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在宅勤務でワークライフバランスはどう変わる?

在宅勤務(テレワーク)制度を導入する企業が増えています。 これまでは、制度がある企業でも、育児や介護などの事情がある社員や特定の部署の社員が対象、という企業が多かったのですが、最近は、利用できる対象者を増やす企業も増えてきました。今回は、在宅勤務をすると、どのような効果があるのか、実態調査からご紹介します。

平野 直子

執筆者:平野 直子

ふたりで学ぶマネー術ガイド

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在宅勤務(テレワーク)制度を導入する企業が増えている

皆さんの勤め先には、在宅勤務(テレワーク)制度はありますか? 営業担当の方や出張中の方などが外回りをしている時に、ノートパソコンやタブレット端末等でメールをしていたり、資料等を作成するモバイル型テレワーカーの方を喫茶店や電車内等で見かけることが多いです。
テレワークができる環境が整備されてきているね!

テレワークができる環境が整備されてきているね!

在宅型テレワーカーは、自宅で業務を行う働き方のことです。以前は、在宅勤務制度がある企業でも、育児や介護などの事情がある社員や特定の部署の社員が対象、という企業が多かったのですが、最近は利用できる対象者を増やす企業も増えてきました。

ガイド平野にライフプラン相談をされるお客様の中にも、「在宅勤務の日なら、相談時間を調整しやすい」とおっしゃる方もいます。
 

在宅勤務のメリットは?

会社員にとって通勤時間を削減できるということは、時間的にも体力・精神的にもメリットがたくさんあります。特に、育児や介護をしている方や、病気等の治療中の方などは、通勤の負担だけでなく、自宅にいながら仕事ができることで、実現できることも多いでしょう。

実際、在宅勤務を終日実施した人にメリットを聞いたところ、「自由に使える時間が増えた」「通勤時間・移動時間が減った」「業務効率が上がった」「家族と過ごす時間が増えた」「突発的な事態(災害発生、交通機関の遅延、子どもの発熱等)へ対応できた」「病気やケガでも出勤せず仕事ができた」と挙げた方が多くいました(国土交通省「平成30年度テレワーク人口実態調査」より)。

「業務効率が上がる」は、会社にいた方がいいようなイメージだったので意外でした。「9~17時」で会社にいるよりも、「自分の用事をこなしながら、するべき業務はきちんとこなさなければ」という思いが強くなるのかもしれません。
往復の通勤時間も侮れない

往復の通勤時間も侮れない

一方、企業側にとっても「貴重な人材が退職せずに就業を続けてくれる」ことや、「災害等で出社できない時でも業務が継続できる」メリットも大きいといわれています。

また、「生産性の向上」を目指すためにも効果が期待されています。業務上、終日在宅勤務が難しいという場合は、半日休暇や直行直帰等と組み合わせるという企業もあるようです。社員にとっても、取引先への訪問や会議などがある日は、柔軟に対応できると嬉しいですね。

「在宅勤務 求人」などと検索すると、在宅勤務が可能な求人情報を見ることができますので、これから再就職や転職を検討している方は、働きやすい環境の職場探しに役立ててみてはいかがでしょうか?
 

在宅勤務導入のために

メリットが多いとはいえ、「セキュリティ対策や勤怠管理方法、人事評価方法、コミュニケーションの面等で不安があり、在宅勤務(テレワーク)導入に至っていない」企業もあるとのこと。 厚生労働省から委託されている「テレワーク相談センター」では、テレワーク導入を検討する企業に対して労務管理等のコンサルティングを行っています。

また、在宅勤務に取り組む事業主に対する助成金制度もあるようです。勤務先に在宅勤務制度を導入したい(してほしい)とお考えの方は、こうした制度を活用してみてはいかがでしょうか。

テレワーク相談センター
時間外労働等改善助成金(テレワークコース)(厚生労働省HP)
 

在宅勤務で削減できた時間、夫と妻はどう使う?

前出の調査では終日在宅勤務をした結果、「自分のために使える時間が増えた」ことがメリットの1つとして挙げられました。同調査の平成27年度版に「削減できた時間の使い方」について、男女別の回答結果が掲載されていましたので、少し前のデータですがご紹介します。
平成27年度「テレワーク人口実態調査」を元にガイド平野が図表作成(クリックすると拡大表示されます)

平成27年度「テレワーク人口実態調査」を元にガイド平野が図表作成(クリックすると拡大表示されます)


全体としては、「趣味、娯楽、遊びなど」(41.9%)、「睡眠」(31.0%)、「食事・入浴・家事・身の回りの用事」(26.5%)が上位を占めるのですが、小学生以下のお子さんがいる女性(妻)の場合は、「育児・子育て」(56.7%)、「食事・入浴・家事・身の回りの用事」(41.7%)、「買い物」(36.7%)、「家族との時間」(35.0%)が上位を占め、「趣味、娯楽、遊びなど」(25.0%)や「睡眠」(18.3%)は、全体より低くなっています。

一方、小学生以下のお子さんがいる男性(夫)の場合は、「育児・子育て」(31.0%)や「家族との時間」(35.1%)も全体より高くなっていますが、「趣味、娯楽、遊びなど」(40.8%)が最も割合が高く、「食事・入浴・家事・身の回りの用事」(26.4%)や「買い物」(22.4%)は、全体とほぼ同じ割合か、低くなっていました。
 
在宅勤務の日は、家族とゆっくり過ごせるね!

在宅勤務の日は、家族とゆっくり過ごせるね!

複数回答なので、一概には言えませんが、同じ小学生以下のお子さんがいて、終日在宅勤務であっても、夫は自分の時間を優先する人が多いんだな……と思ってしまいました。

せっかく、夫婦のどちらか(または両方)が在宅勤務を導入できたとしても、妻の家事育児の負担が軽くならないと、「働き続けることは難しい」と感じる妻も減らないと思います。最近は、家事や育児をする男性も増えていますが、これからも少しずつ意識をしていっていただけたら、と思いました。

【参考コラム】
30代以降の女性を悩ませる無償労働3C
 

在宅勤務の注意点は?

自宅で勤務をする場合でも、会社員(労働者)には、労働基準法などが適用されます。職場の就業規則などで、在宅勤務の規程などがあるかどうか、あれば内容をしっかり確認しましょう。
効率的に仕事を終えて、趣味やスキルアップの時間に充てるのもいいね!

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また、自宅で仕事をすることで光熱費や日用品、食費など、思いのほか支出が増えてしまったり、生活習慣が乱れてしまったりすることもあります。コラム「在宅勤務で家計の支出は増える? 減る?」で紹介していますので、こちらも併せてご覧ください。

在宅勤務を取り入れて、皆さんとご家族がさらに幸せになりますように!

【関連リンク】
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介護家系図でわが家の介護離職ゼロを目指そう!
夫の家事育児時間、妻の働き方で増える? 増えない?
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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