熱帯魚/熱帯魚の飼育器具・水槽・用品

フィルター・ろ過器の選び方

水槽の心臓部とも言える、重要な役割を担うのがフィルター。主に使われている代表的なフィルターをいくつか例に上げ、その使用用途と長所短所について解説しています。

長谷川 秀樹

執筆者:長谷川 秀樹

熱帯魚ガイド

熱帯魚の飼育に欠かせないのが、水を綺麗にしてくれるフィルター(ろ過器)。魚の排泄物や餌の食べ残し、バクテリアの死骸などを分解。また目に見える浮遊物を取りのぞき、酸素の供給をおこないます。閉鎖的な水槽内の環境を、熱帯魚が健康に生活できるように浄化するのがフィルターの役割。

ここでは、いくつかあるフィルター(ろ過器)の種類と、それぞれの特徴について解説していきます。より詳しいフィルターの役割については、「熱帯魚の飼い方[3] フィルターの役割と水質の変化」で解説しています。

上部式フィルター


水槽上部に乗せて使用するタイプのフィルター。ろ過能力が高く、メンテナンス性も良好なため、熱帯魚飼育におけるポピュラーなフィルターでした。しかし、最近のフレームレス(枠なし)水槽の人気から、使用率が低くなっています。水槽のフレーム(枠)部分に乗せるため、フレームレス水槽では使えないからです。

魚をメインに飼育するのには、とても優れたフィルターで、標準サイズの水槽に合わせて各サイズが販売されています。構造はシンプルで、ポンプで汲み上げられた飼育水が、ろ材が入れた箱を通過することでろ過されます。ろ材には、下層に多孔質ろ材を敷き、必要に応じて活性炭、ゼオライトなどをその上に。さらに最上部には、ウールを敷いて細かなゴミを取り除きます。ウールの部分を定期的に洗浄することで、ろ材の目詰まりを防ぎ、長期に渡って良好な状態を維持することが可能です。

酸素の供給にも優れ、箱の中でろ材に飼育水が拡散される際や、水槽内に再び落下する際に空気が巻き込まれ酸素が取り込まれます。その為、魚の飼育には最適なのですが、二酸化炭素を逃してしまう構造から水草をメインとした水槽には向きません。またフィルターの下が陰になることも、敬遠される原因の一つです。

大型魚や肉食魚の飼育といった、より高いろ過能力を必要とした場合、強力なポンプを用いた濾過槽の容積が大きなタイプも販売されています。

外部式フィルター


エーハイム2213
昔は、かなり高額なフィルターでした。最近では、幾つかのメーカーから発売され、比較的手がだしやすくなっています。とは言え、まだまだ他のフィルターと比較して割高感は否めませせん。
別名パワーフィルターとも呼ばれ、水槽から離して設置するタイプのフィルターです。水槽とフィルターとをホースで配管し、フィルター内に設けられたポンプで循環させます。その為、キャビネット内にフィルター本体を収めることが可能で、乱雑になりがちな水槽周りをシンプルに演出することが可能です。また静穏性に優れ、製造メーカーによっても異なりますが、ほとんど作動音がしないことも特徴です。ろ過容積、流量の異なるものがいくつか販売され、水槽サイズや目的にあわせて選ぶことができます。

配管途中で空気に触れない密閉構造のため、二酸化炭素を必要とする水草水槽には最適です。水槽上部を占有することがないので、その分、照明を増設することも可能です。魚をメインとした場合は、排水側でばっ気させるか、ディフューザーを用いて空気を巻き込ませることで、能力を最大限に引き出せます。その場合、静穏性は損なわれます。

他のフィルターと比較して、割高感は否めませんが、応用範囲が広く拡張性に優れる点は見逃せません。

外掛け式フィルター


外掛け式フィルター
水槽にセットした時の見た目もよく、手軽にセットできることから人気のフィルター。気軽に少しの熱帯魚を楽しむのには良い。
水槽の縁に掛けて使用するタイプのフィルターで、手軽にセットできメンテナンス性に優れます。専用のユニット化されたろ材を用いるので、簡単にろ材の洗浄交換ができます。近年、小型水槽の人気から、多くのメーカーから各サイズが発売されています。

気軽に使える反面、ろ材の容量が少なく、能力的には乏しいものがあります。多くの魚を飼育するのには、向かないフィルターです。

底面式フィルター


バイオフィルター
かなり古くから、鑑賞魚用のフィルターとして使用されてきた底面フィルター。シンプルな構造ながら、そう能力の高さは侮れない。
水槽の底面にセットし、その上に敷いた砂利をろ材として利用するタイプのフィルターです。エアーの力を利用して水を循環させるタイプと、より能力の高い、ポンプを使用して循環させるタイプとに分かれます。底床全体をろ過層として利用するため、ろ過面積が広いことが特徴です。以前の製品では立ち上がりパイプからでる騒音が苦になりましたが、最近では使用に耐えれる静かな製品が多くなっています。

価格が安く、ろ過能力も高いのですが、拡張性に乏しく、また、まめに底床クリーナーで汚泥を排出する必要があります。この作業は、通常の管理でも生じるものなので問題ないのですが、フィルター本体の下に排出できない汚泥が溜まってくるので、そうなると底床のリセットが必要になります。時期は一概には言えないのですが、一年程度を目安にリセットすると良いでしょう。

安価なためショップの販売用水槽や、繁殖用の小型水槽で使用されることが多いです。最近ではソイルを底床にした水槽で、用いられることも多くなってきました。水中ポンプを利用した場合は、水草水槽での使用にも適します。

水中フィルター


エーハイム2008
安価で手軽にセットできるがろ過能力に乏しく、メインのフィルターとしては役不足。補助的に使われうことが大半です。
水中に入れて使用するタイプのフィルターの総称で、明確な定義はなく、各メーカーから様々な名称で販売されています。投げ込み式フィルターと呼ばれることも。

主にポンプの力で循環するタイプと、水作エイトに代表されるエアーポンプと接続して使用するタイプに分けられます。手軽に使用できる反面、ろ過能力に乏しく、補助的なフィルターとして使われることが多いでしょう。水流を作りたいときや、ろ過能力を持たしたエアーレーションなど、その他にも工夫次第で色々な使い方が考えられます。水槽内に直接入れるので、美観を損なう点が難点です。

スポンジフィルター


スポンジフィルター
テトラ社から販売されるブリラントフィルターは、ブリーディングタンクの定番のフィルターだ。

エアーリフト式のフィルターで、吸い込み口に取り付けられたスポンジを飼育水が通ることによってろ過されます。その形状からゴミをこし取る物理ろ過の様にも見えますが、生物ろ過を主体としたフィルターです。シンプルな構造ながら、とてもろ過能力に優れています。

稚魚を吸い込まない構造のため、主に小型水槽での繁殖時のフィルターとして用いられることが多く、エビに飼育でも多様されます。

飼育環境にも拠りますが、頻繁なメンテナンスが必要で、1~2週間毎に飼育水を入れた容器でもみ洗いする必要があります。その際、徹底的に綺麗にする必要はなく、目詰まりを取り除く程度で大丈夫です。それを怠ると、スポンジが目詰まりをおこしヌメリ、ろ過効率が極端に悪くなります。メンテナンスの手間や、効果の見極めが難しいため、初心者向けのフィルターではありません。

最後に


代表的なフィルターをいくつか挙げましたが、ここまで解説したように、どのフィルターにも一長一短あります。使用用途は概ね決まっているので、目的に合わせて適宜選択してください。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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