郊外に行くほど、安くて広いファミリー向け物件が増える
昨年から中古マンションが活発に売れていることは、本コーナーでも何度か指摘してきました。これに対して「不景気なのに、本当に売れているの?」「実際のところ、どんな物件が動いているの?」といった疑問を持っている方も少なくないかもしれませんね。
そこで、まずは実際に売れた中古マンションの概要を紹介しましょう。図1は、2009年に首都圏で取引が成立した中古マンション、つまり成約物件の平均値を地域別に示したもの。不動産流通ネットワークの東日本レインズのデータです。
首都圏では、東京都区部の価格が一番高くて約3300万円。もっとも安い埼玉県の1500万円台に比べて2倍以上となっています。
東京都区部→神奈川→多摩→千葉・埼玉という具合に、おおむね
時計周りで価格が低くなっていることがわかりますね。
都区部のデータは23区内全体の平均ですから、さらに細かいエリア区分で見ると、もう少し価格差があります。比較的価格の低い城東・城北エリアは2000万円台後半、千代田区・中央区・港区の都心3区では4000万円台後半です。といっても、それほど高くないと思いませんか。
図1のデータからは、都区部より
郊外のほうが、
価格が安くて面積が広いこともわかります。都区部の専有面積が60m2程度なのに対して、多摩方面や埼玉県・神奈川県は60m2台後半と、一回り大きめ。さらに千葉県では約70m2を超えています。都心部ではもっと小さくて、50m2台になるかもしれません。こうした違いが出るのは、購入者のニーズを反映しているからでしょう。
つまり、
郊外に行くほど
ファミリー層に向いた3LDK~4LDKが増えるのに対して、
都心部では
シングルやDINKS向けの1LDK~2LDKが多いというわけです。もちろん、都心部でも大型物件もありますが、郊外に比べると相対的に少ない点は否めません。ファミリー層にとっては、郊外のほうが手ごろな価格帯の物件を見つけやすくなることがわかります。
都区部や横浜・川崎では「新しくて広い物件」が人気
図1からは別の特徴も読み取れます。意外なのは
築年数でしょう。都区部が約16年なのに対して千葉県が約19年と、3年以上も開きがあることです。埼玉県も18年半ばとやや古いですね。マンションは東京都心部から供給が始まり、次第に郊外へ広がっていきました。築年数の古い物件のストックは郊外よりも都心に近いほうが多いはずだと思うのですが、なぜ、
都心に近いほうが新しいのでしょうか。
この理由は、新たに売り出して前出の東日本レインズに新規登録された物件のデータと比較してみるとわかります。
図2は東京都区部のデータで、上段に成約物件、下段に新規登録物件を示したものです。まず築年数を見てください。成約物件は前述の通り約16年ですが、新規登録物件は18年なかばで2年以上も古くなっています。
また、新規登録物件のほうが専有面積は狭くなっています。つまり、物件のストックとしては、築年数が古くて面積も小ぶりな物件が少なくありません。しかし売れているのは、そのうち、より「
新しくて広い物件」というわけです。
神奈川県の横浜・川崎エリアでも同様の傾向があります。築年数は、新規登録物件が約18年なのに対して成約物件は17年弱、専有面積は同じく約63m2に対して約68m2です。「新しくて広い」という点で共通していますね(いずれも東日本レインズのデータ)。
実際のマーケットでは、
2000年以降に大量に供給された
大型タワー物件などが、こうした条件に該当するのではないでしょうか。たとえば、都区部なら
豊洲などの湾岸エリア、横浜は「
みなとみらい21地区」、川崎は「
武蔵小杉」など。いずれも、ここ10年以内に再開発で新築マンションが大量供給されたエリアです。
ちなみに、千葉県や埼玉県は、築年数も専有面積も、新規登録物件と成約物件との間で大きな差がありません。むしろ、新規登録物件より成約物件のほうが古いくらいです。これは、築年の古さよりも価格の安さを重視する購入者が多いからといえるかもしれません。
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