文章:山本 浩司(All About「男のモバイルグッズ」旧ガイド)
LANケーブルを繋がなくてもインターネットに接続できる無線LAN。この便利さは一度体験すると手放せなくなりますよね。しかし、きちんとセキュリティ対策をしなければクラッカー(不正攻撃者:ハッカー)に悪用されるおそれがあります。そして、とうとう恐れていた事態が起こってしまいました。
●Yahoo! NEWS
他人の無線LAN盗用…不正アクセスで逮捕の大学職員■狙いは個人情報より「踏み台」 |
| いまだに見つかる無防備な無線LAN(写真はイメージ) |
なぜ、他人の無線LANを盗用してするのか。それはインターネットの仕組みを理解すると分かります。
インターネットに接続される機器には、「IPアドレス」という識別番号が割り振られています。IPアドレスは2の32乗個、膨大な数ですが、どれとも重複しないように管理されています。「192.168.0.1」のように、ピリオドで区切られた数字のセットを見たことはありませんか? これがIPアドレスです。このIPアドレスは誰とも違うものが割り振られます。
サーバには「アクセスログ」という、アクセス記録が残っています。これには、接続を要求してきたIPアドレスとアクセスした時間などが記録されています。
IPアドレスは、どの会社やISPが管理しているか簡単に調べられます。サーバのアクセスログに残っているIPアドレスをもとに管理者を特定して、「○時○分に、このIPアドレスを使っていた接続IDやADSL回線はどれか」を調べれば「犯人」を突き止められるでしょう。
ISPには、「○時○分に、どの契約者に何番のIPアドレスを割り振ったか」記録が残っています。接続記録と、契約した時の個人情報を照合すれば、最終的に個人が特定可能になるのです。
インターネットを使ってサーバを攻撃したり、侵入するときにも、このIPアドレスが残ってしまいます。自分が契約しているISPから攻撃すれば、すぐにバレてしまうでしょう。そこで使われるのが無防備な無線LANなのです。
無防備な無線LANに接続してサーバを攻撃するとどうなるでしょう。サーバから見える攻撃元のIPアドレスは、無線LANの設置者のものになります。ニュースの例では会社役員ですね。
ニュースの例では身の潔白を証明できたから良かったものの、できなければ「
無線LANの設置者がサーバを攻撃した」ことになってしまいます。「自分のパソコンには重要な情報は入っていないし、クレジットカードも持っていないので関係ない」。そんな風に油断している人がいますが大きな間違いです。
電波が道路まで漏れているなら、敷地に入ることなく無線LANを盗用できます。簡単に接続でき、自分の痕跡が残りにくく、他人の敷地に入るリスクもない。無防備な無線LANは、かっこうの隠れ蓑なのです。