寺・神社/はじめての寺・神社

不思議がいっぱい、日本仏教の謎解き講座

日本は寺や仏像が多い国なのに、多くの人が「自分には仏教徒ではない」と考えています。これは、仏教が盛んな他の国から見れば不思議なこと。そのほかにも、日本仏教には独特の性質がいっぱい。

吉田 さらさ

執筆者:吉田 さらさ

寺・神社ガイド

日本の仏教は
実は独特である

韓国では、お釈迦様の誕生日(潅仏会、かんぶつえ)が国民の休日となり、盛大なお祭りが行われる(韓国、開心寺にて撮影)
いつも寺めぐりのお話をしておりますが、今回は、思いっきり基本に返って、日本における仏教はどんな存在なのかについて考察してみましょう。わたしは宗教の専門家でも研究者でもないので、あくまで個人的な感想ですが、日本の仏教や寺のあり方は、かなり独特のものに思えます。

どんな点がそうなのか。
まず、これほどたくさんの寺や仏像があるにも関わらず、日本には、真の意味での仏教徒があまりいないこと。タイやスリランカなどでは、仏教は国教に近い存在で、国民のほとんどが仏教徒です。また、韓国では、まず生活習慣としての儒教があり、それ以外に、「わたしはキリスト教徒なので教会に行きます」とか「自分は仏教徒なので寺にお参りします」という形で、各人が(または各家庭が)個別の宗教を持っています。

日本には、6世紀に仏教が伝来した。奈良、山の辺の道に、「仏教伝来の地」の石碑もある。日本の仏教はここから始まり、その後、日本ならではの発展を遂げた
しかし、日本では、あなたの宗教は何ですかと問われれば、多くの人が「わたしは無宗教です」と答えます。これだけ寺めぐりをしているわたしも、特に何かの宗派の信徒ではなく、無宗教の立場です。にもかかわらず、日本人の多くは家ごとに菩提寺を持ち、このごろではかなり変わってきたとは言うものの、お葬式はその寺のお坊さんが執り行い、先祖代々の墓地もその寺にあるのが基本です。ほとんどの人がどこかの寺に属しているのに、「自分は仏教徒ではない」と考えるのは、他の国の人から見れば不可解なことでしょう。

日本の仏教には、それ以外にも、他の国の仏教とは違う特色がたくさんあります。それは、長い歴史の中でいろいろに変容してきたからです。日本の仏教とほかの国の仏教のどこが違うかを知っておけば、寺めぐりが、いっそう興味深くなります。

次のページはお坊さんが妻帯し、肉食もするという不思議な現象と、「葬式仏教」と揶揄される日本仏教の現状についてです。
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