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獣医さんがつくる究極のドッグフード

動物の栄養学を在学中に学ぶ獣医さんはほとんどいませんが、それをみっちり勉強して犬の食性に合わせたフードづくりに取り組まれてきたのが、獣医師の資格を持つ「ほりんふ」の浦元進先生です。

執筆者:坂本 光里

一頭一頭の状態に合わせてフードをつくる!



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自分の名前のついたフードに夢中のアッシュ&ハービー

動物の栄養学を在学中に学ぶ獣医さんはほとんどいませんが、それをみっちり勉強して犬の食性に合わせたフードづくりに自ら取り組まれてきたのが、獣医師の資格を持つ「ほりんふ」の浦元進先生です。一頭一頭の状態を聞き、その子に合わせたドッグフードをオーダーメイドでつくるのが中心という浦元先生にお話を伺うことにしました。

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 消化生理の専門家・浦元獣医師
浦元先生は、大学時代から動物の食性と栄養学に強い関心を持ち、大学院では消化生理の研究をし、卒業して獣医師の資格を得てからも小動物の臨床ではなく、ペットフードを製造していた食品メーカー(当時)に就職されました。配属されたのは、もちろんペットフードの商品開発部門。そこで過ごされた15年は、先生の犬や猫の食べ物に対する知識・見識を高めると同時に、既成のフードづくりに対する疑問を育んでもきたそうです。

しかしバブルの崩壊とともに、ペットフードの価格が急落。低価格競争の中でその会社はペットフードから撤退することに…。これを機に会社を辞められた先生は、従来のペットフードを反面教師とした理想のフードをつくりたいと、「ほりんふ」を立ち上げられたわけです。

「ほりんふ」とは、すべての生命の根源を意味する「Holographic Infinty」から取ったもの。

どんなフードになるのか?

そこでさっそくお願いして、うちのアッシュとハービーのためのフードをつくってもらうことにしました。すると、「その前にアッシュとハービーについて少しお聞きします。あと2頭の写真を送ってください」(浦元先生)とのこと。

それをメールでお送りして待つこと4日。送られてきたパッケージを見てビックリ! なんと袋にアッシュとハービーの写真が…。そして、もうひとつのビックリは、2頭の猛烈な執着ぶりです。とくにハービーは、新しい食べ物には懐疑的、クンクン嗅ぐばかりで見向きもしないこともあるのですが、袋から出した段階で、ピタリとお座りをして目を輝かせ、ひたすら「待ち」の状態。差し出したボウルに、待ってましたとばかりに飛びつき、アッという間に平らげてしまいました。
そしてさらに驚きなのは、そのウ○チの量の少なさ。先生の言葉どおり、すべてきれいに消化しきったという印象のウ○チでした!

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どの子のためにつくられたかが一目でわかるパッケージ

そんなアッシュ(13歳♂)とハービー(11歳♂)のためのフードのパッケージに書かれた、浦元先生のレシピを紹介しておきますと、

●ドッグホロブロート/原材料(共通)
鶏肉、鶏卵、卵白、ラード、ヨーグルト、バター、米、きな粉(遺伝子組替え大豆を使用していない)、小麦粉、小麦胚芽、野菜(トマト、にんじん、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、アスパラガス等)、りんご、干し椎茸、エゴマ油、鰹節、海藻(昆布、ワカメ、ヒジキ、焼き海苔)、減塩醤油、酵母、ミネラル、ビタミン
※アッシュ用フードにのみビール酵母を使用

◆栄養成分&コメント/アッシュ用
蛋白質・約23~26%、脂肪・約7~10%、灰分・約3~6%、繊維・約0.4~0.8%、カルシウム・0.7~1.0%、リン・約0.5~0.8%、マグネシウム・0.05~0.07%、水分・35%以下(すべて乾物換算)、その他の栄養成分はAAFCOの栄養基準を満たしています。

アッシュ君は高齢ですので、生物価の高い良質の蛋白質を使用して蛋白質量を抑え、腎臓などに負担がかからないように配慮してあります。また、このことは不要な蛋白質の代謝を抑え、尿のアルカリ化を抑える作用がありますので、ストルバイトにもよいレシピです。さらに、今回は尿を酸性に傾ける作用があるビール酵母も加えておきました。

◆栄養成分&コメント/ハービー用
蛋白質・約21~24%、脂肪・約7~10%、灰分・約3~6%、繊維・約0.4~0.8%、カルシウム・0.7~1.0%、リン・約0.5~0.8%、マグネシウム・0.09~0.11%、水分・35%以下(すべて乾物換算)、その他の栄養成分はAAFCOの栄養基準を満たしています。

ハービー君は高齢ですので、生物価の高い良質の蛋白質を使用して蛋白質量を抑え、腎臓などに負担がかからないように配慮してあります。ハービー君のようにシュウ酸結石の経験がある場合は、マグネシウム量が低すぎるのは良くありませんので、アッシュ君よりもマグネシウム量を上げて、ハービー君に良いレベルに調整してあります。


いかがでしょう? じつにきめ細かいレシピですよね!
「アッシュくんもハービーくんも高齢なので、タンパク質を卵と肉類の組み合わせにしました。歳をとるとタンパク質はそんなにたくさん必要なくなるし、不必要なタンパク質を摂取すると、それを排除するために腎臓が働きすぎて疲れちゃうんです。だから腎臓疾患の子のタンパク質は卵から摂っています。これがほんとに効く。療養食を食べても全然駄目だったのに卵中心のフードに変えたら『数値が下がりました、おかげさまで今は元気に歩き回ってます!』という電話がかかってきます。極端なことをいえば、卵かけご飯にうちのサプリメントをちょっと足してもらえれば、症状はグッと軽くなるということです」(浦元先生)
このほか、ストルバイト結石のできやすい体質のアッシュのフードにはビール酵母が使われていましたが、こうしたサプリメントも症状に合わせて随時使われるそうです。

続いては犬の食性についてのお話です!


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