2009年8月28日に発売開始された“Mac OS X v10.6 Snow Leopard”(スノーレパード)は、2007年10月26日に発売されたMac OX v10.5から数えて約2年ぶりとなるメジャーアップグレードです。
見た目はほとんど変わらないSnow Leopardのデスクトップ。QuickTime Xのアイコンだけ特別な感じです(クリックで拡大)
見た目の変更点は少ないものの、その中身は大幅に変更されており、ソフトウェアの処理スピードや利便性など、Macの潜在能力をさらに高める変更点が満載です。
■INDEX
体感速度は大幅アップ。特にダウンロードが速い!
Snow Leopardは全体的にキビキビ動作します。特にネットワークの安定性は抜群で、10.5まではSafariの読み込み中に止まってしまうような現象がよく出ていましたが、Snow Leopardではいっさいそういう現象はでていません。
(iMac (Mid 2007) 2GHz 4GBの環境でテスト)
Peacekeeperによる10.5.8と10.6のSafari対決。それほど差は出ないようですが、体感速度は圧倒的にSnow Leopardのほうが高速に感じられます。ネットワークも安定しており、ページの読み込み中に止まったりすることは皆無になりました(クリックで拡大)
全体的なブラッシュアップと旧システムのサポート削除によりディスク消費量は6GBまでダウン
Snow Leopardをインストールすると、初期状態でドライブの約6GBを消費します。このサイズは、メールやSafariなどの主要なアプリケーションを含んでおり、Mac OX v10.5ではほぼ同じ構成で約12GB(プリンタドライバなしで約9GB)ですから、相当なダイエットに成功しているのがわかります。
Snow Leopard インストールディスクから標準設定でインストールした結果のハードディスクの状態。Safariなど数多くのアプリケーションを含みながらも6GBとコンパクトです(クリックで拡大)
これは、無駄なコードを見直しした全体的なブラッシュアップに加え、従来のOSでサポートしていたPowerPC用のプログラムを削除したためで、これによりSnow LeopardはIntelベースのMacでしか動作しません。
操作性が改善されたDockとExposé
Snow Leopardでは全体的な見た目はほとんど変化がありませんが、細かな操作性に関しては、改善が加えられています。そのうちDockとExposéの操作性は大きく見直されたといってよいでしょう。
Dockのスタック機能のうち“グリッド”では、登録したフォルダの第1階層までしか表示することができませんでしたが、Snow Leopardはフォルダを開いて中身にアクセスできるようになっています。表示速度も高速化され、228項目登録されている私のアプリケーションフォルダを登録しても、1~2秒程度で表示されます。
従来のDockにアプリケーションフォルダを登録しても、処理が遅いためランチャーとして使用するには無理がありましたが、今回のバージョンはきちんと実用に耐える速度になりました。なお、スタックを開いてキーをタイプすれば、目的のアプリケーションがすぐに見つかります(クリックで拡大)
さらに、DockはExposéを呼び出す機能も内蔵しました。ウインドウが開いているアプリケーションのアイコンをマウスで少しだけ押し続けると、アプリケーションのウインドウが一覧されます。さらにスペースキーを押すことで、各ウインドウの内容を拡大できるようにもなりました。
Safariアイコンをマウスで長押しするとExposéが発動します。ただしタブが展開したりはしません(クリックで拡大)
プロ以上?の機能が追加されたQuickTime X
Snow Leopardに含まれるアプリケーションのうち、全く新しくなったものはQuickTime Xです。従来までのPro版という区別はなくなりました。
QuickTime 7のPro版で使えていた「新規ムービー収録」や「新規オーディオ収録」機能が使えるようになり、新たに「新規画面収録」というMac OS Xの操作をすべてムービーとして記録できる機能が追加されています。
ウインドウのフレームがなくなり、iTunesのようなコントローラが表示されるようになりました。もちろんフルスクリーンで再生も可能です(クリックで拡大)
Automatorプラグインがサービスに統合
Mac OS Xの使い方を大きく変えそうなのが、このAutomatorプラグインとサービスの統合です。Mac OS X v10.5 まではAutomatorプラグインを呼び出すという形でしたが、Snow Leopardでは少し使い方が変化し、Automatorによりサービスメニューに表示されるコマンドを作成するという流れになりました。
Automator プラグインという考え方はなくなり、サービスをAutomatorで作る方式になっています(クリックで拡大)
加えて、サービスメニューはテキストを選択しないと表示されなかったり、Finderのアクションメニューやコンテキストメニューの一番下に現れるようになったりと、全体的に使いやすさが向上しています。
操作性が改善されたサービスメニューとAutomatorで、よりいっそう使いやすくなりました(クリックで拡大)
爆速になったAppleScript、Automator
Snow LeopardのAppleScriptおよびAutomatorは大幅に速度アップを果たしているようで、例えば20個の画像ファイルをJPEGに変換するとき、旧バージョンのMac OS X v10.5.8では約28秒かかっていたものが、Snow Leopardでは約8秒にまで短縮されています。コマンドを実行してから実際に動作しだすまでの時間も圧倒的に短く、AppleScriptやAutomatorの利用シーンがさらに拡大しそうです。
