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坪単価とは?坪単価で建築費の判断はNGのワケ&計算法

そもそも「坪単価」とは何なのか?単位の意味やその計算方法、坪単価で比較するときの注意点をまとめました。坪単価だけではなく、家を建てるうえでどのような予算を見ておけば良いのかを解説します。

佐川 旭

執筆者:佐川 旭

家を建てるガイド

坪単価とは?単位の意味とその計算方法

広告などでよく見かける「坪単価」ってどんな単位?

広告などでよく見かける「坪単価」ってどんな単位?

Q:延べ床面積の坪数で、工事費の計算をしているのですが、新築を経験した友人から「坪単価」には惑わされないようにと、アドバイスを受けました。 具体的な注意事項を教えてください。

A: 「坪単価」のカラクリを知り、あくまで目安をつかむ考え方として使いましょう。

坪単価とは1坪(3.3平方メートル)当たりの本体工事費のことで、建物価格の目安としてよく用いられる考え方です。「坪」の単位ついては「「1坪」の広さとは?坪と平米・畳の面積換算」をご覧ください。

例えば、延べ床面積が36坪(約120平方メートル)で坪単価が70万円とすれば、

36(坪)×70(万円)= 2520(万円)

が、建物本体価格になります。
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つまり、坪単価は建物本体価格を延べ床面積(坪)で割った

坪単価=建物本体価格÷延べ床面積(坪)

という計算で算出することができます。ここで注意していただきたいのは、坪単価はあくまで建物本体価格を比較するものであり、土地の価格の比較を指している用語ではありません。

予算としている金額を把握している場合、何坪くらいの建物を作ることができるのかを知りたい時に坪単価が使われるなど「坪いくら」という考え方はとても便利な算出方法なのですが、もちろん建物の形や内外装の仕様などによっても金額が変動します。したがって、あくまでも目安という考え方を持ちつつ、次のようなことに注意すると、より正確な概算を知ることができます。

坪単価のカラクリその1:延べ床面積の考え方

坪単価は延べ床面積をどのように考えるのかが、最も重要なポイントです。ちなみに、「延べ床面積」とは建物の各階の床面積を合計した数値をいいます。
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例えば、吹抜けのある建物であれば、床がないので延べ床面積は少なくなります。さらにロフトやベランダも、基準を満たせば法的には床面積に入りません。しかし、これらの部分を全て床面積に算入して、建物本体価格を割れば坪単価は小さくなります。

つまり、建築確認申請で記入される延べ床面積と、実際に工事をする施工床面積は違うのです。また、坪単価を算出するための面積の計算方法には共通の決まりが無く、ハウスメーカーや工務店によって違いがあるケースがあります。

したがって、坪単価をみるにあったて注意することは、どの範囲までを含めて「床面積」として計算しているかを確認することが重要です。

坪単価のカラクリその2:建物本体価格で変わる坪単価

一般に建物が大きくても、小さくても、水周りの面積はそれほど差がありません。大きい建物はリビングが広かったり、プラスαの部屋を付けたりするからです。大きい家だからといって、トイレ1室の大きさを2倍にはしませんし、小さい家だからといって必要最低限な設備は組み込まなくてはいけません。つまり、坪単価は面積による比例配分ではなく、小さい家ほど高くなるものなのです。

また、同じ床面積の建物でも1階の床面積が大きく2階が小さい建物は、1・2階とも同じ床面積の建物に比べると、坪単価は高くなります。これは屋根や基礎に掛かる費用が大きくなるからです。

同様に建物の形にも言えます。凹凸の多い形をした建物は外壁や屋根面積が増え、手間が掛かるため、坪単価は増大していきます。

坪単価のカラクリその3:工事費から除外するもの

ハウスメーカーや工務店は、当然多くの人を惹きつけたいと思って広告を打ちます。キャッチコピーも「このグレードで坪単価○○万円!他では真似できません。」というような、インパクトの強いものをよく目にします。

しかし、ここで注意しなければならないのは、工事内容にどのような項目が含まれているのかをチェックすることです。建築に掛かる費用は、建物の本体工事費(建物本体価格)の他に、「別途工事費」と「諸経費」という費用もかかります。そのため、本体工事費の目安にしかならない坪単価のみでは家づくりにかかる全体的な金額を知ることはできないのです。

注意が必要なのは、別途工事費は会社によって内容が少しずつ違うという点。例えば、造り付け家具、照明器具、エアコン、カーテンレールの下地板等、どの程度まで工事範囲に見込んでおくかで、工事金額と建物本体価格は大きく変わるのです。

坪単価の落とし穴

初めて住まいをつくられる人は、はじめから別途工事があるのはおかしいと感じるかもしれませんが、これは給排水管やガス管の引込み工事など、公共性が伴うものや、地盤を調査したら補強工事が必要だったなど、元の建物を解体した後にハッキリする工事なので、別途工事になってしまうのです。別途工事は不確定要素が多いので、どんな項目があるのか説明を聞き、坪単価の概算予算に加えて、あらかじめ、費用を確保しておく心構えが必要です。

これは諸経費にも言えます。諸経費とはローン手続きや火災保険などの費用です。全体予算の内訳の目安としては、
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本体工事費:70~75% 別途工事費:15~20% 諸経費:10%の割合で考えておくと良いでしょう。

繰り返しになりますが、本体工事費だけの坪単価で考えていると予算オーバーとなってしまい、資金繰りに苦慮することになります。特に別途工事は追加や変更工事で金額が大きく動くことがあるので、要注意な工事項目です。坪単価の落とし穴は、この「別途工事」と「諸経費」であり、この費用をできるだけきちんとみることで、落とし穴にはまらずに済むのです。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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