ハンドメイド・手芸/ハンドメイドの実例

リサイクル感覚の手芸フックド・ラグの魅力 フックド・ラグ作家に聞く

フックド・ラグの魅力について、もう少し深く掘り下げるために、フックド・ラグの本の著者に直撃インタビュー!

執筆者:佐々木 純子


フックド・ラグという手芸については、以前にもご紹介しました。(バックナンバー参照)フックド(Hooked)とは、かぎ針で作ったという意味で、ラグ(Rug)とは敷物のこと。ウールのひもをキャンバス地に刺しながら、模様を描いてマットを作る手芸です。今回はフックド・ラグの本を出版した手芸家の櫻井紀子先生にお話を伺いました。
フックドラグの本を作った櫻井紀子先生にインタビュー

まず初めに、櫻井先生がはじめてフックド・ラグに出会ったときのことを教えてください
私は昔、アパレルメーカーでデザインや企画の仕事をしていたんですよ。そこはアメリカの提携ブランドでしたので、海外のファッション誌を見る機会が多く、パラパラとめくっていたらフックド・ラグを見つけたんです。最初は何だか分かりませんでしたが、どうやらハンドメイドのマットらしいということだけは分かりました。何て素敵なデザインなんだろうと思いましたが、残念ながら作り方は載っていませんでした。

それですぐにフックド・ラグを始められたのですか?
いえ、結婚や出産により仕事を退職し、しばらくは専業主婦をしていました。でも、元々手作りは好きでしたから、子供が幼稚園になった頃に、パッチワークの教室を始めるようになったんです。パッチワークを教えながら、フックド・ラグのことはずっと頭にありましたが、日本ではなかなか習う機会がありませんでした。ところが、あるとき朝日カルチャーセンターで、フックド・ラグの講習をやるということで「これは」と思い、習いに行きました。それからあまりの面白さにのめりこんでいきました。

フックド・ラグのいったいどういうところが魅力なのでしょうか?
フックド・ラグは、作業自体は手芸の中でも単純なんですよ。専用のかぎ針でひもを引っ掛けるだけですから。だけど、描きたい模様は自由に描けるし、何より仕上がりに本物感があるんです。

本物感・・・ですか? 具体的にはどういう感覚なんでしょう?
手作り品の中には、子供だましというか、まやかしっぽいものがありますよね。上手ではない人が作るとどうしても、既製品に比べると安物のように見えてしまう・・・。それが手作りの良さではあると思いますけれど、でもフックド・ラグは、どんな人が作っても、しっかりした重圧な出来になります。上手い人でも下手な人でも手触りの良さに変わりはないんです。素材が持つ温かさが自然と出てくるのかもしれません。しかも、ラグ(敷物)ですから、使えば使うほどに味が出てきます。作ったばかりのラグは、少々毛羽立っていたりしますが、そのうち表面が平らになって、織ってある本物の絨毯のように変わってくるのです。

ラグという名前から、フックド・ラグはラグマットを作る手芸だと思うのですが、他にはどういうものをお作りでしょう?
フックド・ラグは、開拓時代のアメリカで、布が貴重だったころに流行した手芸です。もめんの布はパッチワーク・キルトとしてベッドカバーになり、ウール地はフックド・ラグとして敷物になったのです。ですから、基本はマット。でも、先月私が出した本にも載っているように、バッグやぬいぐるみまで、いろいろなものに応用できます。たとえばぬいぐるみの場合、周囲の縫い代以外は刺さずにおき、平面の状態でフックド・ラグを仕上げます。それから縫い合わせるだけなので、難しくはありません。クッションやバッグも同様です。全部を刺すのが大変なときは、アップリケ感覚でモチーフだけを部分的に刺してもいいんです。

なるほど、だんだんフックド・ラグが作りたくなって来ました。では、デザインを自分で考えようとしたときに、どういう図案を描けばいいのでしょう?
アップリケや刺しゅうと違い、フックド・ラグはどんな絵でも刺すことができるのが魅力です。子供が描いた絵だって構わないんです。ただ、刺すときに気をつけなければいけないことは、細かいラインを先に刺すこと。文字や輪郭、目などの重要な部分を先に刺して、最後に背景の面を刺すようにしてください。そうすれば絵柄がはっきりして、描きたいものがより鮮明に見えます。

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