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消費増税に向けハウスメーカーのお値頃商品が充実!

消費増税が2019年10月1日に予定されています。それに伴い、ハウスメーカーなど住宅事業者の動きが慌ただしくなっています。この記事では、大手ハウスメーカーを中心にした商品戦略などについてご紹介します。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

ハウスメーカー選びガイド

住宅取得のスタイルで変わる消費増税のタイミング

政府は、2019年10月1日から消費税の税率を現行の8%から10%へと引き上げるとしています。それを受け、ハウスメーカーをはじめとする住宅事業者の動き、具体的には駆け込み需要を見据えた商品展開が活発になってきました。そして、それはこれまでの税率アップ時のそれとは若干性格を異にしているように思われます。そこで今回の記事では、消費税率アップに関する注意点と、ハウスメーカーの動きについてご紹介します。
施工現場

施工現場の様子。住宅は契約から着工、引き渡しまでかなりの時間が必要だ。どのような住宅取得のスタイルにするかも含め、特にこれからの時期は早めの検討と決断をすることをお勧めする(クリックすると拡大します)


まず、今後の住宅取得にあたって、消費税率アップの注意点について簡単にまとめておきます。注文住宅、分譲住宅(戸建て・マンション)、リフォームでタイミングが若干異なりますから注意が必要です。

【注文住宅の場合】
2019年3月末までに住宅事業者と建築請負契約を結べば、工事完了(引き渡し)時が2019年10月以降でも税率の適用は8%のままとなります。注文住宅での住宅取得は、建物の着工から完成までに少なくとも3ヵ月、長いものになると6ヵ月程度の期間が必要。このため、このような経過措置がとられます。

【分譲住宅の場合】
2019年9月30日までに購入契約を結べば、8%の税率が適用されます。これは分譲住宅が原則、建物が完成した状態で売買されるためです。

【リフォームの場合】
リノベーションと称される大規模なケースについては、注文住宅と同様に半年前までの工事請負契約には経過措置が適用されます。2019年3月末の契約であれば10月を過ぎても税率8%のままです。

1棟の平均価格が3000万円を超えていた大手ハウスメーカー

さて、このような状況を受けて、ハウスメーカーの動向が慌ただしくなってきました。それがわかりやすく表れているのが各社の商品戦略です。ただ、それを紹介する前に、ハウスメーカーがこれまでどのような方向性だったのかについて簡単に確認しておきます。
施工現場

施工現場の様子。住宅は契約から着工、引き渡しまでかなりの時間が必要だ。どのような住宅取得のスタイルにするかも含め、特にこれからの時期は早めの検討と決断をすることをお勧めする(クリックすると拡大します)


ハウスメーカーといっても様々ですが、中でも主要ハウスメーカーは高級住宅路線を歩んできました。近年は1棟の単価が5000万円程度の超高級住宅市場に注力する企業もあり、多くが平均受注単価は3000万円を超えるレベルになっていました。

このほか、ハウスメーカーは都市部における二世帯住宅や賃貸併用住宅のニーズなどにも積極的に対応することで、結果的により高額な住宅の受注を目指していました。それには明確な理由がありました。

建築費が2000万円前半の初めて住宅を取得する若い人(一次取得者、ファーストバイヤーなどとも呼ばれます)たち向け、いわゆる「ボリュームゾーン」といわれる普及価格帯は競争が激しい世界です。
夫婦

若い世代にとっては、土地も含め住宅取得をする必要があることが問題。だから、ハウスメーカーでの住まいづくりが余計に「高嶺の花」に感じられる(クリックすると拡大します)


ハウスメーカーだけでなく、地域ビルダーも活発に動いてますから、価格競争が起きやすく利益をあまり見込めないため、中でも大手ハウスメーカーはこの世界では二の足を踏む状況でした。

庶民には高嶺の花と感じられるように……

ちなみに、この市場にはローコストハウスメーカーと呼ばれるグループが大きな勢力を誇っていましたが、2008年に発生したリーマンショック以降は戸建て住宅市場の縮小傾向となったこともあり、彼らも彼らなりの高級路線を歩むようになりました。

少なくとも上記のような状況により、大手ハウスメーカーでは顧客層がかつて(1970年代など)とは大きく変わってきたように思われます。具体的には富裕者層、サラリーマンでいうと大手企業に勤務する人、さらには公務員など、ある程度限定された層になっていると思われます。
分譲

あまり特徴がない建物が並ぶ、よくある分譲住宅地の光景。敷地を小さく区切り価格を抑える住宅供給が得意なパワービルダーによるものだ(写真はイメージ。クリックすると拡大します)


つまり、ハウスメーカーの住まいは、住宅を最も強く切望しながら、若くて収入が余り高くない人たちには「高嶺の花」になったわけです。皆さんの中にも「ハウスメーカーの住宅は手が出ない」と感じている方も多いことでしょう。

