異国情緒あふれる横浜・山手西洋館を訪ねて
5月中旬と10月中旬のバラの季節、山手のローズガーデンは大にぎわい(山手111番館周辺)
横浜・山手といえば、洋館めぐり。入館無料の7つの山手西洋館があり、特に、女性のグループに人気のエリアです。開国当時、外国人居留地だったことから、当時の面影が色濃く残っています。エリアは「山手」ですが、最寄りのJRの駅は「石川町駅」。洋館めぐりの旅は、ここから出発です。
山手西洋館は、イタリア山庭園に2つ、元町公園周辺に3つ、港の見える丘公園周辺に2つあります。JR石川町駅から一番近いのは、イタリア山庭園。大丸谷坂をあがったところにあります。ちなみに、山手散策は坂道が多いので、フラットな靴がおすすめです。
イタリア山庭園周辺
イタリア山庭園は、水や花壇を幾何学的に配したデザインの公園。四季折々、美しい草花が楽しめます。庭園内には、2つの洋館があります。
■外交官の家
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| 洋風庭園が美しい、外交官の家 |
イタリア山庭園の中にある洋館で、国指定重要文化財。明治時代、外交官だった内田定槌の邸宅として、1910(明治43)年に東京都渋谷区南平台に建てられました。1997(平成9)年、山手イタリア山庭園に移築復元、一般公開されました。
設計者はアメリカ人建築家・J.M.ガーディナー。アメリカン・ビィクトリアン洋式を取りいれた華やかな装飾が特徴です。室内はアール・ヌーボー調の家具などが再現され、当時の外交官の暮らしぶりがうかがえます。併設の喫茶室では、みなとみらいと庭園が一望できます。外交官ブレンド(コーヒー)とパウンドケーキでひと休みしてはいかがでしょう。
■ブラフ18番館
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| 赤い屋根とグリーンの窓が印象的な、ブラフ18番館 |
関東大震災後に山手町45番地に建てられた外国人住宅で、イタリア山庭園に移築された洋館です。カトリック山手教会の司祭館として、1991(平成3)年まで使用されていました。館内には、元町で製作されていた当時の横浜家具が復元・展示され、震災復興期(大正末期~昭和初期)の外国人邸宅の暮らしが再現されています。
元町公園周辺
イタリア山庭園の洋館を堪能したら、山手本通りへ。カトリック山手教会や山手公園、フェリス女学院の前を通り過ぎながら、イタリア山庭園から15分ほど歩くと、元町公園へ到着です。この周辺には、3つの洋館があります。
■ベーリック・ホール
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| 最大規模のベーリック・ホール。パームルームや子ども部屋、婦人の部屋など、見どころが満載 |
ベーリック・ホール(旧ベリック邸)は、イギリス人貿易商B.R.ベリック氏の邸宅として、1930(昭和5)年、アメリカ人建築家J.H.モーガンにより設計されました。2000 (平成12)年まで、セント・ジョセフ・インターナショナル・スクールの寄宿舎として使用されており、現存する戦前の山手外国人住宅の中では、最大規模の建物です。スパニッシュスタイルを基調とし、イスラム様式、フレスコ技法など、多様な建築技法が使われているのが特徴です。
■エリスマン邸
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| 緑に囲まれたエリスマン邸 |
エリスマン邸は、生糸貿易商社シーベルヘグナー商会の横浜支配人フリッツ・エリスマン氏の邸宅として、1925(大正14)年から1926(大正15)年にかけて山手町127番地に建てられました。一度は解体されたものの、1990(平成2)年、現在の元町公園内に再現されました。設計は、「現代建築の父」といわれるチェコ出身の建築家A・レーモンド。館内のイスやテーブルなどの家具もレーモンドの設計です。庭が眺められるサンルームが特徴。喫茶室があり、ケーキなどのスイーツが楽しめます。
■山手234番館
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| 当時は珍しいアパートメントハウスとして建てられた、山手234番館 |
山手234番館は、1927 (昭和2)年ごろ、外国人向けの共同住宅(アパートメントハウス)として現在の場所に建設されました。設計者は、お隣りにあるえの木てい(山手89-6番館)と同じ朝香吉蔵。当時は、中央の玄関ポーチを挟んで、4つの同一形式の部屋が対象的に向かい合う、合理的でコンパクトな設計になっていました。
米軍による接収を経て、昭和50年代ごろまで共同住宅として使用されていました。その後、横浜市が取得、保全改修工事が行われ、1999(平成11)年から一般公開されています。1階にはリビングが再現されており、山手地区のパネル展示などが楽しめます。2階は、貸出しスペースとなっています。
港の見える丘公園周辺
えの木てい(カフェ)、山手聖公会、山手資料館、山手十番館(レストラン)、外国人墓地、岩崎ミュージアムなどを通り過ぎると、港の見える丘公園に到着。この周辺には、2つの洋館があります。
■山手111番館
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| バラの季節はひときわ美しい、山手111番館 |
山手111番館は、1926 (大正15)年にアメリカ人ラフィン氏の住宅として現在地に建てられました。設計者はJ.H.モーガン。ベーリック・ホールと同じ設計者ということで、こちらもスパニッシュスタイルです。赤い瓦屋根と白壁が印象的。館内では、昭和初期の洋館が体感できるほか、設計者のJ.H.モーガンについてのパネル展示などが行われています。
隣接するローズガーデンから入る地階部分は、ティールーム「ローズガーデンえの木てい」となっています。バラのソフトクリームやバラのシフォンケーキ、ローズガーデンセットなど、バラにちなんだオリジナルメニューが人気です。
■横浜市イギリス館
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| コンサートホールなどに使われる、横浜市イギリス館 |
山手111番館に隣接するイギリス館は、1937 (昭和12)年、英国総領事公邸として現在地に建てられました。玄関脇には王冠入りの銘版が、正門脇には銅板(British Consular Residence)がはめこまれており、由緒ある建物である事を示しています。
