先月、10月3日からナップスターとタワーレコードが共同で開始した
ナップスタージャパン、さらに26日にはHMVジャパンも音楽配信サービス
HMV DIGITALを開始する一方、今月1日にはオリコンが昨年3月からサービスを開始していたPC向け音楽配信サービス、
ORICON STYLEを赤字などを理由に今月末でサービスを終了し、アフィリエイト型へと移行していくと発表するなど、PCでの音楽配信サービスは激しい新陳代謝が繰り返し行われています。

PCでの音楽配信は急激に伸びているものの…
ナップスタージャパンは東芝、シャープなどの携帯オーディオプレーヤ以外にも11月6日にはiモード対応端末向けの有料音楽配信サービスを開始しするなど、PCだけに留まらず、携帯電話で音楽を楽しむユーザーへのサービスも同時に展開しています。また、まだまだ噂の段階ですが、アップルは来年にも携帯電話業界に参入するという話も出ています。勿論、日本でも同様な展開があるかどうかは不明ですが、今後の音楽配信サービスはPC、携帯電話どちらでも利用できるサービスでないと生き残ってはいけないのでしょうか?
ナップスタージャパンの実力は?
ナップスタージャパンが今までの日本の音楽配信サービスと一番違う点は、サブスクリプション、つまり定額制の聞き放題サービスを兼ね備えている点です。これは以前、
「音楽配信を変える公開プレイリストとは?」でも紹介したサービスですが、楽曲を購入し、PCにダウンロードするのではなく、洋楽を中心に150万曲以上の楽曲を毎月、一定額の金額を支払い、ナップスター内に自分のプレイリストを保存し、好きな時に聞く、もしくは、携帯オーディオプレーヤや、携帯電話に転送して聞くというスタイルのサービスです。また、同じナップスターのユーザー同士でプレイリストを公開し合ったり、交換などをして楽しむといった音楽を媒介としたコミュニケーションツールでもあります。
現在、PCのみで楽曲を聞く「ベーシック」は、月1,280円。ベーシックに加え、携帯オーディオプレーヤなどに転送できる「トゥ・ゴー」は、月1,980円。またサブスクリプションではなく、楽曲を1曲単位、またはアルバム単位で購入する、通常の配信サービスは1曲150円からとなっています。定額サービスでのダウンロード数は10月3日の開始時から1週間で200万件とまずまずの滑り出しのようですが、最初の1週間はほとんどのユーザーは無料のお試しサービスを利用していると思われますので、このサービスが本当に定着しているかどうかはまだまだ未知数です。
ナップスターの問題点は?
では、ナップスターに問題点はないのでしょうか?まず、ナップスターが設定したそれぞれのサービスの金額についてですが、今年8月にモバイル・コンテンツ・フォーラムと国際大学グローバル コミュニケーションセンターがまとめた着うたフルとiPodユーザーの
比較調査(PDF)によると、iPodユーザーの1ヶ月の平均楽曲購入金額は11.34曲で1,578円となっています。単純に考えれば、これに約400円足せば、毎月何百、何千曲を聞けるということになりますので、iPodユーザーにとってみれば、ナップスターのこの料金設定は十分、妥当な線でしょう。しかし、携帯の着うたフルユーザーの平均は2.56曲で652円です。何百、何千曲聞けるといっても現在の約3倍の金額を毎月払ってまで、ナップスターを利用するのか?というと疑問符がつきそうです。
さらに携帯電話ユーザーに関しては、もう一つ問題があります。それは、ナップスターは、携帯電話から直接、利用できるのは着うた、着うたフルの購入だけで、定額制のサービスは利用できないという点です。定額制が利用できないとなると単なる着うた、着うたフルの販売サイトでしかなくなってしまい、ナップスターの魅力は半減してしまいます。着うたフルが何故、値段が高いにも関わらず、これだけヒットしているかといえば、邦楽の最新ヒット曲を中心にした品揃えと、聞きたい時にいつでもどこでもすぐ購入できるという利便性です。PCでしか定額制が利用できないとすると、携帯電話で楽しむ場合でも一度、PCから携帯に転送しなくてはいけないという手間がかかります。そして金額の高さ。この2点はナップスターが携帯電話ユーザーへサービスを展開していく上で大きな問題となるでしょう。
また、ナップスターのサービスはユーザー登録をすれば、1週間は無料で試用できるのですが、無料試用のためのユーザー登録でもクレジットカード情報などの個人情報を登録しなくてはいけないようになっています。これは「ちょっとどんなものか試してみようかな」と気軽に利用するにはかなり高い障壁となっています。今まで日本ではほとんどなかった定額制聞き放題のこのサービスは、まず、聞いてみないことには、どんなにいいサービスなのかがわかりません。そのためにも、無料試用のためのユーザー登録は、もう少し、敷居を低くし、多くのユーザーにまず、試してもらうという形にすることが重要なのではないでしょうか?
今後のナップスターの展開は?
ナップスターには新たな音楽の楽しみ方喚起する定額制サービスという強みがありますが、現状では、ユーザーが求めるさらなる楽曲の充実、携帯電話から直接、定額制を利用可能にするなどのサービスの向上ない限りはiTunesStore、そして既存の着うたフルに対抗していくのは難しいのではと思いますが、ただ始まったばかりのサービスですから、今後に期待するところも大です。