外国語学習の臨界期
過去に行われた研究の多くは、外国語学習にも臨界期があるという説を支持しています。
例えば、ある研究では、ハンガリーからアメリカに移住した57人の被験者を例に、彼らがアメリカに移住した年齢と英語力との相関関係を調べました。彼らがアメリカに移住した際の年齢は、1歳〜40歳まで様々でした。彼らに英語の文法力試験を行ったところ、アメリカに移住を開始した年齢と、文法力テストの間には、強い負の相関関係がありました。つまり、アメリカに移住した際の年齢が高ければ高いほど、文法力テストでの得点は低くなったのです(De
Keyser 2000)。
アメリカに移住した際の年齢と英語の発音との相関関係を調査した別の研究でも、移住の際の年齢と、英語の発音には、やはり強い負の相関関係があることが判りました。
興味深いのは、多くの研究において、移民の英語力は、アメリカでの居住年数よりも、アメリカに初めて来た際の年齢との間に大きな相関関係がある、ということです。つまり、15歳でアメリカに到着して10年間そこで暮らした移民の英語力は、30歳でアメリカに渡り20年間そこで暮らした移民のそれよりも、全体的に高くなる傾向があったということです。
言語習得能力が失われるのは何才くらい?
移住開始年齢と外国語能力との相関を調査した研究は、外国語学習の臨界期という問題に、多大なる示唆を与えてくれます。生後一定期間を過ぎると、スズメが歌を学ぶことができなくなったように、われわれ人間も、生後ある年齢を過ぎると幼児のように自然に外国語を学習する能力は失われてしまうようです。
外国語学習の臨界期がいつであるかについては、意見が分かれています。しかし、ほとんどの専門家が、思春期〜16歳を過ぎてからでは、ネイティブとほぼ同等の文法能力を身につけるのが極めて困難になるという見解を述べています。また、文法に比べて発音の臨界期は早く、6歳頃に臨界期が来ると言われています。
次回の記事では、臨界期についての事実を踏まえつつ、「英絶式」学習法が本当に可能なのか、更に詳しく考えて見たいと思います。
【関連サイト】
きれいな発音は9歳までがカギ! (from All About Japan子供のための英語)
英語学習を科学する (from 「英語を学ぶすべての人へ」)
【参考文献】
De Keyser, R.M. "The robustness of Critical Period effects in second language
acquisition." Studies in Second Language Acquisition 22 (2000):
499-533.
Ellis, Rod. Second Language Acquisition. Oxford: Oxford
University Press, 1997.
白畑知彦. 「年齢と第二言語習得.」 第二言語習得研究に基づく最新の英語教育.
(監修)小池生夫, (編)SLA研究会. 東京 :大修館書店, 1994.
スティーブン・ピンカー. 言語を生み出す本能(下).
NHKブックス.(訳)椋田直子. 東京: 日本放送出版協会, 1995.
鄭 讃容.
英語は絶対、勉強するな!―学校行かない・お金かけない・だけどペラペラ. (訳)金 淳鎬. 東京: サンマーク出版,
2002.
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