消費増税後の市場縮小も見据えた商品展開

そこで、今、起こっていることについてです。今後は、消費税率アップを契機にした原点回帰現象が起こることが予想されます。つまり、ハウスメーカーも改めて、若い子育て・共働き世帯にも手が届きやすい商品開発やその発売に動き出しているということです。

これは、消費税アップを前にした駆け込み需要対策という側面もありますが、より強い目的は税率アップ後に戸建て住宅市場がさらに縮小した場合にも、事業を安定的に展開することを見据えたものと考えられます。
三井ホーム

三井ホームが発売した普及価格帯商品「ナチュラル ヒュッゲ スタイル」のプロトタイプ(クリックすると拡大します)


そこでボリュームゾーン商品の事例のいくつか紹介します。まずは、三井ホーム「NATURAL HYGGE STYLE (ナチュラル ヒュッゲ スタイル)」という、2018年3月1日に発売された企画(規格)型商品です。

三井ホームといえば、大手ハウスメーカーを代表する高級住宅に特化した住宅事業者ですが、その中でも比較的、若年層に向けた商品もこれまでラインアップしていました。ただ、今回の商品は、これまでに比べさらに特徴立ったものです。

というのも、標準仕様でプロトタイプの場合、延床面積33坪 で1980万円~というこれまでにない商品内容だからです。これを実現するため、ホームページで消費者自らが部材の選択できるシステムを導入しています。
室内

「ナチュラル ヒュッゲ スタイル」のキッチン&ダイニングの様子。これまでにないシンプルな間取りとデザインになっている(クリックすると拡大します)


先日、私はそのモデルハウス(分譲住宅地に建てたもの)を見学してきましたが、三井ホームがこれまで得意としてきた洋風タイプではなくモダンデザインで、その中でも非常にエッジの効いた設計、デザインでした。

都市部や所の周辺部の比較的狭い敷地に、4人家族で暮らすのなら丁度良い、価格と間取り、広さだと思われました。このような住宅商品は他のハウスメーカーでも、最近発売されるようになりました。

セキスイハイム(積水化学工業住宅カンパニー)が昨年10月に発売した木質系の「グランツーユーV(ファイブ)」住友林業が同じく11月に発売した「Forest Selection BF (フォレスト セレクション BF)」なども、同じような価格帯の商品です。

別ブランドによる住宅商品の発売も

ちなみに、価格は比較的値頃ですが、各社の商品は従来の高額な商品と同様のアフターサービスなどが期待できます。要するに、企画型といっても、非常に高い品質やサービスが期待できるということです。

このほか、大手ハウスメーカーが別ブランドで値頃感のある住まいづくりを行っているケースもあります。例えば、その一つに積水ハウスグループによる「積和の木の家」があります。これは数年前から一部スタートしているものです。
木の家

「積和の木の家」のノボリ。このような分譲住宅地でも一部展開されているようだ(クリックすると拡大します)


積水ハウスは付加価値の高い住宅を提供する企業として大変認知度が高いですが、このブランドは子会社で住宅施工会社の「積和建設」(全国に18社あります)が、施工・販売を担当しているものです。

建物は親会社の積水ハウスが建てる住宅とは異なる木造軸組工法によるものですが、もちろん耐震性などにはこれまでの住まいづくりのノウハウを盛り込まれており、保証体制などは積水ハウスの建物と同じであることが大きな特徴です。

今後、販売スタイルはどうであれ、このような値頃感のある住宅商品は、様々なハウスメーカーから発売されることになると思われます。その動向をチェックしておくと良いかもしれません。

満足度の高い住まいづくりを目指すなら時間が必要

ところで、私は既に住宅を建てたことのあるユーザーの方にお話を聞く機会がありますが、中には大手ハウスメーカーの通常商品でも2000万円前半の建築費で満足度の高い住まいづくりを実現させた人たちもいました。
リビング

満足度の高い住まいづくりをするのには、しっかりと検討を重ねる時間が必要。ただ、消費増税の時期を考えると、それほど時間が残されていないのが実情だ(写真はイメージ。クリックすると拡大します)


もちろん、大きくない建物ですが、その多くは営業や設計の担当者と信頼関係を築き、細かく要望を伝えることができた人たちでした。要するに彼らをやる気にさせ、設備仕様の取捨選択を徹底したわけです。

申し上げたいのは、「ハウスメーカーの住宅は手が出ない」という既成概念にとらわれず、色んなチャレンジをすることにより、住宅取得の建物部分をある程度の範囲ですがコストを抑制できる可能性があるということです。

そして、それにはそれなりの時間が必要だということ。注文住宅の場合、2018年4月時点であと1年しか残されていません。コストの話だけでなく、皆さんが満足度の高い住宅取得を目指すというのなら、今すぐにでも具体的な検討をすべきだと考えます。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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