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ヌマヨコクビガメの基本情報と飼育方法……かわいらしいカメ!

今回は、ヌマヨコクビガメの基本情報と飼育方法をご紹介いたします。ヌマヨコクビガメは、アフリカ大陸に広く分布し代表する曲頚類です。大きな水槽で深い水深の環境で悠々と気持ちよさそうに泳ぎ回っているのを見ると、本当にかわいらしくて良いカメだなぁと感じます。

執筆者:星野 一三雄

ヌマヨコクビガメの基本情報

ヌマヨコクビガメの基本情報と飼育方法

撮影協力:Herptile Lovers

ヌマヨコクビガメ
学 名Pelomedusa subrufa別 名:(亜種として)アフリカヌマヨコクビガメ、ズールーヌマヨコクビガメ英 名:African Helmeted Turtle分 布:セネガルとエチオピア以南のアフリカ大陸全域(マダガスカル西岸含む)とアラビア半島南西部(サウジアラビア南部、イエメン)甲 長:最大32.5cm

アフリカ大陸に広く分布し代表する曲頚類です。

アフリカヌマヨコクビガメPelomedusa subrufa subrufa を基亜種として、他に南アフリカ東部に分布するクロヌマヨコクビガメP. s. nigra とエチオピアからセネガルまでの種としての分布域の北部に分布するエリトリアヌマヨコクビガメP. s. olivacea の計3亜種に分けられています。しかし、背甲の色など形態に個体差が大きく、これらが詳しく調べられればさらに多くの亜種に分けられる可能性もあります。なお、上の画像は基亜種です。

背甲はやや扁平し、色は亜種により違いがあり、基亜種は褐色から暗褐色、クロヌマヨコクビガメは黒褐色、エリトリアヌマヨコクビガメはオリーブ色から灰褐色とされますが、個体差が大きく背甲の色だけでは区別はつきにくいようです。腹甲も亜種により違いがあり、基亜種は黄色から黄褐色で薄く不規則な斑紋が入り、クロ亜種は黒褐色、エリトリア亜種は暗褐色です。また、よく混同されるハコヨコクビガメの仲間とは異なり、腹甲に可動部はなく、いわゆるハコガメにはなりません。頭部は扁平で背面が褐色からオリーブ色で不規則な不明瞭の斑紋が入ることが多く、腹面側は黄色っぽい色をしています。また下顎に1対のヒゲ状突起があります。

比較的、小規模な水場に多く、乾季には水が無くなってしまうような場所にも多く生息しています。このように水が無い季節には地中で夏眠を行うことが知られています。基本的に肉食が強い雑食で、さまざまな生物を食べますが動物の遺骸などもよく食べているようです。よく知られた生態ですが、水浴びに来たサイなどの大型哺乳類の体表の寄生虫を群がって食ったり、集団で水鳥を襲って食べることも知られています。

繁殖期には、水場から離れた乾燥した場所に10-30個程度の卵を産みます。卵の大きさは38×22mmで、基本的に1クラッチのみの産卵であると考えられています。卵は75-90日程度で25-30mm程度の背甲を持った幼体が孵化します。

分布域が広いこともありますが、生息地では生息数も目に見えた減少はないらしく、コンスタントに国内で流通しています。価格も安価で、そのためかあまり顧みられることのないカメであると言わざるを得ません。

しかし、成長しても飼育下ではせいぜい20cm程度で寒さや暑さにも強く、物怖じもせず、大変飼育しやすい種類ですから、初心者に強く勧めることができるカメと言えるかもしれません。

ただしWC個体が安価かつ大量に流通するからか、ほとんど国内でも繁殖例を聞きません。

まあ、仕方ないのは重々承知なんですが、安いカメですからショップ等でもあまり良い待遇を受けていない場合が多くて、それこそ陳列棚の下にあるトロ船の中で汚い水の中にゴロゴロと置かれているいるようなことが多くて、とてもそれを買って帰ろうという気持ちにならないんですよね。現実に、私は以前に見たそういう光景から、本種には生理的なトラウマがあるんです。しかし、今回の画像を撮影させていただいたショップさんのように、大きな水槽で深い水深の環境で悠々と気持ちよさそうに泳ぎ回っているのを見ると、本当にかわいらしくて良いカメだなぁ、と思えるようになりました。初心者の皆さんには、ぜひぜひ魅力を再認識していただきたい曲頚類です。

赤っ恥をかかない程度の知識
  • アフリカに広く分布する
  • 3亜種に別れているが、流通するのは基亜種がほとんど
  • 腹甲は可動しない
  • 安価かつ大量にWC個体が流通する
  • それほど大きくならず、飼育もしやすい
 

ヌマヨコクビガメの飼育方法

飼育容器
60~90cmクラス以上の水槽や衣装ケースなど

温度
20~28℃程度に保温

照明
紫外線入りのバスキングランプが必要

ろ過
できれば、外部式フィルターと上部フィルター

床材(底砂)
必要なし

容器内レイアウト
水深は甲長程度。陸場は市販の浮島などを使えばよいと思われる


餌付けば配合飼料でよいと思われるが、丸ごとの魚などもときどき与える

基本的な世話
多くの水棲傾向が強い水棲ガメに準ずる
  • 他のヨコクビガメ同様、気が荒い個体が多いと思われるので、複数飼育は避けた方が無難
  • 低温には弱いと思われるので注意
  • 比較的活発に動き回る種のようなので、床面積は広くとりたい
  • 粗雑な扱いを受けていた個体は皮膚や甲等に感染症がある場合もあるので治療する
  • 基本的にWC個体が流通しているので、駆虫は勧められる
※「飼育の基本情報」は「ミズガメ大百科(マリン企画)」「爬虫・両生類ビジュアルガイド 水棲ガメ2(誠文堂新光社)」を参考にしました。その他の情報は「クリーパー No.34(クリーパー社)」および海外サイトを参考にしました

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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