爬虫類・両生類/ヘビの飼い方

ヒバカリの特徴と飼育方法…普通のヘビとの違いとは?

小さくて可愛いヘビ「ヒバカリ」を知っていますか?両爬界ではちょっとしたヒバカリブームが起こっています。ところが意外にヒバカリは飼育が難しいヘビです。そんなヒバカリの特徴と飼育方法のポイント(ケージや餌)をご紹介します。

執筆者:星野 一三雄

全国のネット上の両爬ファンの皆様、コンニチハ。
今回は、ヒバカリの飼育方法に関して触れてみたいと思います。
 
 

なぜヒバカリが人気なのか?

ヒバカリは
  • おとなしい
  • 大きくならない
  • かわいらしい
  • マウスでなくても飼える
と、一見いいことずくめのヘビですので、人気も高く、それが安価で販売されていれば飛びついてしまう方も多いでしょう。

ところが飼いやすいかと言うと答えはノーです。細かく言うならば「1シーズンを楽しむだけならば簡単。それ以上の期間の飼育は難しい」ヘビなのです。ましてや、冬眠中に掘り起こされたような不安定な体調で販売されたような個体などは、下手をすればその夏を越えられずに殺してしまいます。
まさに、これこそ私たち野生動物の飼育を趣味を持つ者たちが忌み嫌う消費的飼育になってしまうのです。
そういう意味でも、この時期に安価に大量に入荷したヒバカリを購入することは極力避けたいところです。

そこでヒバカリたちが一匹でも多く幸せに生きることができるように、そして少しでも多くの子孫が残せるように、との思いで、最も適切と考えられる飼育法とそのポイントを今回は紹介し、買われて行かれた方々に実践いただきたいと考えています。
 

ヒバカリと普通のヘビの違い・特徴は?

ヒバカリの飼育は普通のヘビ(いわゆるラットスネーク)の飼育とは感覚がちょっと異なります。
その原因は彼らの大きさに因ります。
小さいから
  • 温度や湿度の変化の影響を受けやすい
  • 餌切れ、水切れに弱い
  • 病気になったら手の施しようがない
  • 何にしても耐久性が低い
のです。
さらに、そもそも全然食性が異なるのですから、
  • ピンクマウスでは飼育できない
ことも理解しましょう。

ですから、コーンやキングスネーク、国産であればアオダイショウやシマヘビたちのような一般的なラットスネークのように
「多少環境が悪くても飼育が可能」とか「いい加減な越冬でも平気」とか「数週間の拒食くらいならば心配しなくてもいい」とか、ましてや「餌さえ食えば、ほぼ飼育が成功」などと言うことはありません。
 

ヒバカリの飼育方法

それではヒバカリの基本的な飼育方法です。
ここでは、例えば「脱走されないように」とか「脱皮の際に手がかりになるような」とか基本的なヘビ飼育と共通する部分は割愛しています。

■ケージ
なるべく底面積の大きいプラケース。複数の飼育をするならば45cmサイズの中型プラケが必要になります。
大きめのケージを用意することは、複数の環境を再現し、ヒバカリ自身に好適環境を選ばせることにつながります。
またヒバカリは餌を食べるときに体を伸ばすひつようがあるし、日光浴をするような行動を他のヘビ以上にしますので、広い方が良いのです。

■床材
様々な意見がありますが市販の「爬虫類マット(日本動物薬品社)」と「自然の土」を利用する場合がいい結果に結びついています。
基本的に床材全面がじめじめしているのはよくありません。
自然の土を利用する場合は、使用前に土を天日干しするなど、あらかじめ殺菌します。一番下に湿らせたミズゴケを5cmほどの厚さで敷き、その上に同じ厚さで土を敷きます。こうすることによって表面は乾いているが、内部は湿っている、という自然の環境を再現させることができます。
また、土を敷かない場合も植木鉢などで土を置くと良いようです。

■保湿、照明
保温や紫外線は必要ありません。観賞用の照明があれば十分でしょう。

■インテリア
意外に立体行動を好む一面があります。環境を選ばせる意味でも、木の枝、シェルター、平たい石などを配します。特に石は彼らの体温の調節に役立っているようです。

水容器は大きめのタッパーで十分な量の水を維持できるように常設します。
またシェルターも乾燥したものとミズゴケなどを入れた高湿度のものの二つを設置すると良さそうです。市販されているウェットシェルターも利用できます。
餌入れはケージに余裕があれば準備するといいでしょう。ミミズなどの餌が床材まみれにならないようにします。
 

