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地方で広がる「ウルトラマラソン大会」の魅力

地方で少しずつ大会数が増えつつあるウルトラマラソン。同様に、ウルトラマラソンに挑戦するランナーも増加傾向にあります。いったい、その魅力とは何なのか? 完走に向けたポイントと合わせご紹介しましょう。

三河 賢文

執筆者:三河 賢文

ジョギング・マラソンガイド

フルマラソンの次は「ウルトラマラソン」に挑戦!

フルマラソンを完走後、「もっと長い距離に挑戦してみたい」とウルトラマラソンを目指すランナーが増えています。しかしランナーからは、「フルマラソンとウルトラマラソンは別物」といった声も。いったいウルトラマラソンとは何なのか。取り巻く環境の変化を踏まえつつ、完走に向けたアドバイスまでをご紹介しましょう。

ウルトラマラソンとは?

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フルマラソンからウルトラマラソンへ挑戦するランナーが増加

距離が42.195km(=フルマラソン)を超えるマラソンを、総称して『ウルトラマラソン』と呼びます。日本ではランニングブームが叫ばれて久しいですが、ウルトラマラソンもまた、少しずつ人気を高めてきているようです。これは大会側も同様で、「柴又100K(東京都)」「OSAKA 淀川ウルトラマラソン(大阪府)」など、大都市圏でも次々とウルトラマラソン大会が開催。あるいは「星の郷 八ヶ岳野辺山高原100kmウルトラマラソン」「宮古島100kmワイドーマラソン」「四万十川ウルトラマラソン」をはじめ、すでに20回以上もの歴史を持つ大会まで見ら得ます。中でも、ウルトラマラソンの大会数を増やしているのが地方地域です。
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「みやぎ湯めぐりマラニック」プレ大会のスタート模様

例えば2016年9月10日(土)、宮城県で初めてのウルトラマラソンとなる「みやぎ湯めぐりマラニック」のプレ大会が開催されました。これは実際のコースをランナーに走ってもらい、その様子や感想、あるいはスタッフ側で見えてきた課題を、第1回大会の開催に活かそうというものです。

前後泊必須とされた珍しい大会で、前日は「作並温泉」(仙台市青葉区)、そして当日のゴール後は「秋保温泉」(仙台市太田区)に全ランナーとスタッフが宿泊します。さらにコース上にも「青根温泉」「遠刈田温泉」があり、中にはレース中に温泉へ入浴する参加者の姿も。大会でありながら、その地域を満喫できる大会内容と言えるでしょう。県外からの参加者も多く、走ることのみならず観光的な楽しみも魅力となったようです。
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ウルトラマラソンで出会える素晴らしい景色

ウルトラマラソンは行程が長いため、地域の良さを存分に感じられることでしょう。「みやぎ湯めぐりマラニック」が4つの温泉を繋いだコースになっているように、中には素晴らしい景色の観光スポットを経由したり、歴史を感じられる街並みを眺めながら走ったり。数百・数千人のランナーが、走りながらその地域を「知る」ことができます。

魅力を感じてもらえれば、今度はレース以外でその地域を訪れたり、またリピーターとしてレースに参加してくれたりする可能性もあるでしょう。実際、私も改めてレース後に家族を連れ、観光目的でその地を訪れたことがあります。

ウルトラマラソンの魅力

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ウルトラマラソンでしか味わえない楽しみを見つけよう

ではいったい、ウルトラマラソンは何が魅力的なのか。もちろん人それぞれ感じ方は異なりますが、経験上、次のような点はウルトラマラソン独自のものと言えるのではないでしょうか。

<速く走れる必要はない>
100kmマラソンであれば、制限時間は14時間とされている大会が大半を占めます。これをイーブンペースで考えてみると8分24秒/km。ハーフマラソンやフルマラソンと比べて、1km当りのペースは非常にゆったりしていることが分かるでしょう。もちろん距離が長くなれば疲労が蓄積しますし、途中で給水も必要です。しかし完走を目指すのであれば、何より「100kmを走り(動き)続けられる」ことが求められます。速く走るのは苦手、あるいは少しずつハイペースで走ることが辛くなってきたという方なら、むしろ挑戦しやすいと感じられるかもしれません。

<他ランナーとの交流が多い>

よほど追い込んで走らない限り、レース中でも息があがりません。そのため、走りながら会話を楽しむランナーは少なくありません。“同じウルトラマラソンに挑戦している”という共通点があるため、見知らぬ者同士でも話題が生まれやすいでしょう。また、給水所でも足を止めて休む人が多く、スタッフとの会話も楽しむことが可能です。

