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キラーパルス?震度6強で全壊ゼロの理由

相次ぐ大型地震に今、東北が揺れている。震度6強という数字に比して被害が比較的軽微なのはどういう理由があるのか?どこに住もうとも逃れられない日本人はここに何を学ぶことができるのだろう?

和田 隆昌

執筆者:和田 隆昌

防災ガイド

7月24日、つい先月、大きな被害を出した岩手・宮城内陸地震の被害も癒えないこの日に「震度6強」のニュースがメディアを流れた。この時、その震度の大きさに「家屋の被害、被害者数は大変なことに」なると思った人は数多いでしょう。ところが、今日現在で、重軽傷者数は200人ともちろん被害を受けた方にとっては大変なことではあるものの、死者数ゼロ、全壊家屋ゼロの報告に、震度6強という揺れの大きさに比して、被害はあまりに軽微なものにとどまりました。これはいったいどういう理由からなのでしょうか。

キラーパルス?震度6強で全壊ゼロの理由

阪神
この半年だけに限らず、地震多発地帯になってしまったかのような東北地域で、またも大きな揺れが襲った。
建物の被害はこれまで「震度」の大きさによって比例して増えるものと思われてきましたが、実は実際はそうではないということが分かってきています。今回の地震においては、防災科学技術研究所(茨城県つくば市)の観測では、揺れの強さを示す加速度は盛岡市玉山地区で最大1019ガルを記録し、阪神大震災の最大値818ガルを上回っているものの、木造家屋など建物を押し倒す力を持つ周期1~2秒の「キラーパルス」と呼ばれる周期の比較的長い揺れが少なかったのが特徴です。岩手・宮城内陸地震においても、史上最大の山体崩壊を起こすほどの地震加速度が起きたにもかかわらず、比較的家屋の被害はありませんでした。これに比して、阪神・淡路大震災ではこの周期の振動波が多く発生し、木造家屋に壊滅的な打撃を及ぼすことになりました。この「キラーパルス」は能登半島沖地震、新潟中越地震などでも観測され、この周期を持つ地震動が発生すると木造家屋の持つ周期に同調してしまい、全壊家屋が増え、そして死者数が増大するという結果になってしまうのです。


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