~前月・当月発売分の雑誌から、藤原の独断と偏見で興味深い「住まいを考える」系雑誌記事を選ぶ企画。前回までの「MIN(Most impressive housing news)」方式から数誌並列ピックアップ方式に変更! 通算5回目となる今回は、10月の「Yomiuri Weekly」から2記事をピックアップしました。~
Yomiuri Weekly[ヨミウリ・ウィークリー]
(読売新聞東京本社/350円)
2005.10.9号 「地盤マップ」でわかる震災「危ない町」
2005.10.30号 「人気マンション」実名ランク東西122
例えばピッキング犯罪にしろ、電車内の痴漢(男性の被る冤罪も含む)にしろ、自分自身やごく身近な人がその被害に実際遭うまでは、どこか彼岸の火事に過ぎないと思っているものではないだろうか。
「災難だな、気の毒に」。その最たるものが地震災害なのではないかと思う。ニュースで報じられる映像に眉をしかめつつ、怖いと思いつつ、でもピンと来ない。自分自身に起こりうることだとは、どうも、思えない。
でも「自分自身に起こりうるか否か」の線引きが、数十キロ、数百キロという距離を置いて行われるとは限らない、という不気味さを醸し出しているのが、この
「地盤マップ」でわかる震災「危ない町」という記事である。見慣れた東京都、杯状のカタチが左から右にかけて(西から東にかけて)茶、紫、青、緑、赤へのグラデーションで塗りつぶされている。
この図を見ると、いわゆる「下町」と言われる地域が真っ赤になっているのが一目瞭然だ。これは「沖積低地5(赤)」。軟弱な堆積層の厚さが40メートル以上の地盤の悪い地域を表す。地震が起こった際、もっとも被害が発生しやすいと言われている。
ただ、この「青から赤のグラデーション」は細部まで見ると、そう単純ではないことが分かる。例えば品川区などは、区内が7色に分かれている。これは、品川区というごく狭い範囲において地盤は、地震に弱い「沖積低地3(黄)」「沖積低地4(橙)」「谷底低地1(桃)」「谷底低地2(水)」「台地2(緑)」と、比較的地震に強い「台地1(青)」とが混在している状態だということを示している。単純に海沿いだけが危ないというわけでもない。
今年、7月23日の夕方に首都圏を揺らした地震の際、ある事実が顕著に示された。震源に近い千葉県東金市は震度3だったにも関わらず、東京都足立区伊興では最大震度である震度5強だった。同様に震源から同程度の距離であっても、都内のごく近いエリアにおいてさえも、揺れの強度には大きな差異があらわれた。
「隣町の友人宅はまるっきり無事なのに、我が家は倒壊…」
ということは、充分あり得るわけだ。
誌面ではオールアバウト
「住宅購入のノウハウ」ガイドの平野さんが多くコメントしている。ここにあった氏の「一般的に、地震に弱い軟弱地盤は水害にも弱い」という言葉には、これまで私達が目先の利得に惑わされて、敢えて見ようとしなかった重要なポイントが集約されているといっていいだろう。ここ数年の災害の特徴に、地震災害と水害の同時期・同地域発生があることに、皆気づいているはずだ。自分の住んでいる地域の地盤に不安を感じるなら、国土地理院のホームページから「土地条件図」を参照されたい。無料で閲覧できる。
●国土地理院http://www.gsi.go.jp/>「土地の歴史を知る」から「土地条件図」参照。
さて、そんな地震災害、水害などへの危機意識の高まりとは相反するように、次号では
「人気マンション」実名ランク東西122という特集が組まれているところが、面白いというか現実的だ。
情報提供しているのは、ガイドも愛用しているマンション情報サイト
住まいサーフィンhttp://www.sumai-surfin.com/。ここのデータの確かさには定評がある。
「大地震がいつ来るか」と言われつつも、いまジワジワと都心の地価は上昇している。この気流に乗るように周辺部の地価にも動きが生じ、それはマンション価格にも影響する。そういう大きな波の中で、キラリと光る物件に人気が集中する。けだし自然な流れである。
とはいえ昨今のマンションは、ある意味「多様化」し過ぎていて(地盤の善し悪しというひとつのスケールはあっても)さまざまな付加価値等々によって、「何がいいのか、悪いのか?」検討途中でワケが分からなくなってしまうきらいがある。そんなときこの実名ランクはひとつの指標になりうるだろう。
●住まいサーフィンhttp://www.sumai-surfin.com/