MAZDA(マツダ)/アクセラ

マツダ・アクセラの走りを進化させた「GVC」とは?

マツダ・アクセラがマイナーチェンジで「G-Vectoring Control(GVC)」という制御を新たに採用した。「走り」の向上のために開発されたもので、マツダ車の走りを引き上げる制御としてアテンザにも採用されるなど採用車種が増えるという。

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド

走りをさらに磨いたマツダ・アクセラ

マツダ・アクセラ

写真は5ドアハッチバックのマツダ・アクセラスポーツ。価格帯は176万400円~331万200円。4ドアセダンは176万400円~331万200円。セダンに設定されるハイブリッドは247万3200円~287万9000円


マツダのCセグメントモデルであるアクセラ。2016年7月にマイナーチェンジを受けて重視している走りをさらに磨き上げた。なにせ「Be a Driver.」をCMで謳うだけあって、内外装のデザインとともに「走り」はマツダにとって重要な要素なのだ。

それは「人馬一体」を謳うロードスターのような「走り」のモデルだけではなく、エントリーモデルとなるデミオからアテンザやCX-5まで、とくに新世代商品群に貫かれているアイデンティティでもある。

G-Vectoring Control(GVC)とは?

マツダ・アクセラ

マイナーチェンジを機に1.5Lディーゼルを新たに追加。1.5Lガソリン、1.5Lディーゼル、2.2Lディーゼル、2.0ガソリン+モーターのハイブリッドと多彩なエンジンバリエーションを誇る。なお、セダンは1.5Lガソリンと2.2Lディーゼルのみで、1.5Lディーゼルは追加されていない


Cセグメントに分類できるマツダ・アクセラも例外ではない。マイナーチェンジにおける最大の見どころは、「G-Vectoring Control(GVC/Gベクタリング・コントロール)」と呼ばれる新技術の採用が目玉で、ハイブリッド車をのぞき全車に標準採用されている。

「GVC」は、駆動トルクを使ってタイヤの能力を最大限活かし、横方向と前後方向の加速度を制御するもの。たとえば、コーナーなどでハンドルを切り始めると、「GVC」が駆動トルクを制御して減速Gをかけることで、フロントに荷重をかけて応答性を向上。前輪のグリップを高めるという仕掛けだ。

従来の一般的なトルクベクタリングは、横滑り防止装置を使ってフロントの内輪にブレーキをかけて旋回性を高める手法が多く、エンジンの駆動トルクを使っているのが「GVC」の新しいところ。

シンプルにいうと、日常域から雨天時から雪上までシーンを問わず操縦安定性を高める機構。クルマがふらつきにくくなるため、安心感が高まり、ドライバー以外の乗員も乗り心地の良さを享受できるという利点がある。

実際にマイナーチェンジ前、後の新旧アクセラを乗り比べると、安定感の高さは想像以上で、曲がりくねった首都高速でもスムーズにドライブできた。元々、アクセラのハンドリングは悪くなかった。しかし新型アクセラは、ボディの傾きがより抑えられている印象で、ステアリングを戻したときの揺り戻しも少なく、終始「ビタッ」と路面を捉えて放さない乗り味を得ている。

これなら、技量を問わず運転が上手くなった気がするだろうし、運転に自信がない人でもより安心感が高まるのではないだろうか。アクセラに続き、兄貴分のアテンザにも「G-Vectoring Control(GVC)」が採用されたが、引き続き採用車種を増やすそうだから楽しみだ。

ディーゼルに「DE精密過給制御」を搭載

マツダ・アクセラ

スポーティさは維持しながらも大人の雰囲気を感じさせるエクステリアに外観もリフレッシュされている。サイズは全長4470×全幅1795×全高1470mm


「GVC」のほかにも、ディーゼル搭載車に「DE精密過給制御」という技術が採用されている。デミオやCX-3、アテンザにも採用されている技術。ディーゼルの過給圧の制御を最適化することで、緻密な燃料噴射を可能になり、エンジンのトルク応答をより緻密にすることができるというもの。こちらは、「GVC」よりも注意深く観察する必要があるが、とくにストップ&ゴーの多い街中でよりスムーズに走れるという恩恵が感じられる。

さらに、こちらもマツダのディーゼルエンジン車にすでに搭載されていた技術だが、ディーゼルの「カラカラ」、「ガラガラ」といったノック音を抑制する「ナチュラル・サウンド・スムーザー」もアクセラに搭載された。といってもディーゼル特有の燃焼音自体がしないのではなく、ノック音は「ナチュラル・サウンド・スムーザー」のアリ、ナシで比較すると若干低くなっている気がするが、エンジン音自体は結構車内にも侵入してくる。

信号待ちなどでアイドリングストップしてしまえば音はもちろん消えてしまうし、速度が高まればロードノイズや風切り音などの音で気にならなくなるが、ほかのメーカーのディーゼル車が相対的に静かになっているいま、車内への侵入音はもう少し低減したほうが興ざめしないかもしれない。

なお、ハッチバックに追加された1.5Lディーゼルターボは、105ps/270Nmというスペックで、圧倒的な加速の伸びは期待できないものの、トルク感があり流れに乗って走る分には力不足はほとんど感じさせない。

走りを楽しみたい人に

マツダ・アクセラ

内装もリフレッシュ。質感の向上も盛り込まれているほか、アクティブドライビングディスプレイの視認性も高められている


さて、マイナーチェンジを受けたマツダ・アクセラは、「GVC」やディーゼル車の「DE精密過給制御」によってスムーズな走りを得ているのは間違いない。さらに、シートメモリーの機能強化や新型のステアリングホイールを用意することで、ドライビングに集中できる環境を提供するなど、地道に改良を施している。

日本のCセグメント車は、プリウスという燃費重視モデルが売れまくっているが、運転をより積極的に楽しみたいという人には見逃せないモデルなのがマツダ・アクセラといえるだろう。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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