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築城400年、世界遺産候補の彦根城【滋賀】

日本最大の湖、琵琶湖の畔にある彦根城では、築城400年を祝して「国宝・彦根城築城400年祭」を開催中。日本国内の世界遺産暫定リストに掲載済みで映画や時代劇のロケにも多数使われている彦根城をご紹介します。

村田 博之

執筆者:村田 博之

名所・旧跡ガイド

彦根の地図
今回の行き先は、【滋賀】
築城400年、世界遺産候補の彦根城
日本最大の湖である琵琶湖の周辺は、京都や北陸、東国への交通の要衝であり、歴史の節目となる合戦が何度も行われた天下取りに取って大変重要な場所でした。

その中で琵琶湖の東岸に位置する彦根(ひこね)は、関ヶ原の戦いで徳川家康率いる東軍が勝利した後に、井伊氏が藩主となって彦根城を造営、彦根藩の城下町として繁栄した街です。

1607年に彦根城の天守が完成してから2007年がちょうど400年となることから、彦根では「国宝・彦根城築城400年祭」が開催中。連日たくさんの人が彦根を訪れています。

今回は、日本国内の世界遺産暫定リストに掲載済みで、映画や時代劇のロケにも頻繁に使われている彦根城をご紹介します。

国内に4つしかない国宝の城の一つ

彦根城/天守
築造400年を迎えた彦根城の天守。彦根城と同じく琵琶湖の畔にあった大津城の天守を移築して作られたとのこと(2007年8月撮影)
江戸時代に出された一国一城令や、明治維新の際に布告された廃城令により、それまでに築かれた多くの城が廃城となり、取り壊されました。取り壊されずに残った城は、全部で12しかありません(注1)。そのうち4つが国宝に指定(注2)されており、今回ご紹介する彦根城Yahoo! 地図情報)も国宝に指定されています。

注1 …… 弘前城(青森)、松本城(長野)、丸岡城(福井)、犬山城(愛知)、彦根城(滋賀)、姫路城(兵庫)、備中松山城(岡山)、松江城(島根)、丸亀城(香川)、松山城(愛媛)、宇和島城(愛媛)、高知城(高知)

注2 …… 松本城、犬山城、彦根城、姫路城


彦根城/廊下橋と天秤櫓
天守へ上がる途中にある廊下橋と天秤櫓(2007年8月撮影)
彦根城が造られたのは、関ヶ原の戦いの後。元々彦根には、鎌倉時代に造られた佐和山城という山城がありました。交通の要衝にあることから歴代の戦国武将も佐和山城を重要視し、織田信長は丹羽長秀を、そして豊臣秀吉は石田三成を配して彦根を治めています。

豊臣秀吉が没し、関ヶ原の戦いで石田三成が指揮を取る西軍が徳川家康率いる東軍に破れた後、佐和山城も落城。その後、彦根には関ヶ原の戦いなどで功績を挙げた徳川四天王の一人、井伊直政が着任し、佐和山城に代わる新しい城を造ることを決めます。

1602年に志半ばで直政が没した後、直政の子である直継と直孝が城の造営を行い、1607年に完成したのが彦根城の天守でした。彦根城と同じく琵琶湖の畔にあって関ヶ原の戦いの前哨戦で東軍側に付き落城した大津城の天守を移築して作られたというのが不思議な縁ですね。

また大手門から天守へ向かう途中にある天秤櫓も、同じく琵琶湖の畔にあった長浜城から移築したもの。鐘の丸から天秤櫓にかかる廊下橋は、もし城が攻められた時に橋を落とすことで敵方を城内へ容易に入れないようにするため、このような構造になっています。

広い城内、ゆっくりと天守を目指す

彦根城/大手門から天秤櫓へ
大手門から天秤櫓へ向かう坂道。勾配のきつい上り坂です(2007年8月撮影)
外堀、内堀が残る彦根城の城内は、大変広いです。歩きやすい靴で行くのがいいですね。ガイドは外堀にかかる京橋から内堀にかかる大手橋を渡って大手門へ入るルートを使いましたが、他に黒門や表門からも城内に入れます。

大手門から天秤櫓までは、道幅は広いけど勾配のきつい上り坂。表門からも長い石段を登ることで天秤櫓に着きます。鐘の丸から廊下橋を渡って天秤櫓を通ると太鼓門櫓までは登りの石段です。

どちらも重要文化財に指定されている天秤櫓と太鼓門櫓は「国宝・彦根城築城400年祭」開催中の間、内部が公開され、様々な特別展示と共に彦根城の入場料のみで見学できます。

彦根城/太鼓門櫓への石段
太鼓門櫓への石段。太鼓門櫓を通ると本丸にたどり着きます(2007年8月撮影)
太鼓門櫓をくぐり抜けると本丸。最初の画像に示したように三層の天守が出迎えてくれます。広い城内の割にはこぢんまりした天守ですね。天守の内部も公開されているので、入口で靴を脱いで見学ルートに従い天守に登ることもできます。

しかし再建された城とは異なり400年前の構造そのままなので、エレベーター等は全くありません。下の階と上の階をつなぐ階段も人ひとりが通れる幅で傾斜角が70度近くあるとても急な階段です。足下に注意して上り下りしましょう。

彦根城天守からの眺め
彦根城天守からの眺め。眼下には玄宮園が見えます。見通しが良ければ伊吹山なども見えるとのこと(2007年8月撮影)
急な階段を上り詰めると天守の最上階。天守自体が山の上にありますし、周囲にも高い建物がないので、琵琶湖や彦根市内が360度にわたってぐるっと眺められます。

ガイドが行った時は、もやがかかって遠くは見えませんでしたが、見通しが良ければ滋賀県最高峰(標高1,377メートル)の伊吹山や琵琶湖に浮かぶ多景島なども見えるとのことです。

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