葬儀・葬式/埋葬方法

墓石をつかわない個人墓~樹木葬~(2ページ目)

樹木葬とは、1999年以降に登場した新しい葬送の形です。墓石のかわりに樹木や花を植えて墓標とし、遺骨は土にそのまま埋葬します。自然を壊さない墓地として、環境にもやさしいと注目されています。

吉川 美津子

執筆者:吉川 美津子

葬儀・葬式・お墓ガイド

樹木葬の歴史

樹木葬
雑木林のような自然美あふふれる樹木葬墓地もあれば、ある程度足場が整えられている樹木葬墓地もあります。検討したら実際に現場へ足を運んでみましょう。
日本では1999年、岩手県一関市に第一号の樹木葬墓地が誕生しました。祥雲寺(※1)が里山を買い、地域住民の了承と行政の許可をとって樹木葬墓地として開発。手つかずの自然にあふれた里山の一角に遺骨を埋めて、その上に樹を植えるという散骨に似た形ではありますが、散骨と違いきちんと指定された場所で遺骨を埋葬しますので立派な墓地のひとつといえます。

その当時は海へ遺骨をまく散骨が話題になっていた頃。一方で山への散骨を希望する人がではじめた頃でもあります。ただし海と山と大きく違うのは法律に触れてしまうという点。土に勝手に遺骨を埋めてしまうことは「墓地埋葬法」で禁止されていますので、散骨とは違う埋葬方法が求められていた時期でもありました(※2)。
祥雲寺の樹木葬は墓地の概念をくつがえし、「自然に還る」「後継者がいなくても大丈夫」「費用が割安」ということもあって話題になりました。

※1
樹木葬墓地は、祥雲寺の墓地として一関市から許可を得ましたが、当初から樹木葬墓地は祥雲寺別院知勝院として運営されていました。2006年に宗教法人格として知勝院が認定されて以降現在に至るまで、樹木葬墓地は知勝院の墓地として紹介されています(知勝院HPより)。

※2
海への散骨については1991年「葬送のための祭祀として節度をもって行われる限り遺骨遺棄罪に該当しない」と当時の厚生省、法務省から発表され認められています。

樹木葬の特徴

樹木葬が認められている場所は、あくまで墓地として認定されているところのみ。そのためお寺の一角を樹木葬専用墓地として開発しているケースが主流となります。
特に、過疎化が進んだ地域のお寺では檀家離れが急速に進んでいることもあって樹木葬に注目しているところも多く、今後も増えていくことが予想されます。樹木葬は、墓石を立てるお墓と違って「檀家に限る」という条件はありません。また、以前の宗旨・宗派を問わずに申し込みができるところも多いようです。

費用の相場はひとり30万から50万円くらい。このほかに年間管理費を8000円~15000円納めます。樹木の購入費は別途必要となります。

なお、樹木葬をうたっている民間企業もありますが、墓地としての許可を得ずに散骨を推進しているケースもありますので実態をよく調べたほうが良いでしょう。

現在樹木葬を実施しているところ

桜葬
樹木を桜の木に限定している「桜葬」を行っているところもあります。
現在樹木葬を実施しているところをご紹介します。

知勝院 (岩手県一関市)
天徳寺 (千葉県いすみ市)
宝宗寺 (山口県萩市)
みらい園 (東京都大島町)
正福寺 (鳥取県西伯郡)
醫王寺 (兵庫県神崎郡)
龍散寺 (神奈川県伊勢原市)

※それぞれ費用、利用規約などが異なりますので詳しくはお問い合わせください。

次ページでは、樹木葬についてのQ&Aをお届けします。
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