1階ホールはコンサートなどに、2階集会室は会議などに使われていますが、2階の展示室や復元された寝室などは見学も可能です。5月中旬と10月中旬のバラの季節はローズガーデンが美しく、特に多くの人が訪れます。
※2009年3月31日まで、イギリス館は改修工事のため見学できません。
山手散策のアドバイス
全部の洋館をめぐると、2~3時間くらいはかかると思います。イタリア山庭園から港の見える丘公園までは、約1kmぐらい。周遊する時間がない場合は、イタリア山庭園、元町公園周辺、港の見える丘公園周辺のいずれかを選ぶとよいと思います。JR石川町駅から近いのはイタリア山庭園、みなとみらい線元町中華街駅から近いのは元町公園、観光スポット周遊バスあかいくつなどのバスを利用するなら、港の見える丘公園が最寄りとなります。
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山手西洋館……各館のイベント情報やおすすめ見学コース、MAPなどの情報が満載
・見学時間:9:30~17:00(7,8月は18:00まで)
・休館日:第2水曜日(山手111番館、エリスマン邸、ベーリック・ホール、ブラフ18番館)、第4水曜日(イギリス館、山手234番館、外交官の家)、休館日が祝日の場合は翌日休館。年末年始は12月29日~1月3日まで休館
※2009年3月31日まで、イギリス館は改修工事のため見学できません。
山手エリア その他の立ち寄りスポット
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イタリア山庭園
明治時代にイタリア領事館がおかれたことから「イタリア山」と呼ばれています。ここの庭園は、イタリアで多く見られる庭園様式を模し、水や花壇を幾何学的に配したデザインとなっています。外交官の家とブラフ18番館はここにあります。
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山手公園
日本初の洋式庭園。1870(明治3)年に横浜居留外国人によって作られました。ヒマラヤスギの緑に囲まれたテニスコートのほか、テニス発祥記念館があり、入場無料で誰でも見学可能です。春には約30本のサクラが咲く、静かなお花見スポットです。
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元町公園
エリスマン邸と外国人墓地の裏側にある、歴史ある公園。開港当時、フランス人ジェラールが、ここから沸き出る水を飲料用水として発売していた場所で、「ジェラール水屋敷」「ジェラールの瓦とレンガ」に関するパネルが設置されています。プールと弓道場があります。サクラの名所でもあり、約100本のサクラが公園を覆うように咲き誇ります。
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えの木てい
1927(昭和2)年に建てられた洋館を利用したティールーム。アンティーク家具や暖炉などがあり、山手の雰囲気を感じることができます。看板メニューのひとつ、チェリーサンドはおみやげにも最適。
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ブリキのおもちゃ博物館
ブリキのおもちゃコレクターの第一人者・北原照久氏が館長を務める博物館。1890年代から1960年代にかけて主に日本で製造されたおもちゃ約3,000点が、常時展示されています(入館有料)。
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山手資料館
1909(明治42)年に建てられた木造建築の洋館。1977(昭和52)年に現在地に移築され、開港当時のようすがわかる資料館として公開されています(入館有料)。
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山手十番館
1967(昭和42)年にオープンした歴史あるレストラン。1階は喫茶・売店、2階はレストランになっています。こだわりの食材を使ったメニューが堪能できます。開港当時の「ビフテキ」を再現した開化ステーキは、ヒレ・サーロイン・薄切りの3種類があります。
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外国人墓地
ペリーとともに日本にやってきた水兵・ロバート・ウィリアムズを埋葬したのがはじまり。日本の西洋化へ尽力した多くの外国人が埋葬されています。墓地内は通常非公開となっていますが、3月~12月までの毎週土・日・祭日(雨天を除く)の12:00~16:00まで募金公開が行われています。歴史に残る外国人の墓所をお参りしてはいかがでしょうか。
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岩崎ミュージアム
1885(明治18)年に建てられた商業劇場ゲーテ座の跡地にある、服飾関係の博物館。服飾の変遷がわかる2分の1モデルなどが展示されています。このほか、ギャラリーでは企画展が開催されたり、アンティークドレスを着て記念撮影(有料)ができたり、「おてがみカフェ アナーキーママ」(2009年3月10日にリニューアルオープン)でランチやお茶を楽しんだりできます。併設のホール「山手ゲーテ座」では月1回クラシックコンサートも開催されます(入館有料)。
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大佛次郎記念館
横浜生まれの作家・大佛次郎(おさらぎ じろう)に関する資料が展示されている記念館。猫が好きだったことから、猫の置物などを多く収集しており、それらも展示されています。併設のティールーム「霧笛」では、紅茶がおすすめ(入館有料・ティールームのみの利用は入館無料)。
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県立神奈川近代文学館
1984年(昭和59)に開館した、近代日本文学の専門の資料館。夏目漱石、芥川龍之介、泉鏡花など、神奈川ゆかりの多数の作家の肉筆資料、書籍類、文芸雑誌を中心とした膨大な数の雑誌を収集しており、常設展・企画展を開催しています(入館有料)。
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港の見える丘公園
1962(昭和37)年に開園した、横浜を代表する観光スポット。その名の通り、横浜の港を一望でき、昼・夜ともに多くの人が訪れます。