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鶴見線に乗ろう!【前編】大川支線?海芝浦(2ページ目)

JR鶴見線は東京湾の埋立地にある運河と工場地帯をぬって走る路線。東京から30分と近いのに、その独特の風景はどこかローカル線に通じるものがあり、不思議で魅力的。今度の休みは、鶴見線に乗ってみませんか。

執筆者:高橋 良算

土休日は1日わずか3往復、超ローカル線の大川支線

大川駅
大川駅を発着する電車は少ない
安善(あんぜん)駅を過ぎて少し行くとすぐに武蔵白石(むさししらいし)駅だが、大川行の電車はその直前で本線から分岐して支線へ進入する。

大川支線は短い支線で、営業キロで言えばわずかに1.0kmしかない。だから工場の間をちょっと走っただけで、もう終点の大川駅に停まっていた。この大川支線には1996(平成8)年まで、クモハ12という戦前製の電車が走っていたことでも知られる。

大川支線は、運転本数が少ない。平日は11往復あるが、土休日にはなんと3往復にまで激減する。いずれも昼間はまったく運転がなく、土休日の本数だけで言えば、岩手県の超ローカル線・岩泉線と同じである。大川着の時刻は、土曜日である今日の場合、今乗って来た7時23分着、8時8分着の次はなんと17時58分着で終電なのだ。

大川駅
利用客のほとんどは工場への通勤者
東京の近くにこんな路線があるというのもすごいが、こういうダイヤになっているのは、この大川駅の周辺にある工場の従業員が通勤に利用するだけだからである。

土曜日とはいえ下車した客はけっこう多かったが、皆そのまま工場への道を一列になって黙々と歩いて行った。

肩身の狭い部外者、あわや不審者

大川駅
殺風景な駅のホームを紫陽花が彩る
通勤客が行ってしまい、今日3本しか来ないうちの1本が折り返し発車してしまうと、風景がにわかにわびしくなる。屋根の付いたホームがポツンと朝日を受けて、所在なげにたたずんでいる。駅の入口脇に小さな小屋のようなものがあるが、これは駅舎とは言い難い。貨物用の側線が先へと延びているが、あまり使われていないのか赤錆びていた。

大川支線に沿って道路がある。工場通勤の乗用車も多いが、大型トラックも多くやってくる。その中に混じって、パトカーが走っている。しばらくすると、また同じパトカーが回って来た。2回ともそのまま行ってしまったから、駅に不審人物がいると通報されたわけではなかったようだ。

周囲は工場ばかりで部外者の行くようなところはないし、そもそも他に部外者の姿は見当たらないからどうしても目立ってしまう。テロなどの警戒もあるのか、駅前には監視カメラもあり、そういえばどことなく物々しい雰囲気がないこともない。

大川駅
鶴見火力発電所跡の碑
そんなわけであまりウロウロしたくはないのだが、すぐ近くに公園があったのでとりあえずのぞいてみる。今日は朝から陽射しが強いのですでに暑く、妙に草むした公園には草の匂いが漂う。その片隅に「鶴見火力発電所跡」という碑が設置されていた。

公園を出てきても次の電車までまだ30分くらいある。もうこれ以上この場に居たたまれなくなり、歩いて武蔵白石駅まで戻ることにした。ゆっくり歩いても15分くらいだから、すぐである。


鶴見線の駅名と海芝浦駅の景観 >>
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