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構造見学会の確認ポイント!住まいは見えない所が大事

床下や壁の内部などは、住まいが完成すると簡単には見ることができません。しかし、そこに安全や安心、快適さを保つ技術や工夫が詰まっています。この記事では、そうした住まいの見えない構造部分を確認できる機会、現場見学会や工場見学会などの確認ポイントや紹介します。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

ハウスメーカー選びガイド

住まいの基本要素が詰まる「見えない部分」に注目しよう!

住まいというものは目に見える部分が意外に少ないもの。例えば、床下の様子は基本見えませんし、壁の中もそうです。そんな見えない部分が大切な住まいですが、完成後にどのようになっているのか確認するのは至難の業です。ですから、住まいづくりや購入の前に、わが家がどんな仕組みと工程で建てられ、耐震など構造に関する工夫が行われているのか、しっかりと確認し理解したいものです。この記事ではそのためにどのような方法や機会があるのか、ポイントも含め紹介します。

見えない部分がなぜ大切なのか。それは、そこに住まいを長く健全に保つものが収められているから。そしてそれは皆さんの暮らしを安心・安全・快適にするものだからです。いわば、そこに住まいの基本的な要素が詰まっているのです。
木造

木造軸組工法による住宅の施工現場の様子。我が国で最も多く採用されている住宅工法だが、事業者によって耐震強化の手法などは全く異なる。しっかりとチェックしよう(クリックすると拡大します)


住まいの検討や商談をする中ではもちろん、ハウスメーカーなどから一通りの説明は受けるはずです。詳細な説明が入ったパンフレットも用意されているでしょう。でも、皆さんはそれらで深く納得できるでしょうか。

仮に説明されたものが完璧なシステムだとします。ですが、住まいづくりは人が多く関わるもの。そのため、施工ミスだって発生します。つまり、完璧なシステムが皆さんの住まいづくりで実現するとは限らないのです。

「住宅産業はクレーム産業」とよくいわれるくらいですし。欠陥住宅という言葉をご存じで、何となく気にされているでしょう。過度に神経質になる必要はありませんが、この見えない部分、具体的には構造や施工がどのようになっているのか、しっかりと納得した上で住宅取得をしたいものです。

構造見学会とは身近に構造を理解できる機会

では、どのような方法や機会があるのでしょうか。大きく次のようなものがあります。

・現場(構造)見学会
・工場見学会


現場(構造)見学会とは、地域ビルダーから大手ハウスメーカーまで広く行われているものです。これは、事業者が建築中の建物を、その施主の了解のもとで公開しており、最も身近に、そして生々しく構造について理解できる機会といえるのではないでしょうか。
現場

現場見学会の様子(ヘーベルハウス)。建築中の建物を会場としているため、使われる素材や構造上の特徴を詳しく理解できる(クリックすると拡大します)


というのも、構造見学会では、構造上の特徴やどんな工夫があるのかについて実際にあるモノを見ながら説明を受けられるからです。モデルハウスの構造コーナーを見学したり、パンフレットを見ながら、口頭の説明を受けるよりずっと頭に入りやすいでしょう。

工場見学会と異なり、比較的数多く行われているのが何よりの特徴。皆さんがお住まいのエリアの近くでも、ハウスメーカーや工務店がきっと行っているはずですから、気軽に足を運んでみてはいかがでしょうか。

住まいの取得について漠然としたイメージしか持っていない方でも参加して大丈夫です。イメージを具体化するのにも役立ちますし、住まいづくりのトレンドなど、基本的な事項についての理解を促してくれるでしょう。

完成住宅の見学会がセットになっているケースも

見学会には大抵、何組かの参加者がいますから、スタッフにしつこく迫られることはあまりありません。また、参加者とスタッフの会話に耳を傾けることで、これまでとは違った観点からの住まいづくりのヒントを得られるというメリットもあります。

このほか、構造見学会と完成住宅をセットにしたバス見学会を行っているハウスメーカーもあります。この場合、住まいづくりの過程や住み心地について施主の生の声を聞け、それを皆さんの住まいづくりに役立てられるのもメリットの一つです。
完成宅

完成住宅の見学会の様子。施主の話や、一緒に見学会に参加した人の話を聞けるため、住宅取得に関する新たなヒントを得られることもある(クリックすると拡大します)


イベントとしての構造見学会のほか、お近くの現場でも施工の様子を見せてくれる場合もあります。これは意中の依頼先がある場合はお勧め。営業担当者などとのアポイントが必要ですが、要は皆さんの無理なお願いを聞いてくれる誠実さを、そこで確認できるのです。

構造見学でのチェックポイントまとめ

構造見学でのチェックポイントをまとめてみました。次の項目に注目して見学すると良いでしょう。
  • 構造体や基礎部分など耐震性確保の工夫を確認
  • 耐久性を確保するための工夫を確認
  • 施工現場がキレイに整理整頓されているかを確認
  • 施主や同行者の生の声を役立てる
  • 営業担当者や現場スタッフの対応の善し悪し など

