文章:坂田 岳史(All About「IT関連の資格」旧ガイド)
初級シスアドを受験される方は、情報システムの開発などについて経験がない方が多いと思います。システム開発の経験等がないと、コンピュータのハードウェアや計算問題などが理解できない場合があります。このシリーズでは初級シスアドを験される方のために、ハードウェアや計算問題を中心とした「苦手克服シリーズ」をお送りします。このシリーズで苦手を克服して、秋の試験では良い結果を出すようにがんばってください。
今回は、CPUクロックの問題です。
平成17年秋試験 問1から
問1 パソコンのクロック周波数に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア:CPUのクロック周波数と,主記憶を接続するシステムバスのクロック周波数は同一でなくてもよい。
イ:CPUのクロック周波数の逆数が,1秒間に実行できる命令数を表す。
ウ:CPUのクロック周波数を2倍にすると,システム全体としての実行性能も2倍になる。
エ:使用しているCPUの種類とクロック周波数が等しければ,2種類のパソコンのプログラム実行性能は同等になる。
CPUクロックというと、コンピュータに詳しくない人にとってはわかりにくいですね。CPUとはコンピュータの頭脳部分であり、様々な計算をします。このCPUはあるリズムで動いています。例えば、体操をするときに、「いち、に、さん」と掛け声をかけますね。CPUクロックとはこの掛け声のことだと思ってください。掛け声が早いと、早く体操をしないけといけません。逆に掛け声が遅いと、ゆっくりした体操になります。それでは、体操を例に問題が考えてみます。
・「ア」:CPUのクロック周波数と,主記憶を接続するシステムバスのクロック周波数は同一でなくてもよい。システムバスとは、CPUと他の装置をつなぐ線です(CPUとプリンタをつなぐ線だとイメージしてください)。例えば、体操の途中で友達が近くを通りました。その友達に「おーい、一緒に体操しないか」と声をかけたとします。声をかけるリズムは、体操のリズムと違ってもかまいません。ですので、CPUクロックとシステムバスのクロックは同じリズム(クロック周波数)と違ってもいいのです。正解は「ア」です。
・「イ」:CPUのクロック周波数の逆数が,1秒間に実行できる命令数を表す。CPUは1つの命令を実行するのに、複数のクロックを使います。イの内容が正解だとすると、1つのクロックで1つの命令が実行できることになります。例えば、1つの体操をするのに掛け声をいくつか掛けるでしょう(屈伸体操する時、いち、に、さん、いち、に、さんと複数回掛け声する)。1つの体操を1つの命令と仮定すると、1つの掛け声で1つの体操はできません(1つのクロックで1つの命令は実行できない)。ですので、イは間違いです。
・「ウ」:CPUのクロック周波数を2倍にすると,システム全体としての実行性能も2倍になる。クロック周波数を2倍にするということは、体操の掛け声を2倍の早さにすることです。掛け声が早くなると体操自体の速度は速くなります。ですので、CPUの動き自体はクロック周波数を早くすることにより速度が上がります。しかし、体操している最中に「お母さん、タオル持ってきて」と頼んだとします。しかしお母さんはゆっくりとタオルを持ってきました。システム全体の速度はCPUの速度だけでなく、ハードディスクやメモリの速度にも影響されます。体操の速度は速くなっても、お母さんの速度が遅ければ全体の速度は上がりません。ですので、ウは間違いです。
・「エ」:使用しているCPUの種類とクロック周波数が等しければ,2種類のパソコンのプログラム実行性能は同等になる。これは「ウ」と似ています。2つのグループで同じ速度の掛け声で体操していても、タオルを持って来るお母さんの速度が違えば、全体の速度は違ってきます。ですので、エは間違いです。
今回はCPUクロックの説明をしました。コンピュータはデジタル回路で動いています、デジタル回路では、必ずクロックというものがり、それに同期します。今回は体操の例で説明しましたが、工場のベルトコンベアでも説明できます。
ある工場に複数のベルトコンベアがあるとします。コンベアの速度があがれば、製造する速度も上がります。しかし、次のコンベアの速度が遅ければ、工場全体の製造速度は上がりません。通常、CPUよりハードディスクの速度の方が遅くなります。いくら早いCPUを使っていても、ハードディスクの速度が遅ければ、コンピュータ全体の速度は上がりません。コンピュータの速度とは、最も遅い装置の速度に影響を受けることを、よく理解してください。それでは、試験に向けてがんばって勉強してください。
<関連リンク>
初級シスアド 苦手克服シリーズ(1)初級シスアド 苦手克服シリーズ(2)初級シスアド 苦手克服シリーズ(3)初級シスアド 苦手克服シリーズ(4)CPUとは