Snow Leopard はAutomator やAppleScriptが高速になりました(グラフはAutomatorによる計測結果)
ほぼ完璧に近い64bit化を果たしたシステム
Mac OS Xはバージョン10.4のころから少しずつ64bitに対応し、10.5ではすでに64bitアプリケーションの実行は可能でしたが、実際に動作するソフトウェアはほとんどありませんでした。Snow Leopardでは標準のソフトウェアをほぼ64bitに変更しており、ようやく64bitの恩恵が得られます。
Mac OS Xの64bitサポートとWindowsの64bitで大きく異なる点は、1つのOSで32bitと64bitの両方に対応しているという点です。例えば64bitで動作するSafari内で32bitのプラグイン(Flash Playerなど)がそのまま動作するなど、ユーザーが32bitと64bitを意識する必要がありません。
64bitで動作するSafari上でYouTubeの動画を再生できます。Windowsではこうはいきません(クリックで拡大)
アプリケーション/ユーティリティにあるアクティビティモニタを使用すると、ほとんどのアプリケーションが64bitで動作しているのがわかります。なお、カーネル(kernel_task)は32bitのままですが、Mac OS Xは従来から
物理アドレス拡張(PAE)を標準でサポートしているため、32bitのままでも32GBまでの物理メモリ空間を取り扱うことが可能です。
どちらにしても、現在市場にあるMacのメモリ搭載量は最大4GB~8GBがほとんどで、Mac Proでも32GBですから実質カーネルが32bitのままでもほとんど問題はありません。
※64bitモードで動作させるためには64bitに対応したプロセッサ(Core 2 Duoなど)が必要です。
その他の追加/変更された新機能(一部)
Snow Leopardで改善されたものは、まだまだ数えきれないほどあります。以下にその一部を紹介しましょう。
- Finderの検索で、現在開いているフォルダ以下を対象にするよう選択できるようになりました。
「現在のフォルダ内を検索」で表示しているフォルダ以下を対象に検索してくれるようになります
- アプリケーションの開くダイアログでファイルを選択してスペースキーを押すと、QuickLookが開きます。
Quick Lookを開いたまま、ファイルの選択を変更すれば表示も切り替わります(クリックで拡大)
- PowerPC版のソフトウェアを実行できる(Rozetta)ロゼッタはオプションになっています。
オプションインストール > Optional Installs.mpkg をダブルクリックしてインストールできます(クリックで拡大)
- ウインドウを最小化してDockに格納するとき、アプリケーションに重ねるように格納するかどうかを設定するオプションが追加
DockのExposé機能をメインにしようする場合、こちらの設定にしておくと使いやすくなります(クリックで拡大)
- ネットワーク環境設定のプロキシで「自動プロキシ検出」が追加
Windowsでは一般的な「自動プロキシ検出」が装備されています。オフィスでより使いやすくなりました(クリックで拡大)
- セキュリティ環境設定で、スリープからの復帰時にパスワードを要求するとき、スリープしてから指定時間以内に復帰させればパスワードを要求しないように設定できるようになっています
スリープはさせたいけど、パスワードは入力したくないけど放置したときはセキュリティが心配……なんていうわがままにも対応しました(クリックで拡大)
- キーボード環境設定では、接続されたキーボードごとにキーの入れ替え設定を変更できるようになりました
キーボードを複数使い分けるときに、「修飾キー…」の設定を使い分けられるようになりました(クリックで拡大)
- 日付と時刻環境設定の時計に「日付を表示」するオプションが追加されました。オンにすると時間の左側に日付が表示されます
日付や時刻の表示形式はシステム環境設定の「言語とテキスト」にある「書式」で行います(クリックで拡大)
- スクリプトエディタは「AppleScript エディタ」に改名。メニューバーのスクリプトメニューもAppleScript エディタの環境設定で行います。ちなみに、Snow LeopardのFinderは「記録」に対応しており、AppleScript エディタ左上の記録ボタンをクリックしてからFinderを操作することで、どんどんスクリプトが作成されます。
64bit化に伴い、名前だけではなく雰囲気も変わりました(クリックで拡大)
まとめ:IntelベースでCore 2 Duo以上のMacなら間違いなく“買い”
Snow Leopardを使ってみた感想としては、メモリを倍に増やしたときの感じとでも言えばよいでしょうか?Windowsで例えるなら、VistaからXPに戻したときの快適さです。とにかくあらゆる動作がスムーズで、ことえりによる日本語入力やSafariのネットブラウジングでも妙な引っかかりはほとんどありません。
一部FTP系のアプリケーションが動作しないなど、互換性にわずかな不安はありますが、それらはバージョンアップで徐々に対応してきているようですのであまり心配はありません。
なにより操作性の改善や動作が快適になったほうが、使わない機能の追加より遥かにうれしいというのを改めて実感できるOSです。
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