プレハブ系ハウスメーカーが行う工場見学会

一方、工場見学会は大手ハウスメーカー、その中でもプレハブ系メーカーが主に実施しているものです。プレハブとは「工場生産」という意味で、彼らの住まいづくりを特徴付けるものとして公開しているのです。

その具体的な事例として、奈良市にあるセキスイハイム(積水化学工業住宅カンパニー)のユニット生産工場の様子をご紹介します。ここは一昨年10月にリニューアル工事が完了。新しい製造装置や設備を導入、さらに見学ルートも整備された工場です。
ロボット

セキスイハイムの奈良工場の様子。最新のロボット工作機械が導入されていた(写真はセキスイハイム提供。クリックすると拡大します)


ユニットとは住宅を約10平方メートルの箱に分割したもの。平均的な大きさの建物では13個からなり、それを施工現場でつなぎ合わせるのがセキスイハイムの住まいづくりにおける最大の特徴となっています。

ここは鉄骨系住宅の専用工場。建屋の中で最新の工作ロボットによるユニットの基本となる鉄骨材の溶接工程のほか、外壁材、床材や階段などの建具、キッチンや浴室、トイレなどの住宅設備が取り付け作業の様子も間近でみることができます。

高品質を実現する仕組みに注目しよう!

一般的な住宅では現場で行う作業を工場建屋内で行うことで、施工品質が飛躍的に高まるのがユニット工法の強みです。また、それにより想定された性能が発揮されやすくなるのもこの工法の魅力といえます。

わかりやすいのが天井部分の工事です。一般的な住宅では施行現場で、職人さんが上を向いて作業するわけですが、これでは身体的な負担が大きく、施工ミスを誘発しがちです。しかし、ここではそうではありません。
ユニット

奈良工場の生産ラインの様子。製造設備が整った建屋内でユニットが生産されるため、品質が高い住まいづくりが可能になる(クリックすると拡大します)


ユニット全体を専用設備で天地を反転させますから、作業員(一般の施工現場でいう職人さん)は、下を向いた楽な姿勢で天井部分の作業ができます。つまり、施工ミスが発生しにくい作業環境となっているのです。

鉄骨の溶接作業からユニットの搬出まで、見学専用のルートを通って見学できるのも、セキスイハイムの工場見学の特徴の一つです。生産の様子は迫力満点ですが、小さな子どもがいても安全安心に見学できるでしょう。

要するに、ここではわが家が出来ていく過程を間近に見ることができるわけです。このような体験は、ほとんどの方々にとって一生に一度の住まいづくりを、より理解し楽しむ機会となるはずです。

性能を詳しく理解できる施設も設置

プレハブ系ハウスメーカーの工場には、それぞれの特徴を紹介する施設が設けられているケースがあります。奈良工場も同様で、「住まいのなるほど見聞館」という施設が用意されています。

例えば、ここには実物大(3階建て)の構造体が展示されています。中に入り実際に手に触れたり、床下など普段はみることができない場所も確認できるため、住まいづくりの工夫がより理解できるでしょう。
実物

「見聞館」内にある実物大の構造躯体。床下にあるのが「快適エアリー」の基幹装置(クリックすると拡大します)


セキスイハイムの大きな特徴の一つである全館空調システム「快適エアリー」(鉄骨系)や、基礎断熱などの様子も見ることができることから、なぜ冬も暖かいのか、といった快適性に関することも納得できるはずです。

同社が近年力を入れている太陽光発電システムとHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)、家庭用蓄電池、もしくはV2H(住宅と電気自動車などの電力連携)などについても詳しい説明が受けられます。

地域ビルダーも様々な取り組みを実施

なお、奈良工場では月1回、セキスイハイムの家づくりに関心を持つ人たちを対象にしたバス見学会のほか、契約した人向けに自宅になるユニットが生産される様子を確認できる個別の見学会も実施しているとのことです。
プレカット

プレカット工場で加工された木材。コンピュータ制御された機械により高い精度で加工されている(クリックすると拡大します)


プレハブ系に限らず、他のハウスメーカーや地域の有力ビルダーも、規模はより小さいですが同様の体験型施設を設けていたり、ショールームなどに似たような趣旨の施設を設けているケースがあります。依頼先にするしないは別として、気軽に足を運んでみましょう。

地域ビルダーは工場は持たないものですが、プレカット材の製造工場(外部委託の木材加工場)の見学も求めれば対応してくれるはずです。本来はそこまで見せてくれないものですが、対応してくれるビルダーなら信頼度は非常に高いと考えられます。

住宅取得は良いパートナー、良い人(営業担当者など)との出会いが大切で、それが住まいに関する満足度を大きく左右します。現場や工場などの見学会は、良いパートナーに出会い、関係を深める、あるいは本当に信頼して良いのかを再確認する機会になりますので、積極的に参加してください。

■構造見学でのチェックポイントまとめ

・構造体や基礎部分など耐震性確保の工夫を確認
・耐久性を確保するための工夫を確認
・施工現場がキレイに整理整頓されているかを確認
・施主や同行者の生の声を役立てる
・営業担当者や現場スタッフの対応の善し悪し
 など

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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