犬関連情報

更新日:2004年07月06日

LWDセミナー1 日本の犬の未来を考える

犬との幸せな生活を掘り下げる総合サイト「Living With Dogs」のセミナーに行ってきました。マルコ・ブルーノさんと坂本徹也によるダブル講演、そしてパネルディスカッションの充実した4時間でした。

文章:坂本 光里(All About「犬」旧ガイド)

「LIVING WITH DOGS」の新しい“場”づくり

あらゆる角度から犬との幸せな生活を掘り下げる総合サイト「LIVING WITH DOGS」(LWD)。そのLWDが開いたセミナーに行ってきました。
プログラムとしては、保護活動を通じて行政&一般への啓蒙・提言を続けるマルコ・ブルーノさんとペットジャーナリストの坂本徹也によるダブル講演と、一般参加者も加わってのパネルディスカッションという3本立て。これを今号と次号の2回にわたってレポートしたいと思います。

最初にLWDウェブマスター牛島さんからのご挨拶。LWDは96年に立ち上げられた犬の総合サイトで、犬との楽しい生活提案から終生飼養、トレーニング、健康管理、愛護活動、ブリーディングやペット流通の問題など、広範にわたって独自のオピニオンを展開しています。
今回のセミナーは、そんなLWDが愛読者たちとより密にコンタクトをしながら、犬たちを取り巻く諸問題とあるべき未来について語りあおうとした“場”なのですね。

犬が犬らしく生きられるヨーロッパ

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絶妙な語り口で日本の犬の現状を語るマルコさん
続いてマルコ・ブルーノさんの講演。『マルコの東方犬聞録』や『犬に尊敬される飼い主(ボス)になる方法』『ペットはぼくの家族』などの著書のあるオーストリア生まれのマルコさんは、作詞家であり写真家であり、翻訳や童話の執筆もされる多芸多才の人。そして今や東日本を代表する愛護活動の旗手的な存在といっていいでしょう。

17歳の愛犬ドンちゃんをアシスタントに連れて登場したマルコさんは、スライドを上映しながら絶妙な語り口で日本の犬の現状(惨状?)について話されました。
スライドの最初のほうは、ヨーロッパ各地で撮られた犬と人間との心あたたまる交流の現場写真。180センチもある巨漢に並ぶ大きさの大型犬たちが、庭先や公園、あるいはレストランやカフェなどでゆったりくつろぐ幸せな光景が続きます。犬たちの表情のやわらかいこと。なんのストレスもなく、幸せそのものといった印象です。まわりにいる現地の人たちも、犬がそこにいることなど気に留める様子もありません。
ああいいなあ、そう言えばわたしたちもアッシュとヨーロッパに行ったとき何度もこうした光景に出会ったな~と、懐かしく思い出しました。

転じて、日本の犬たちは?

ヨーロッパ各地と日本で撮られた写真の違いに思わずため息

しかし、このまま幸せな気分が続くのかなと思いきや、一転、写真はマルコさんの住む荒川の河川敷の風景に! するとそこには段ボールに入れられて捨てられた子犬やゴミの溜まり場に住む猫たちが映し出されていきます。
またスライドは、町中の道路ぎわに置かれた狭くて汚い犬小屋や、クサリにつながれっぱなしの犬たちも捉えていきます。なんという落差。彼らの表情はさきほどのヨーロッパの犬たちの穏やかなものとは大違い、敵意と不信感に満ちた哀しいものでした。

犬捨て山を通して見る日本の犬たちの現状

そしてエンディングは、山梨の犬捨て山の犬たちの写真です。不潔な犬舎、やせこけた犬、病気の犬…そこは人の愛情というものがどこにも見当たらない、おそろしい場所でした。マルコさんは、これらの写真を見ながらときに淡々と、ときには鋭いジョークを交えて日本とヨーロッパの犬たちの「飼われ方」の違いについて話を進めていきます。

マルコさんによれば、ヨーロッパの犬たちは社会に受け入れられているから他の犬や人間との接触機会が多い、そしてそれが社会に適応しうまくコミュニケーションできる犬をつくっていくという「好循環」を生むのだとか。
これに対して日本では犬を隔離し、接触機会を断つことで逆に社会化するチャンスを閉ざしてしまっているというのです。そして、飼い主の言うことを聞かない懐疑的な犬が生まれ、やがてはかわいがられることもなくなって「捨てられる」という結果に結びついていくわけですね。

一人ひとりが声に出して言うこと

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講演も無事終了、ほっと一息のおふたり
また、チェーンにつないだり狭い犬舎に入れっぱなしにしただけで罰金を取られるヨーロッパとは違い、日本の行政ではこれらの行為を「虐待」とは捉えていません。
マルコさんがこうした現状を保健所や役所に報告しても、担当者がいないと逃げてしまうのだそうです。ですが彼が犬捨て山の犬たちの面倒をみて、懸命に里親をつけていくうちに山梨の行政もしだいに変わっていき、今はとても協力的なのだとか。

マルコさんは言います。「やはり一人ひとりが声に出して言うことが大切。どうせ無駄だからと黙ってしまわずに、虐待を受けている犬がいればどんどん告発していきましょう。ひとつの声では無理でも、それらが集まればきっと行政も変わっていくはずです」

続いて次号では、第2部の坂本徹也の講演とパネルディスカッションの模様をお届けしたいと思います。ご期待ください♪

「LIVING WITH DOGS」
動物愛護支援の会(HELP)
「Pet Journal」

動物愛護関連の記事はこちら↓
 動物愛護とペットブーム
 ペット通販禁止の波紋
 セクターを越えた動物愛護
 動物虐待防止の特捜隊
 「捨てない」と言い切れますか?
 ペットは消耗品ですか?
 飼い主or買い主?
 ペットを飼わないことのすすめ

写真提供:「LIVING WITH DOGS」

(執筆者:坂本 光里)

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