防災/防災関連情報

飛行機への電子機器の影響と制限 墜落?誤作動?危険な魔の11分間

飛行機内での電子機器の使用に関する法律が定められました。ほんの些細なことのように思われても、自分だけでなく一緒に乗っている乗客やクルー全員を危険にさらしてしまう事も。ルールをきちんと守りましょう♪

執筆者:荒井 健一

皆さんは『飛行機』にどれくらいの頻度で乗りますか?海外旅行の時はもちろんのこと、、国内旅行でも飛行機を利用する頻度が高くなってきていると思います。最近では、通勤で利用している方もいるほど身近で気軽な飛行機。

一般的航空機は安全で快適な乗り物という認識があると思いますが、乗り物である以上、事故を完全に無くすということができないという認識を持っている必要があると思います。

今回は、飛行機を安全で快適に過ごす為の情報や、危険な状態の飛行機のお話など、飛行機と安全にまつわるお話をしていきます。

●航空機事故の9割を占める「魔の11分間」

飛行機ところで、「クリティカル11min」という言葉をご存じでしょうか?これは、魔の11分間とも言われるのですが、航空機で発生した事故のおよそ9割は離陸後3分間、着陸前8分間の、11分の間に起こっているということで、魔の11分間と呼ばれているのです。

飛行場を出発してから、目的地に到着するまでの飛行の中で、航空機が最も安定している状態は、速度や、高度が安定した飛行状態を継続する巡航時になります。(上昇や降下している状態を除く)

それとは反対に、離発着の時には、様々な危険や事故が予想されるので、飛行機の乗務員は大忙しです。

コックピットでは管制官との細かな交信のやりとりや、他の航空機との距離の調整などが行われており、もしもの事態にも定められたマニュアルだけでなく臨機応変に対応出来るように神経を張り巡らせています。

そのころ客室内では、「ベルト着用」のランプが点き、「離着陸の際にはすべての電子機器のご使用はお控えください。」などのアナウンスが流れます。当然、乗務員も座席に座りますが、ただ座っているわけではなく※緊急事態に対応できるように、コックピット同様に神経を張り巡らせています。
緊急事態:機内のモニターでビデオと共に説明される、救急胴衣や酸素マスクを使用するような事態などが発生した時の事。

客室乗務員は緊急時のような「もしも」に備えるだけでなく、ルールを守る事の出来ない人がいないかどうかのチェックも同時に行なっています。

「ベルト着用」の必要性については多くの方にご理解いただいているようなのですが、「電子機器の使用禁止」については、なぜ禁止なのか知らないという方が多いようです。

●デジカメ撮影で着陸やり直し?

飛行機EMI(Electro Magnetic Interference)という言葉をご存知でしょうか?これは、電磁干渉現象の事を言い、乗客が機内に持ち込んだ電子機器を使用する事で飛行機の重要な機器への誤作動を起こさせてしまう時などに使用される言葉です。

飛行機は、より精度の高い飛行をするために多数のアンテナを設置しています。機体の一番前にある「気象レーダー」から、垂直尾翼の先端にある「VOR(VHFOmni-Directional Radio Range)受信用アンテナ」という、空港からの距離と方向を知る為アンテナまで、合計30カ所以上も取り付けられており全体が大きなアンテナのようになっているのです。

コックピットアンテナに加え、飛行機には航空機の血管とも言える様々な電気配線が張り巡らされています。これらは携帯電話やパソコン、デジタルカメラなどの電子機器から発せられる「電波や磁気」の影響を受けやすく、これにより航空機の計器に異常が出る事があるのです。

電話の電波やパソコンから発生した磁気が、飛行機の電気系統の磁界に変化を与え、それが電気信号となって、搭載されているコンピュータに誤信号を送り出してしまう恐れがあります。

●電子機器の影響と制限

常時使用できない機器 携帯

FMラジオ、携帯電話、トランシーバー、ワイヤレス式の音響機器や電波を発信する機器、テレビ受信機、ポケットベル、プリンター機器等。

離着陸時に使用できない機器  PC

「常時使用出来ない機器」に加え、AMラジオ、電子ゲーム機器、ビデオカメラ、情報システム機器(パソコン、ワープロ、電子手帳、デジタルカメラ、電卓、機内搭載以外のヘッドホン、カセット テープレコーダー、CD・MDプレーヤー等

常時使用できる機器

電池を内臓している腕時計や小型カメラ(デジタルカメラを除く) 。補聴器、心臓ペースメーカーなどの航空会社が使用を認めている医療機器。

2004年1月15日の改正航空法施行に伴い、「禁止された電子機器を使用すること」は「安全を阻害する行為」として法令上禁止され、罰則の対象(50万円以下の罰金)となります。
詳しくはコチラ⇒機内での安全阻害行為等を防止するための法律(PDF) from 定期航空協会


「常時使用出来ない」と定められた機器に関しては、何でいけないのかというのは理解しやすいと思いますが、「離着陸時に使用出来ない」機器は、決められていなければ何も気にせずに使用してしまうような物が多いですよね。電磁波は、目に見えないだけに規制をするのも大変です。

魔の11分間を安全にやり過ごす為にも、今回改正された航空法を乗客みんなで守り、安全で快適な空の旅を楽しみましょう。

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次ページは、一件でも莫大な被害となる航空機火災


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