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愛人に全財産を譲る遺言なんて許せない!

亡き夫が愛人に全財産を譲り渡すという内容の遺言をのこしていました。長年連れ添った家族ではなく、つい最近知り合ったばかりの若い女の子に全財産を譲り渡すなんて絶対に許せません。なんとかなりませんか?

酒井 将

執筆者:酒井 将

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愛人に全財産を譲り渡すという内容の遺言を残された場合、相続人としてはなす術がないのでしょうか?今回は、遺留分について解説します。

愛人に財産を譲るという遺言

愛人に財産を譲るという遺言
愛人に夫の全財産を持っていかれたら残された家族は悲劇ですね。
私の主人は、昔から遊び人で、浮気が途絶えることはありませんでした。しかし、私たち夫婦には、3人の子どもがおりましたので、私は子どもが成人になって独立するまでは、夫と別れるのはやめようと思い、これまでずっと我慢してきました。昨年、やっと一番下の子が就職し、一人暮らしをはじめたので、私もようやく主人と別居することにしました。

ところが、今年に入り、主人は末期のガンに侵されていたことがわかりました。私は別居したとはいえ、長年連れ添った主人をあわれに思い、入院中の主人を毎日のように看病しました。しかし、必死の看病の甲斐もなく、主人は亡くなってしまいました。

主人が亡くなった後、主人の愛人であったという女性が、主人が残したという公正証書遺言を持ってきました。遺言の内容は、すべての遺産を愛人であるこの女性に譲り渡すというものでした。その遺言を見たときは非常にショックを受けました。わたしや子どもたちは、主人の遺産を相続することはできないのでしょうか?

相続については民法に規定がある!

民法では、人が亡くなったときに、財産を誰にどのように分配すれば良いかについて、規定しています。もし、ご主人の遺言がなければ、民法の規定にしたがって、遺産を分配することになります。具体的には、妻に2分の1、3人の子どもに6分の1ずつ、分配されます。分け方については、相続人たちで協議して決定することになります。

しかし、遺言がある場合には、原則として遺言に記載されたとおりに相続することになります。つまり、ご相談の件では、ご主人の遺産は全て愛人のものとなるのが原則であり、あなたはこのままではご主人の遺産を相続できません。

次のページでは、どうすれば遺産を相続できるのか、その方法について解説します。
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