さらにウルトラマラソンはまだ競技人口が少ないため、知り合ったランナーと他大会で再会なんていうこともあり得るでしょう。次第に、ランナー同士の輪が広がっていきます。たとえ住んでいる場所が違っても、大会でたびたび顔を合わせられる仲間。とても貴重な関係になるはずです。

<その土地を満喫できる>

大自然の中を走ったり、観光スポットを巡ったり。100kmという距離だからこそ、走ることでその土地の素晴らしさを存分に感じられるでしょう。大会側もランナーに喜んでもらおうと、走り応えがあり、かつ、自然など見どころ満載のコースを用意する傾向にあります。例えば離島で行われる大会では、コースが島一周なんていうことも。車や電車移動では味わえない、その土地の姿に出会えます。

ウルトラマラソンで完走するためには

ウルトラマラソンを完走することは容易ではありません。ここで「ウルトラマラソンを完走したい」という方に向けて、練習や準備などアドバイスをお伝えしておきます。基本的なことですが、是非とも参考にしてみてください。
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まずはウルトラマラソンの特徴を理解しよう

<練習>
◎いつもより長く走る
インターバルやレペティション、ペース走、LSDなど。ランニングにはさまざまなトレーニング方法があります。ウルトラマラソンに向けたトレーニングであれば、まず“長く走る”ことに慣れましょう。例えばフルマラソンまでしか走ったことがないならば、50km・60kmという距離を走ってみる。このとき、ペースは考えなくても構いません。休憩を入れたり、ちょっと歩いてしまったりしても良いでしょう。いつもよりペースを落とし、その代わり長く走ってみる。ペースを落とすとフォームが崩れるランナーは多く、ウルトラマラソンに向けた課題も見つかるはずです。

◎食べながら走ってみる
ウルトラマラソンは長く走る分、どうしても走りながらエネルギーを補給しなければいけません。中には途中でお腹が減ってしまう方もいるでしょう。給水所でも、おにぎりなど固形物を提供する大会が多く見られます。しかし普段、“食べながら走る”という経験はなかなかしないもの。いきなり大会でこれを経験すると、お腹が痛くなったり、揺れによって内臓がダメージを受けてしまったりするかもしれません。LSDなどの際、途中で固形物を補給して走ってみましょう。

◎アップダウンを積極的に
距離が長くなるほど、フラットコースは作りにくくなります。そのためウルトラマラソンに出場する場合、ほとんどの大会はアップダウンがあると考えましょう。その程度はさまざまですが、中には累積標高差が2,000mを超える大会も。急坂での坂道トレーニングも良いですが、長い登り坂を永遠と走り続けるといった経験も活きてくるはず。私はよく休日を使い、少し離れた峠やトレイルコースを走っています。

<準備>
◎シューズ
フルマラソン等と同じシューズで走ろうと考えている方は、ちょっと待って下さい。走りきれないとは言いませんが、もしスピード重視で選んだシューズの場合、ウルトラマラソンのような長時間レースには向いていない可能性があります。ただし、ただソールの厚いクッション性に優れたものを選べば良いというわけではありません。ソールの形状や硬さ、フィット感などから、自分のイメージする走りに合ったシューズを用意しましょう。

◎気候に合わせた服装
14時間にも及ぶ大会では、当然ながら気温や天気が移り変わります。スタートした早朝は気温が低くても、日中に直射日光が当たり、汗だくになるかもしれません。あるいは、途中で土砂降りに遭うことだってあるでしょう。そのため、例えば状況により脱ぎ着できるような服装にしておくと安心です。アームウォーマーやバフ、ランニンググローブなどの小物を活用するのも良いでしょう。なお、ウルトラマラソンには中間点に荷物をドロップ(=預ける)できる場合もあり、ここでウェアの着替えを行うのもオススメです。

その他、給水所の少ない大会であれば、自分で水分や補給食などを持ち運ぶ必要性も出てきます。そうなれば、バックパックも用意しなければいけません。バックパックは身体に合ったものを選ばないと、走行中に擦れるなどトラブルが起きることも。必ず店舗で試着してみましょう。ただし基本的には、“できるだけ身軽である”ことを推奨します。これは荷物が重くなるほど、走る際の負担も増加するため。何かを持って走る場合でも、最小限を心掛けてください。
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一筋縄ではいかない……だから楽しい!

ウルトラマラソンという長丁場では、レース中に何が起きるか分かりません。暑さにやられたり、お腹が痛くなったり。あるいは、普段なら考えられないような部位が痛くなることもあるでしょう。これは、どれだけ経験を積んだベテランでも同じこと。むしろそういうトラブルすら楽しんでしまう、心のゆとりが必要なのかもしれません。ご興味のある方は、ぜひ挑戦してみてください。
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