年金

多様化する女性の働き方と年金制度

ワークスタイルの多様化により、会社員としてだけでなく個人事業主などさまざまな働き方をする女性が増えています。働くことで、将来の自分の年金は自分で増やすことができます。働く女性と年金について雇用からの視点も踏まえて見ていきましょう。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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働く上での男女差別をなくすために施行された男女雇用機会均等法。施行から30年が経過しました

今年は基礎年金制度の導入から30年にあたります。一方、働く女性にとっては、男女雇用機会均等法が施行されて30年となります。また、今年の4月に女性活躍推進法が施行され、301人以上の労働者を雇用する事業主には、自社の女性の活躍状況を把握し、課題を分析したうえで、行動計画を策定・届出が義務づけられました。高齢化が進み、生産年齢人口が減少していく日本においては、社会保障の支え手を増やすためにも、女性が継続して就労することがきわめて重要となっています。働く女性と年金制度の関係を雇用の視点も踏まえてみていきましょう。

<INDEX>
あれから30年。男女雇用機会均等法施行と基礎年金制度導入
女性活躍推進法の施行
仕事と家庭の両立支援と年金制度
第3号被保険者の特徴
種別変更と国民年金基金の関係
 

あれから30年。男女雇用機会均等法施行と基礎年金制度導入

1985年「男女雇用機会均等法」が成立し、翌1986年に施行されました。当時の法律では、募集・採用、配置・昇進の際、女性を男性と均等に取り扱う努力義務が課され、教育訓練、福利厚生、定年・解雇については女性であることを理由とした差別は禁止されました。このとき努力義務であった募集・採用、配置・昇進における差別が禁止されるのは1999年施行の改正時なのでまだ先のことでした。

一方、年金制度では、1970年代後半頃から今後についてさまざまな意見が出されるようになり、それまでは国民年金や厚生年金など各年金制度はそれぞれ独自の制度となっていましたが、各制度共通の一階部分と各制度が独自に上乗せする2階部分という2階建ての体系に変えるという方向性に向かっていったのです。そして1985年4月に基礎年金の導入を柱とする国民年金法等の改正法が成立し、翌1986年4月に施行されました。具体的には、国民年金の加入者を20歳以上60歳未満の全国民とし、国民年金は、それまでの自営業者独自の年金制度から、全国民共通の制度として年金制度の1階部分とし、給付についても基礎年金として全国民に支給する制度とされました。一方、会社員などは厚生年金などの被用者年金と国民年金の両方に加入することとなりました。 
 

女性活躍推進法の施行

今年の4月に施行された「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(通称:女性活躍推進法)」は、自らの意思によって職業生活を営み、又は営もうとする女性の個性と能力が十分に発揮されることが一層重要であるとして、女性に対する採用、昇進等の機会の積極的な提供と活用、性別による固定的役割分担等を反映した職場慣行が及ぼす影響への配慮が行われることとされています。また、職業生活と家庭生活との両立を図るために必要な環境の整備によって、円滑で継続的な両立を可能とすることとされています。

具体的には、301人以上の企業には、自社の女性の活躍に関する状況把握と課題分析をし、それらを踏まえた行動計画の策定・届出・公表が義務付けられました。行動計画に盛り込む選択項目には、「女性の積極採用に関する取組」、「配置・育成・教育訓練に関する取組」、「継続就業に関する取組」、「長時間労働是正など働き方の改革に向けた取組」、「女性の積極登用・評価に関する取組」などが挙げられています。

さらに、女性の活躍推進に関する取組の実施状況が優良な企業は、都道府県労働局への申請により、厚生労働大臣の認定(「えるぼし」マーク)を受けることができるとされています。
えるぼし

※認定マークの「L」には、Lady(女性)、Labour(働く、取り組む)、Lead(手本)などさまざまな意味があり、「円」は企業や社会、「L」はエレガントに力強く活躍する女性をイメージしている。 ※認定は、評価項目を満たす項目数に応じて3段階あり、認定を受けた企業は、認定マークを商品や広告、名刺などに使用することができる。

 
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