都心でも室内でも飼いやすい、穏やかな猟犬
 |
| 追いかけるのが習性なんです |
これってトムくんの飼われていた環境のせいなのか、それともアメリカン・フォックスハウンドという犬種の特性なのでしょうか。わたしも専門書やネットで調べてみたのですが、この犬種に関する情報の少なさには正直、驚きました。
アメリカン・フォックスハウンドは、もともとイギリスでキツネ狩りを目的につくられたフォックスハウンド犬が開拓時代にアメリカに持ち込まれ改良されたもので、イギリスのフォックスハウンドが集団で狩りをするのに対して、アメリカン・フォックスハウンドは単独での猟を得意とするそうです。コートのお手入れも布や短毛用ブラシでマッサージしてあげればOK。ただし猟犬ですから運動量はけっこう必要で、都会で飼う場合はできれば広いお庭のある家庭か、頻繁にドッグランなどに連れてってあげる必要があるとのことでした。
テンションが高まると雄叫びが始まる、これを制するのが一苦労
トムくんに会ったのは、「動物生命尊重の会」が参加するフリーマーケットの会場。そこにはトムくんと同じような境遇の子たちが数頭来ていましたが、トムくんは大喜びで「オゥ、オゥ」とオットセイのような声を上げ、そばに近寄って挨拶しようと必死でした。
わたしがそばに寄ると、すぐさまにおいを嗅いでチェック。ボディに触れながら「トムくん、はじめまして!」と声をかけると、しっぽをちぎれるほど振って挨拶を返してくれました。彼を見る限り、アメリカン・フォックスハウンドは他の犬にも人間にもとてもフレンドリーな犬種という印象です。
しっかり立てることは健康な犬であることの証し
写真を撮るためにステイの状態にしてもらうと、大型のハウンドドッグらしく長い足と水平な背線のラインがとてもきれい! 顔はビーグルをひと回り大きくりりしくした感じで、表情も思ったより豊かです。甲さんによれば、
「うちに来た当時は、やや情緒不安定でソファーにいたずらをされたこともありましたが、ダックスたちと共生するうちに、そういうこともなくなりました。いまはすっかり落ち着き、うちの中でもおとなしくしています」
ただ、運動量には気を付けているそうで、甲さんは歩行の訓練も兼ねて、お散歩しながら近所の公園で遊ばせておられるとのことでした。
「猟犬ですからやっぱり走っている時がいちばんイキイキして見えますね。ドッグランなどでリードなしで自由に走っているのを見ると、ほんとに幸せそうですから」(甲さん)
里親さん候補が現れたトムくん、どうかこのまま幸せに…
 |
| きょうでお別れかも、と甲さんはちょっぴり寂しそう |
トムくんに会ったその日、なんと鎌倉からトムくんの里親になりたいという方が見えられ、お見合いが行われたとか。その方は、もともとゴールデンを飼われていたそうで、大型犬のあつかいには馴れているとのお話でした。お見合いで相性を確かめ、問題がなければ「動物生命尊重の会」のスタッフがご自宅までトムくんを送りとどけ、その家庭で生涯「家族の一員」として受け入れられるか約1カ月間のトライアルに入るのだそうです(その後、無事トライアルに入ったという連絡をいただきました!)。
わたしとしても、このまま新しい家族のもとでトムくんが幸せに暮らすことができるよう、ひたすら祈るばかりです。
今回は「珍しい犬種」の取材だったわけですが、迷い犬だったトムくんとの出会い、そして動物愛護に熱意を持って取り組む人たちとの出会いは、いろんなことを学び考えさせられる貴重な機会でもありました。
とくに「動物生命尊重の会」の中村さんの「センターに収容されている子たちの多くは、きのうまで家族として飼われていた犬や猫たちなんですよ」との一言はとても重く、胸を突かれる思いがしました。
わたし自身はなにもできませんが、いま一緒に暮らしているアッシュ&ハービーを責任を持って最後まで飼うこと、この当たり前のことをまずは達成できるよう頑張ろうと、あらためて強く思いました。
■動物生命尊重の会
■東京都動物愛護センター
●これまでシリーズに登場した犬たちです↓
泳ぎの得意な使役犬、ポーチュギーズ・ウォータードッグ
チェコの王族に愛された超小型犬、クリサジーク
世界最小の鳥猟犬、ブリタニー・スパニエル
人間っぽい犬種のNO.1は、フレンチ・ブルドッグ