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イベントに振り回されない投資とは?

イギリスでの国民投票の結果が、世界の金融マーケットにショックを与えています。イベントに賭けて、読みが外れて、お金を失った人もいます。どうしてイベントに振り回されてしまうのか?これを機会に、イベントとの付き合い方を考えてみましょう。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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イベントで資産を減らす人もいれば、減らす人もいる

英国は国民投票でEU離脱を決めました。ドル円は約7円の円高、日経平均株価は1,200円超の株安です。このイベントに賭けて、残念ながら資産を失った人たちがいます。その一方で、悲惨なイベントに襲われても、資産を増やす人がいる。あるいは、動じない人がいる。この違いはどこにあるのでしょうか?

マーケットは投資家を振り回す

多くの人は、イベントの結果を予測して、どちらかに賭けてお金を増やそうとします。今回のことでいえば、前日までは、残留派の辛勝が予測されていましたから、外貨を買う、株を買い上げるという準備をしていた人がいると思います。

しかし、イベントの結果を当てることは、だれにもできません。むしろ、マーケットは、当てようとする大衆の裏をかくことで、敗者を作り出そうとします。特に、選挙のようなイベントは水物ですから、予測してポジションを持つことは危険です。事実、開票が始まって2時間を経過するころには、残留派勝利の見通しが崩れ、株安円高が始まりました。

噂で買って事実で買え

投資には、「噂で買って、事実で売れ」という格言があります。今回でも、賢く振る舞った人は、この格言に従った人でしょう。前日までの空気に逆らわずにロングポジションを取り、開票が始まればまた、現実の空気に順応してショートポジションを取るというスタンスです。投資では予測しない。予測している大衆の空気という現実に、対応するだけということが大切なのです。

しかし、主観や偏向を持たずに、現実だけを鏡として行動をとるには、相当な観察期間が必要です。定点観測的な情報収集も必要です。本業を持ちながら投資をしている一般の人には、そこまでは時間も注意力も割けないというのが、実態ではないでしょうか?

イベントを無視する投資とは

その意味で、イベントに振り回されない資産運用のもう一つとして、あえてイベントを無視するというスタンスもあります。イベントがあるから何か行動をとるのではなくて、イベントがあろうと無かろうと、いつもコツコツと投資を続けるという「つみたて投資」のスタンスです。

2015年の夏から、乱高下の激しい環境が続いていますが、毎月コツコツと買い続けている人には、円高株安を拾って、けっこう良い仕込みができているはずです。もし10年以上続けることができるなら、「つみたて投資」はイベントの破壊力に負けないしたたかな投資手法です。

イベントを乗り越えて世界は進化する

最後に、英国のEU離脱は、これですべてが決まったわけではありません。英国国民の意思が表明されただけであり、実務的な折衝や合意形成の手続きは、すべてこれから始まるのです。その意味では、今後もさらなる紆余曲折がある可能性があります。EU残留という大逆転という真逆の可能性も消えていません。

世界は、こうしてショックと歓喜を繰り返しながら、対立点を包含し、克服して、新しい時代を作っていくのですね。その時代の変化に、柔らかく対応していくためには、私たちの脳も柔らかくしておかねばなりません。今後もあるイベントに、振り回されない資産運用がしたいものです。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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