見直しによる年金受給者の負担増や消費税の目的税化でまかなう。消費税の引き上げについては経済成長の回復を条件とする。 |
| 社民党 |
| 2010年までに応急処置をする。在職老齢年金については70歳以上も継続し、働くお年寄りの年金カットを拡大する。年金額の少ないお年寄りについては物価スライドによる年金額のマイナスは凍結する。受給開始年齢の引き上げ、給付水準の切り下げ、保険料の引き上げは行わない。2010年に大改正を行い「基礎的暮らし保障年金」と「共助の社会保険年金」の2階建てに。「基礎的暮らし保障年金」は全額税金でまかなう。「共助の社会保険年金」については所得に比例した保険料方式で労使が半分づつ負担。 |
| 日本共産党 |
| 年金積立金を活用し給付水準を守る。国民年金保険料を定額制から収入に応じたものに変更。最低25年加入しなければ無年金となる現在の制度を10年に改める。将来的に「最低保障年金」と掛金に応じて上積み給付される年金の2階建てに改める。「最低保障年金」は国庫と事業主負担のみでまかなう。 |
短くまとめたつもりですが、それでもずいぶん長くなってしまいました。どの党もそれぞれの主張を打ち出していますが、ある程度
具体的に数値目標を掲げているのは公明党のみです(ただし、公明党には現厚生労働大臣である坂口さんがおり、公明党のマニフェストは坂口さんの試案をもとにしています。他党が具体的数値を掲げられないのには一定の理由があります)。
与党政党である
自民党・公明党は現在の制度を基本的に維持しながらも制度の改正を行う立場です。
もらえる年金の給付水準については10%程度は引き下げ、納める保険料水準については最終的に現在の50%近くアップする図を描いています。
野党政党である
民主党・民社党・日本共産党はどうでしょうか? いずれも
具体的な保険料水準、給付水準については掲げていませんが、今の水準が守られることは保証していません。おそらく保険料が上がることと給付水準が下がることは念頭にその割合はできるだけ抑える、ということを提案していると考えられます。
しかし、
野党各党はいずれも、現在の国の年金制度を抜本的に見直す必要について触れていることが与党各党と比べて特徴的です。
どの党とも現在の
基礎年金(国民年金)については社会保障的な性格を明確に打ち出し、財源を原則として税金でまかなう制度に再構築するプランを掲げています(日本共産党は事業主負担も含める。
民主党は所得比例年金を前提とし不足部分を最低保障年金で埋める考えで他と比べユニークです)。
2階建て部分については所得に比例して掛金を納め、掛金に比例して年金額が決まる、個人ごとの受給権が明確になる制度をどの党も指向しています。
その他、
年金積立金の取り崩しについては自由民主党以外のすべての党がなんらかの形で言及しています。特に
民主党は50年での取り崩し、公明党は100年での取り崩しを行うことで、年金給付水準の維持に役立てることを明記しています。
ところで、
民主党は将来の基礎年金部分の財源として消費税の目的税化を明記しています。
消費税の引き上げについて条件つきですが触れているのは民主党と自由民主党の2党です。
与党政党である公明党は当面、引き上げないとしているほか、野党政党である社民党、日本共産党は触れていないことを考えると対照的といえます。
消費税は、現役世代も企業も年金を受け取っている世代も、買い物をすると誰もが支払うことになる税金ですから、年金世代は負担が増える一方で、収入に対して課税する所得税や保険料に比べて
現役世代は相対的にトクをするといえます(もちろん、その分保険料が引き下げられることが前提ですが)。