餌の与え方

ヒバカリ飼育のポイントはここにあります。
基本は多様な餌を「食いたいだけ食わせる」ことです。与える餌は小さなカエル、オタマジャクシ、ミミズ、ドジョウ、金魚、メダカ
ミミズは釣り餌用のシマミミズは食いません。ミミズ自身が持つ薬効成分を嫌うようです。畑や林にいる、いわゆる「ドバミミズ」が必要になります。これらの餌を入手できるときに大量に準備しておいて、一回の給餌で食い残す程度与える必要があります。特に秋は冬眠に備えて、大量に食わせましょう。餌のバリエーションは大切で、少なくともミミズとメダカだけを与えて長期飼育に成功した、と言う話を聞いたことがありません。
メダカやドジョウは水容器に泳がせて与えます。このときに水が汚かったりすると、餌を食わなくなってしまいます。
 

ヒバカリ飼育の5つのポイント

ヒバカリの飼育を成功するには4つのポイントがあります。

1. 夏の高温に注意
ヒバカリは「朝」と「夕」のヘビです。特に夏の暑い盛りには、涼しい時間に活動します。
ですから、夏の飼育は高温の対策が必要になります。
エアコンに頼ると湿度不足になるのか、湿度の管理をうまくやらないと、だんだんと痩せて冬を越えられるずに死んでしまうことが多いようです。
一番いいのは大きめのケージに柔らかくて湿った床材を厚く敷いて、彼らに潜らせて暑さをしのがせることです。気化熱により過ごしやすい温度になるようです。
また通気性が悪いと気化しませんし床材が発酵して発熱する恐れもありますので、ケージの底や床に近い側面にドリルで小さな穴をたくさん開けておくとよいでしょう。もちろんヘビが逃げ出さないような大きさの穴ですが。

2. 湿潤と乾燥を選ばせる
前述しましたが、ケージ内に乾燥している場所と湿った場所を用意して彼らに選ばせてあげましょう。

3. 餌をたくさん食わせる
マウス食いでないヘビではよく言われることですが、給餌間隔は短めにして、彼らが満足するまで食わせる必要があります。特にヒバカリは小さいので餌切れは致命的ですし、冬眠中に痩せて死んでしまうことが考えられます。
 
4. 冬眠させる
長期飼育に成功している方達の共通点のひとつですが、ヒバカリは冬眠をさせてあげましょう。特に冬は金魚やメダカ以外の餌が入手しにくいですし、冬眠をさせた方が圧倒的に楽です。

5. こまめにフンを取り除く
ケージ内のフンは取り除く習慣をつけましょう。ケージ内は清潔であるに越したことはありませんが、ヒバカリはケージ内の汚れに特に敏感なようです。またフンは健康のバロメータですので、健康チェックにもなります。
 

ヒバカリの入手

野生でヒバカリを採集できるのは5月くらいから梅雨時までと、夏の終わりから秋口までですが、冬の終わりから春先に集団で冬眠中のヒバカリを掘り起こして販売されていることもあります。
そういう個体を購入しないのがいいのですが、不幸にも購入してしまった場合は、特別なケアが必要になります。

■日中の気温が10℃以下の場合
再冬眠させましょう。
  • ケージ……湿った土と落ち葉を敷いて、平たい石や板、あるいは狭いシェルターを入れる。
  • 設置場所…… 
  1. 玄関などの気温が低くて安定した場所(3日間)
  2. 一日中日陰で気温が低い場所(3日間)
  3. カバーを掛けて2.と同じ場所
こうすると、冬眠から起こされたヒバカリも再冬眠の状態になります。後は、自然と彼らに任せて春の訪れを待てばいいわけです。

■日中の気温が15℃を超える場合
今の時期は昼間は15℃を越えますが、夜は冷えますので昼夜の寒暖の差がとても大きいです。この時期でも野生ではヒバカリはあまり活動をしていないと思われます。つまり寝ぼけているような状態です。休ませてあげましょう。
  • ケージ……上と同じ
  • 設置場所……室内でカバーを掛けて
こうして気温が上がってオタマジャクシなどの消化に良さそうな餌が確保できるようになるまで休ませます。

とにかく「まだ寝ていたいのに、起こされてしまった」という気持ちを自分に置き換えて考えてみれば、すぐに食事をとったり、激しい運動をしたりできませんよね。そんな考えに立ってケアをしてあげて下さい。

以上、ヒバカリの飼育に関してでした。

もちろん中には「ずーっとヒバカリを飼育していて、繁殖のために今回は新しい個体を導入したんだ。自分は自分の飼育法をしていく!」と言う方もいらっしゃるでしょうから、そういう方は頑張って幸せにしてあげて下さい。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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