猫関連情報

更新日:2005年02月20日

ネコの避妊手術と去勢手術

不妊手術の術前・術後の注意や、手術方法など詳しく解説しています。またオスネコにまれに見られる停留睾丸についても。

停留睾丸(片睾丸)

オスの場合、まれに外見上睾丸がひとつしか確認されない(片睾丸)、またはふたつとも確認できないネコがいます。睾丸が陰嚢まで降りてきていない状態で、停留睾丸と呼ばれます。
遺伝的に関係するものだといわれていますが、何が原因で停留睾丸になるかはっきりと解明されていません。
遅くとも生後8ヶ月前後までに降りていない場合は、その後も降りる可能性が低いでしょう。
睾丸が停留している場所は、鼠径部(おなかと足との境目)が最も多く、睾丸の付け根をさわるとかすかに確認できるかもしれません。睾丸がある場所が確認できれば手術は比較的楽に済みますが、中にはおなかの中のどこに睾丸があるか、なかなかわからない場合もあるようです。
しかし、経験豊富な獣医師であれば、睾丸が降りてくる道筋がわかっていますので、開腹手術になることを怖がらず相談してください。

停留睾丸の腫瘍発生率は正常な睾丸の10倍以上といわれています。通常外に出ている睾丸の中の精巣は低めの温度を保ちますが、体内に残された精巣はそれよりも高い温度状態にあります。適した温度でない場所にあるため、精巣は徐々に変化し、セルトリ細胞種と呼ばれる腫瘍になる確率が上がるようです。
また片睾丸で陰嚢の睾丸のみを摘出しても、体内に残った睾丸は温度が高いにもかかわらず精子が生き延びていてメスを妊娠させる可能性があります。性ホルモンに関する問題行動は、体内に睾丸が残っている場合治まらない事が多いようです。

どちらの手術に関してもいえることは、性ホルモンに関わる臓器を摘出しない限り妊娠しない・させないだけで、性衝動に関する問題行動は治まらない、また残っている臓器は病気に罹る可能性があります。

術後の注意

完全に麻酔が覚めるまでは、獣医師の管理下に置かれます。麻酔後は、胃腸が正常に働き出すのに時間がかかるため、食べたものを吐いてしまうことがありますので、通常は術後半日程度絶食が必要となります。(手術中に輸液補給されているので大丈夫です)。

ネコの性格によっては見知らぬ場所(病院)にいるストレスや、自分に身に起こったことが理解できずショック状態に陥って、飼い主でさえ拒む風をみせることがあります。また一般的にネコは痛みを感じにくい動物だといわれますが、動くと傷口がつれるでしょうし、全く痛みを感じていないわけはないでしょう。

自宅に帰ってきて飼い主がかまおうとしても嫌がるそぶりを見せたら刺激しないようにしましょう。
もし、ショックを受けてない風だとしても、数日間は激しい運動をさせない方が良いでしょう。

メスは、傷口に絆創膏を貼られたり、退院時に腹巻きのような胴衣を着せてられる、またはエリザベスカラー(私はパラポナアンテナと呼んでいますが)という首に装着する傷口をなめさせないための器具を渡される事があるでしょう。
ネコに傷口を舐めたり糸を引っ張って傷口を開かせないようにするために必要です。

我が家の何度かの体験では、私は胴衣が一番安全かな?と思っています。エリザベスカラーをつけると、尻込みして固まったり、家具にぶつかって前に進めなくなったり、床の上のお皿に口を付けたくてもカラーが邪魔してできないなど、ネコによけいなストレスを与えるような気がします。もちろん、中にはカラーをつけても全然平気な子もいますので、その場合はカラー装着が安全でしょう。
しかし、多頭飼いの場合は身体に大きなエリザベスカラーをつけた見慣れない姿に、他のネコがパニックになったり喧嘩をふっかけたり…ということもありますので注意してあげてください。

どちらにしても、ネコが自分で傷口を舐められなければ良いので、あまり自分の身体をかまわない(グルーミングをしない)子の場合は、何もつけなくても抜糸まできれいな傷口を保つことができるでしょう。
神経質な子は自分で舐めて糸を引き抜いてしまい、再度縫合。。。ということもありますので、傷口を舐めさせないように工夫してください。
消毒は特に必要ありません。
病院によっては、退院時に2-3日分の抗生物質を処方されるます。出されたお薬はきちんと時間を守って最後まで飲ませてください。(薬を処方されない病院もありますので、必ず抗生物質が必要とは限らないようです)。

もし糸が取れてしまったり、舐めすぎて患部がただれた時は、早急に診察をお願いしましょう。
術後3日くらい経っても元気・食欲がなくトイレもあまり使いたがらないようなときも、診察を受けた方が安心できるでしょう。しかし、エリザベスカラーをつけることで動かなくなってしまうネコもいるので、一度はずして様子を見て、それでも具合が悪そうなときは早急に先生に相談してください。

もし、オスネコとメスネコを飼っていて、オスネコの手術を済ませ帰宅したら、メスネコに発情が来ていて交配しちゃいました。。。なんてことがあったら?!
メスネコが妊娠する可能性は非常に高いですのでご注意を!
手術をしても、オスの体内には精子が残っていて、約24~72時間生きている可能性があります。
ですから、もし発情中のメスがいる場合は、手術後1週間はオスネコと離しておいた方が無難でしょう。

長期的な術後の管理

不妊手術をすると太りやすいといわれます。
卵子や精子を作り出すエネルギーが消費されなくなりますし、性本能による行動もなくなり、代謝が落ちますから肥満になりやすくなるのは当然です。
また発情が来てから、発情中など性ホルモンが活発化しているときに手術をすると、ホルモンの不均等が起こりやすく、肥満傾向の拍車がかかるという説もありますので、可能であれば不妊手術は、性の目覚めの前に行いホルモンのアンバランスを事前に防ぐ方が肥満になりにくいかもしれません。

どちらにしても、術後体力が回復したら徐々にカロリーの少ない食餌に切り替え、今まで以上に遊んであげて運動させましょう。

さて、ここまででネコの不妊手術に関してのかなり詳しい内容をお伝えしてきました。
どんなことも、自分がその内容をきちんと理解することから始めた方がよいのでは?と、思います。
手術が怖い、麻酔はイヤだ、と感情論だけで不妊手術を拒否しないでください。
責任を持って面倒を見ることができない子猫を産ませないために、
大切な自分のネコの将来的な健康状態を安定させるために、
不妊手術は必要ではないか、と私は思っています。

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この記事の担当ガイド

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岩田 麻美子

猫との付き合いは40年以上。元・猫のブリーダーとしての17年の経験を生かし現在は東京都動物愛護推進員…

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