文章:越智 三起子(All About「フランス語」旧ガイド)
記事『
こんな僕でも翻訳家になれる?』では、プロの翻訳家高野優先生のご協力をいただいて、「まだまだレベル」~「もうちょっとレベル」までの翻訳バーチャル授業をお届けしました。後編では、頭を初心者モードに戻していたガイドも、そろそろ本気モードにチェンジして、プロレベルの翻訳にチャレンジしたいと思います。まずは、課題を再度確認しておきましょう。
課題:Deux puces savantes font des exhibitions dans un cirque. Un jour, il y en a une qui dit à l'autre : On commence à gagner pas mal d'argent … Bientôt on vas pouvoir s'acheter un chien !(出典:『Dictionnaire des histoires drôles』Nègre Hervé,Fayard)
単語の確認は
こちらから。
【Sommaire】
まだまだレベル
がんばってレベル
もうちょっとレベル
下訳者&新人レベル
この訳し方、タブーなの?
プロレベル
翻訳で一番大切なこと下訳者&新人レベル
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| 細かい質問にも丁寧に答えてくださる高野優先生 |
ガイド:さて、高野先生、前編でご指摘いただいた「il y a ~」の部分の体言止め、ノミの台詞の箇所を検討してみました。とりあえず、素直で真面目な翻訳学校の生徒さんをイメージして「器用な若者風」の訳と、puce(ノミ)は女性名詞でもありますし、こんな可能性だってあるということも示したかったので、「乙女の場合」という2つを考えてみたんですけど……。
器用な若者風:(1)二匹の芸達者なノミが、サーカスで見せ物をしていました。(2)ある日、一匹がもう一匹に向かってこんなことを言い出しました。(3)「ぼくたちの稼ぎもかなりのもんになってきたから、(4)そろそろ自分の犬だって買えるころだね。」 乙女の場合:(1)華麗な芸をみせる二匹のノミが、サーカスで働いていました。(2)ある日のこと、そのうちの一匹がもう一匹にむかって言いました。(3)「あたしたちも、結構なお金をいただけるようになったから、(4)もうすぐ犬が買えるんじゃないかしら。」高野:素晴らしい! どちらの訳も新人レベル、いえ、それ以上のレベルです。さすがガイドさん、本気を出せばちがいますね。十分、プロの訳として通用します。
ガイド:高野先生っ、ホメるときはもっと大きな声でお願いします。(笑)
原文の構文にとらわれず、重要な動詞を探そう!
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| 芸達者?華麗な演技? |
ガイド:それでは、内容に関してもう少し具体的なコメントをただけますか?(2)の部分なんかは、il y en a ~という構文にひきずられてしまうとどうしてもうまい訳ができないので迷ったんですけど。
高野:il y en a ~の文は、前回、高野が「体言止めではなく、動詞で終わらせる形で」とお願いしたのですが、
y avoirではなく、関係代名詞節にあった
dire(言う)を中心にしたので、きれいな流れになりました。
意味のうえではこちらのほうが大切な動詞なので、こんなふうにそれを中心に文章を組み立てればいいのです。
ガイド:なるほど。
高野:それから、「若者風」、「乙女の場合」のふたつのパターンで、セリフだけではなく、
savantという単語を訳し分けているのも見事です。「乙女の場合」はやはり「華麗な芸」ですよね。美しい舞台衣装に身を包んで、辻のみ(愛称ノノノミ)ちゃんやミニノミ(古っ!)のメンバーが跳ねまわる姿が目に浮かびます。
ガイド:(うっ、先生、なんだか一人で「華麗な」世界に入り込んでしまったようです。)
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高野先生のガイド訳に対するツッコミがご覧になれます。