文章:坂本 光里(All About「犬」旧ガイド)
無気力な青年の心の旅立ちをバックアップ
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| 犬の声が突然聞こえるようになってしまった青年とペス |
映画
『イヌゴエ』からわずか10カ月。早くも続編
『イヌゴエ 幸せの肉球』が12月2日から公開されました。
前作は人間の言葉を話す(というか発信する)犬、フレンチブルのペスが主役でしたが、今回も同じ。独り言のようにブツブツと本音をつぶやきながら、人間の方の主役である青年(阿部力)と東京から岐阜への鈍行列車の旅に同行します。
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| お金がないので鈍行列車の旅 |
主人公の青年は、どこにでもいそうな無気力で気弱なフリーター。いちおう町の写真屋さんにつとめていますが、仕事にも同棲中の恋人(中村麻美)にも、いまひとつハッキリした意思を示せません。お店の同僚には「おまえって、なんでも行き当たりばったりだなあ」なんて言われ、恋人の大切な誕生日も忘れてしまいます。
恋人は6年もつきあってきたのに、ハッキリした答えも出さず、誕生日すら覚えてくれないカレシに愛想を尽かし、とうとう荷物をまとめて出て行ってしまう。失ってはじめて気づいた彼女の存在の大きさ! 青年はなぜか夜中の町に駆け出し、彼女のお気に入りだったペットショップで、聞き覚えのある彼女の“声”にめぐり会います。ところが店内を覗くてみると、彼女と思った声の主はフレンチブルのペスのものでした。
声はたしかに彼女のものなのに、実態はオスの犬! しかもなぜか関西弁のイントネーションで、やたら「ハラ減った~」「交尾したい」とあられもない言葉を連発します。しかし青年は、ペスがなにか彼女の手がかりを持っているのではとの思いから犬を連れ帰り、かれが口にする「あさま食堂のミルフィーユビーフみそかつが食べたいなぁ…」を手がかりに、彼女の実家探しの旅に出るのでした。
相手の気持ちを思いやれば“声”は聞こえてくる
お話は、この青年が彼女を探しての旅立ちと道中での出来事を描いたものですが、前作『イヌゴエ』に引き続き、ペスは飼い主の気持ちなどどこ吹く風。あくまでもマイペースで、つねにブツクサ独り言を言いながら、それでもいつの間にか青年の心の支えになっていきます。
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| 青年とペスはしだいに心を通じ合わせていく |
あれほど無気力だった青年が、コンビニで用を足す間にいなくなったペスを探して町中を全力で駆け回ったり、飢えた野良犬の親子のために食べ物を分け与えたりする。彼はペスとの旅を通じて、精神的に成長し、自分が何を大切にしなければならないのかを考えることになっていくんですね。ペスの声は、何事にも無気力だった彼に一歩踏み出すためのきっかけを与えてくれた、ひとつの“啓示”だったということでしょう。
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| いいか、ここを絶対に動くなよ! |
本当は犬の声が聞こえようが聞こえまいが、いつかは自分で気づかなければならないことなのですが、相手の気持ちを思いやることが人間関係(人と犬の関係)においてはとても大切。青年は彼女のことをはじめて真剣に考えたからこそ、ペスの声が彼女の声に聞こえたということでしょう。人の気持ちをまったく考えないようないじめ事件や子どもの虐待が相次いでいるいま、『イヌゴエ 幸せの肉球』は「もっと耳を傾けて相手の考えようよ!」というメッセージを投げかけているように思いました。
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| 旅の途中で出会った犬たち、「まあこの子、裸だわ!キモ~イ」 |
それにしても、相変わらずマイペースでちょっとお下品なペスは、お世辞にも「ぬいぐるみのようにカワイイ」とは言い難いフレンチブル。だけど、通りがかりの犬たちから「あのフレンチ、いまどき裸なんて格好悪い」「丸見えで恥ずかしい」と囃し立てられ、「急に裸が恥ずかしくなってきた」と座り込んでしまうあたりは、とっても微笑ましくキュートでした!
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| 青年と彼女との恋の行方はいかに…? |
出演:ペス 阿部力
中村麻美 伴杏里 霧島れいか 山本浩司 温水洋一
監督:横井健司
脚本:山本浩司 横井健司
製作:永森裕二 関佳史 松本宏 青柳洋治 波多美由紀
細井俊介 江副純夫 松井建始
プロデューサー:太田裕輝
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渋谷シネ・ラ・セット・横浜シネマジャック&ベティにて
2006年、戌年ラストスパートロードショー!!!
■『イヌゴエ 幸せの肉球』公式サイト
■渋谷シネ・ラ・セット
■シネマジャック&ベティ
前作
『イヌゴエ』はこんな作品でした!