文章:大槻 英樹(All About「スペイン」旧ガイド)
『スペインでおいしい食べものって何?』と初めてスペインに旅行へ行く人に聞かれます。みなさんはスペイン料理というと何を思い浮かべますか?パエージャ、トルティーヤ(スペイン風オムレツ)、ガスパチョなど日本でもお馴染みの料理も多くなってきました。
ここ最近は日本でもスペインバルがブームになってきましたね。またスーパーなどでも生ハムをよく見かけるようになりました。今回はバルのメニューの中でもスタンダードな「ハモン・セラーノ(生ハム)」をご紹介します。
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| 独特の香りと食感の生ハム。 |
ハモン・セラーノ(生ハム)はスペインの食文化にかかせない存在で、生ハムとは豚の足を塩蔵し熟成させたもの。スペインではバルの天井や壁にぶらさがっているのを目にします。その肉の固まりを薄くスライスし、スペインではビールやワインのおつまみとして食べます。日本でもコースの前菜やワインのつまみとして食されてはいますが、スペインでは日常的に食されています。
スペインで唯一の黒豚
生ハムの中でも「ハモン・イベリコ(イベリコ豚の生ハム)」は最高の一品。イベリコ豚とはスペイン唯一の貴重な黒豚です。
イベリコ豚は、スペイン西部地方にある「デエサ」といわれる特定の広大で明るいコルク樫の原生林(古代の地中海沿岸の森林が残る地域) で自然放牧にて飼育され、豚がストレスを感じない環境の中でどんぐりや牧草を食べて育ちます。通常の豚小屋で飼育され、出荷される豚とは育つ場所も飼育環境も全く違います。言わば、豚の中のエリートなのです。
飼育過程は3段階に分けられ、まず、誕生から2ヶ月まではミルクで育ちます。次に離乳から80~110kgあたりまでは森の中で運動をさせ、骨や筋肉を鍛え、牧草や種子、天然穀物飼料などを食べて育ちます。最後に、モンタネーラと呼ばれる放牧期間で、どんぐりを食べさせて太らせ、体重が150kg以上にもなります。
モンタネーラ(放牧)後、放牧前よりも50%以上体重を増やした豚は『ベジョータ』といわれ、モンタネーラ後に殺されます。
このような飼育方法により以下のとおり3段階にグレード分けされます。
ベジョータ…上記のように良く成長した最高ランクのイベリコ豚。その濃厚な香りと口の中でとろけるような食感が特徴。レセボ…モンタネーラ後に体重が足らないので穀物飼料を補給し体重を増加させたイベリコ豚。ピエンソ…特別な飼育をせずに出荷重量まで飼育されたイベリコ豚。 |
| ハモン・イベリコ・ベジョータの中でも幻の逸品とも言われるホセリート社の生ハム。 |
スペインでは年間3,000万本以上の生ハムが生産されていますが、「ハモン・イベリコ」はその内の9%ほど。「ハモン・イベリコ・ベジョータ」に関してはわずか2%程度しか生産されないスペインでも貴重な生ハムなのです。
最高級の「ハモン・イベリコ・ベジョータ」は、霜降り和牛のように全体に細かいサシが入っていて、口の中でとろけるような食感です。スペイン旅行に近々行く予定のない方も、2004年秋から日本へ輸入されるようになり購入できるようになりましたからガッカリしないでください。
ただ、やはり本場スペインのバルで食べる生ハムは格別なので、スペインに
行ったらぜひ試してみてください。バルで「これはイベリコ豚の生ハム?」
と聞いてみましょう。聞き方は簡単です。
¿ Es Jamón Iberico? (エス ハモン イベリコ) ハモン・イベリコですか?
スペインの最高級生ハムで旅に華を添えてみてくださいね。
【取材協力】
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