信州関連情報

更新日:2004年12月18日

幻の富倉そば

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信州を訪れる人の7割は昼食にそばを食べるというほどに、信州はそばのおいしい所です。良質のそばの産地では、代々受け継がれてきた伝統のそばの味があります。今回は幻の富倉そばです。

文章:森 俊二(All About「信州」旧ガイド)
飯山市富倉のそば畑
おいしいそばはいろいろありますが、今回は幻のそばと言われる「富倉そば」を取り上げます。

富倉は、奥信濃の飯山市にあり、飯山と新潟県の北国街道(国道18号線)新井宿を結ぶ飯山街道(国道202号線)沿いにある地区の事です。

飯山から車を走らせると、すぐに人家がとぎれ、山間の道が続きます。富倉は、県境を越えようかな…という手前に忽然と集落が現れるといった感じの所です。今でも茅葺き屋根の家を残す村で、冬は雪深く、まさに山里です。

富倉そばとは

「富倉そば」は、ここで代々受け継がれてきた伝統のそばです。そのおいしさは、口づてでは広がったものの、交通の不便なこの土地のしかも農家でしか口にすることができなかったことから、幻のそばと言われてきました。

富倉そば
「富倉そば」は、ヤマゴボウをつなぎに使った色の濃いそばです。このつなぎを使うことでそば粉の味が変わらず、十割そばの香りと、つなぎ入りそばの喉ごしの良さを同時に味わえ、シコシコとした独特の歯触りがあります。

オヤマボクチのジョウモウ
ヤマゴボウとは、モリアザミ、オニアザミ、オヤマボクチ(雄山火口)などアザミ類(キク科)をまとめて言う山菜の総称です。アザミと言っても毒はありません。葉っぱがゴボウの葉に似ているため、アザミ類なのにゴボウが付く名前(ゴボッパとも言います)となっています。
ちなに、オヤマボクチのボクチ(火口)の名前の由来は、火を着火させる際にも利用したからです。

富倉ではヤマゴボウの中でも、主にオヤマボクチをつなぎに用いています。そばのつなぎに使う場合、根の部分は使いません。茸毛(じょうもう)と称している葉の繊維を使います。

葉の太い葉脈を抜き、手で揉んでは干しを繰り返して、残った繊維を取り出し、灰汁(アク)抜きをして乾燥させたひとつまみをつなぎに使っています。

富倉は雪深い土地で二毛作が出来ないので麦の栽培が出来ず、小麦粉が手に入りません。雪深い土地に暮らす知恵として植物の繊維「茸毛」を使うようになったのだそうです。

茸毛を使うと和紙における楮(こうぞ)の役割をはたし、そばを極限まで薄く打つことも可能になります。また打った生地を乾かすのに、更に時間が掛かります。富倉そばは、すごい手間と時間がかかっているのです。


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(執筆者:森 俊二)

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