建築家・設計事務所/建築家住宅の実例

渓谷のような吹抜けがつくる快適空間[Gray ravine]

4人家族が暮らす敷地26坪のグレーの2階建て。外部に閉じた印象とはうらはらに、家の中央を東西に走る渓谷のようなダイナミックな吹抜けが生活に活気を生んでいます。

執筆者:川畑 博哉

最寄りの私鉄の駅から細い緑道を通ること約10分。落ち着いた住宅地の一画に、片流れの屋根のシンプルな外観のグレーの家が建っています。
建て主のYさん一家は夫婦と元気なお子様の4人家族で、ここに自邸建設のために土地を求めたのが今から3年前。女性誌の編集者でもある奥様が、以前から注目していた建築家の廣部剛司さんにコンタクトをとり、家づくりが始まりました。

家の中心を走る渓谷


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外観
西側の外観。駐車スペースを確保するため1階の壁の一部を後退させている。アプローチの30cm角のタイルは、そのまま玄関から階段室の奥の中庭まで続く。
廊下
玄関から階段室を見る。踏板のみの軽快な鉄階段は、中庭までの見通しを妨げないように設計された。
吹抜け
タイルの床のわずかな段差が玄関と階段室を分けている。階段の踏面は染色したゴム材。一方の端を壁面に埋め込むことで安定感を向上させている。
吹抜け
吹抜けの天井高は約6.5m。階段室の高い壁は明るいグレーの珪藻土吹付け。2階の高窓から夕陽が差し込む。
階段室
ハイサイドライトから入り込む光が階段下に美しい影のパターンをつくる。階段の下のシックな家具は最近購入されたもの。


住宅としては決して広くない26坪という敷地面積に加えて、道路に面した西側の正面以外は隣家が迫っているという厳しい条件の中で、どのように快適な住環境をつくり出すか。この課題を前に廣部さんの脳裏に浮かんだのが、以前アメリカ旅行で訪れたコロラド州にある「メサ・ヴァーデ」という渓谷でした。天然の大屋根の下に組積造の集落が佇むこの遺跡の「守られ」かつ「地球に開かれている」感じを、この家で実現してみたいとYさんに提案したのです。
玄関を入って先ず目に飛び込んで来る東西に走る吹抜けは、緩やかにカーブする壁に沿って奥に行くほど間口が広くなり、やがて南側の中庭まで続いています。ここに入り込む日射しが、日時計のように日の出から日没までの太陽の動きを室内に映し出します。この家のタイトル「Gray ravine(グレー・ラビーン)」とは、この吹抜けをラビーン=渓谷と見立てて廣部さんが名付けたものです。


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