温泉/温泉を楽しもう

今年の温泉ベスト10 <2008年 対談後編>(6ページ目)

今年の温泉ベスト10!日本を代表する温泉研究家、郡司勇(温泉レポート)と、藤田聡(日本の名湯)両ガイドによる、年末恒例の特別対談!互いの温泉観も含め、今年も奥深い対談となりました。温泉好き必見です!

執筆者:郡司 勇

第1位 鬼が城温泉 野湯


鬼1真っ白な火口湖が温泉
<郡司> 後生掛から徒歩2時間 硫化水素の心配ありでガスマスクにて入浴 
花巻温泉郷から高速道路に乗って八幡平に来た。後生掛温泉の自炊部に「本日泊まりますがこれから焼山の温泉に行きます」と告げて登山道を登り始める。なんとこの登山道は後生掛温泉の浴室の渡り廊下の間から始まっていた。アスピーテ型火山である八幡平は急峻な山ではなく。緩やかな傾斜である。しかし徐々に 高度を上げて1時間もすると全身汗だくになった。ひとりの山行は不安なものである。

前を歩いていたカップルに話しかけ一緒に登って行った。また鬼が城、硫黄取りともに硫化水素ガスの不安があり、また火口のために急斜面であるなどの、事前調査が不安を募らせていた。もうせん峠までの登りを過ぎると、稜線に出て楽になる。次の名残峠までの間に鬼が城の火口温泉があるのだ。後生掛温泉から玉川温泉までを結ぶ登山道は整備され不安はない。後生掛玉川中間点の道標を過ぎると避難小屋がありここで昼食とした。

この小屋の中で6人のパーティが居てこれから鬼が城の温泉に行くと言うと、その人たちも行くことになった。私はガスマスクを持っているがその人たちは危険である。しかし確かめながら行くと言い私に付いて来た。そのパーティーはひとかたまりになって硫化水素の危険が無いか私の後方を付いてきた。私はガスマスク着用である。ときどき外して見て、硫化水素の濃さを確認するしかし風もあり大丈夫なようだ。

鬼が城の火口を眺める稜線に出ると素晴らしい光景である。真っ白な水面と背後の沸騰する噴気群が見えた。急斜面を下り一番手前に足を付けてみるとヌルい温度である。32度くらいであろう。足元は白い析出物が泥田のように堆積し足が沼のようにもぐる。中央部や対岸は猛烈に温度が高そうであるが手前側ならばヌル湯であった。少し深いところまで行き入浴した。湯は万座に似たPH3くらいの酸性硫黄泉であろう。濃い白濁、酸味、強い硫黄臭と観察した。
鬼2泥田のような白い泥湯
<藤田> 自然の中で自然に湧いている温泉、つまり野湯については、すべて自己責任になりますが、それにしてもガスマスクが必要とは恐ろしいですね。温泉は湧いている所で入るべきであり、足元湧出温泉が最高の温泉形態であることは間違いないので、その意味では、野湯の大半がこの形態であり、素晴らしいのは理解しているつもりです。しかし、安全の為に空中(飛行)と水中(潜水)のスポーツはやらないと決めている私としては、一生行かない温泉のような気がします。

もちろん日本に住んでいる以上、いつ地震があるか分からないし、自動車の運転ですら十分に危険な行為に違いありません。生きて行く以上、一定のリスクは負わざるを得ませんが、万座に似た酸性硫黄泉なのであれば、私は万座で安全に楽しみたいと思ってしまいます。(苦笑)

実際に体験していない私に、そのように言う資格は無いことも理解していますし、本当に凄く良い所なのでしょうが、あまり堂々と勧められる所ではない気がします。そうした意味では、本音で語り合う事を主旨とした当対談だからこその、第一位と言えるかもしれませんね。私自身、危険な温泉に関する考え方を、上記の通り本音で述べてしまった訳ですし。(笑)

おわりに


<藤田> 本日は長時間、本当にありがとうございました。また来年も、二人が興味を持って語り合えるテーマを設定して、幅広く対談させて頂ければと思いますが、いかがでしょうか?

<郡司>  今年はまた一風違った対談になりましたね。楽しい会話となりました。また来年やりましょう。

<藤田> ありがとうございます。今回も郡司さんの卓越した観察眼と、温泉への深い愛情を感じ、感激しております。本日はどうもありがとうございました。
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