文章:藤田 幸江(All About「ビジネスへのネット活用」旧ガイド)◆ プロの手口から人を説得するやり方を学ぶ米国の社会心理学者によって書かれた書籍に「
影響力の武器—なぜ、人は動かされるのか」があります。同書は、初版が1991年9月で2003年に19刷を発行していますから、12年もの長いあいだずっと読みつがれていることがわかります。
セミナーやメルマガ等でも何度か紹介されている書籍ですから、すでに読まれた方もいるかもしれません。同書を読む目的は、帯にも記されているように、「情報の氾濫する現代生活で、だまされない賢い消費者になると共に、プロの手口から人を説得するやり方を学ぶ」ことにあります。
ここでいうプロとは、営業マンや店員、商品の宣伝広告など、説得上手な売り込みのできる承諾誘導の実践家のことです。これらの職業での成功者は、他人から「イエス」を引き出す能力に秀でています。彼らに目をつけられたカモは、いつのまにか買う気のなかったものを買っているのです。
著者のロバート・B・チャルディーニは、長い間そのカモの地位に甘んじていたことから、承諾誘導についての研究を開始したと書かれています。
カモの地位といっても彼は社会心理学のプロですから、世を騒がせているような大きな詐欺被害にあったことは、たぶんないでしょう。おそらく小さな後悔といったところでしょうか。
書籍には、承諾誘導のプロが使う効果的テクニックを内側から観察したり、警察の詐欺担当者や消費者団体へインタビューしたり、ときにはスパイとなっての探りから得られたことがわかりやすくまとめられています。
ところで、このような購買への欲望をかきたてる心理を理解して売ることは「善」でしょうか「悪」でしょうか。
それは、売り手の動機によって決まるといえるでしょう。私利私欲から“相手を騙そう”という悪意があれば悪魔になるし、“心からお薦めしたい”という気持ちであれば善人ととらえられます。
販売において、いちばん惜しいのが、「心からお薦めできる商品」でありながら、それが上手に相手に伝わらず売れないことです。誰も「売る意欲のない」人から、何かを買おうと思いません。本気でがんばっているところを応援したいと思うものなのです。
ネットでの販売においても同様です。
特に、実際に手にとって見ることのできないものを売るわけですから、お客様に行動を起こしてもらうために、書籍のタイトルのような「影響力の武器」を持ちたいもの。