純血種、ミックス問わず、犬との出会い方はいろいろですが、できるだけ自分の性格や、生活状況、環境などに合った犬を選びたいものです。流行っているから、隣の家でも飼っているから……そんな理由はナンセンス。ただ可愛いだけにほだされて、自分には合わない犬を選んでしまったことで、予想外の問題に直面することも少なくありません。
これから犬を迎えたいと思っているならば、自分が希望する犬(犬種)が、どんな犬なのか?を知り、本当に自分に合うかどうか。そこから考えてみてくださいね? ということで、今回から始まった『犬種シリーズ』では、一つの犬種にスポットをあてて、その特徴や特質などをご紹介していきます。
=Index=・犬種名の由来は、ドイツの地名
・ポメラニアンの毛色や生活について
犬種名は、ドイツの地名
 |
| 日本では、かつて、マルチーズ、ヨーキーと並んで“愛玩犬御三家”と呼ばれた時代もあり。 |
その出身地が犬種名に冠せられているケースはわりと多いですが、ポメラニアンの場合は、ドイツ北東部からポーランドにかけて広がるポメラニア地方(ドイツ語ではポンメルン地方)に由来があります。どうやら、この地方でよく飼われていたようです。
本国ドイツでは、ツベルク・スピッツ(小さなスピッツ)と呼ばれています。そう、彼らはスピッツの仲間なのです。スピッツ族の中では、たいへん小さなポメラニアンですが(現在、平均的に2kg~3kg代程度)、その昔は14kg近くも体重があり、もっと大柄な犬でした。
祖先はスピッツタイプの橇犬
どうしてそれほど大きさがあったのかというと、アイスランドや、フィンランドのラップランド地方などで、橇犬として、また、羊の番などもしていたスピッツタイプの犬が祖先とされているからです。中には、サモエドの関与を主張する意見もあります。
“スピッツ(Spitz)”とは、ドイツ語で“尖った、鋭い”などの意味を表しますが、スピッツタイプの犬としては、日本の秋田犬や柴犬を代表とする日本犬、橇犬として一般的によく知られるシベリアン・ハスキーやアラスカン・マラミュート、また、サモエドやキースホンドなどを挙げることができます。ピンと立ったやや小さめの耳、中庸の、ツンと尖った感じのする口吻、愛くるしくも犬種によっては鋭い、バランスのとれた目、豊かな被毛……などは共通するところで、その歴史の古さからも人間の生活に密に関わってきた犬達ととらえることができ、ファンの多いグループでもあります。
当初のポメラニアンと思われる犬の絵を見てみると、体つきもがっちりしており、頭部も現在のようなドーム型ではなく、もっと犬らしい、と言ったら語弊がありますが、やはり原始的、かつたくましい感じがします。
小型化の道へ
本来は、働く犬としての資質を受け継いでいるポメラニアンなわけですが、今現在は愛玩犬としての地位を確立しています。それは、19世紀半ば~後半にかけて、サイズダウン(小型化)に拍車がかかったことによるところが大きいでしょう。
イギリスでは、ビクトリア女王がポメラニアンを気に入り、繁殖を手がけたり、クラフト展に出陳したことがよく知られています。このあたりから、ポメラニアンの人気が高まり、貴婦人達の寵愛を受けたということですが、それは、20世紀初頭まで続いたようです。
話は飛びますが、『パフューム ある人殺しの物語』(提供・配給/ギャガ・コミュニケーションズ)という映画のオープニングシーンには、貴婦人に抱かれたポメラニアンの姿がちらっと映ります。しかし、この映画の舞台は、18世紀のパリ。この時代のパリに、果たしてポメラニアンがいたのか? 単に、映画のシチュエーションではありますが、それぞれの犬種の歴史と照らし合わせて、映画のワンシーンを観てみるというのも面白いと思っているガイドです。
何故なら、人に歴史があるように、犬にも歴史があり。犬という動物は、原始的な犬種を除いては、人間が、自分達に都合のいいようにつくり上げた動物と言えます。ならば、その歴史を振り返ってみることで、性格や特質などが自ずと見えてくる部分もあります。それは、一緒に暮らす犬種を選ぶ際のヒントにもなるのではないでしょうか。
さて、次のページでは、毛色や性格などについてのお話を。