賢く生きる3分間マネーハック/賢く生きる 3分間マネーハック

それは価値ある待ちか、それともただの先送りか

お金について「待つ」態度は、プラスの価値を持つときとマイナスでしかないときのふたつあります。あなたはどちらを選びますか。

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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お金において「待つ」ことには2つの意味がある

待つことの価値と先送りのツケ

待つことの価値と先送りのツケ

あなたはお金について「待つ」という感覚をどう考えているでしょうか。

手に入ったお金をただ使うだけの感覚でいるのならそれは何も考えていないということです。宵越しの銭は持たない、というのは「粋」なようですが、要するに何も考えていないということだからです。

マネーハック的には「待つ」はいいことばかりではなく、表と裏のふたつの意味があります。

表の「待つ」ならあなたはお金が増やせるかもしれませんが、裏面の「待つ」ならあなたはむしろお金を失う人生を続けることになるかもしれません。

お金を持って「待つ」は価値を高める

お金についての「待つ」はすでに持ったものがそれを使わずに待つ「表」の面と、まだお金がなかったのに借りて使ってしまいその後返すような「裏」の面があります。

まず、すでにあるお金を今すぐの消費、目の前の出費に用いず残す、ということは「待つことの価値」があります。

それは、今年の1万円は、数年後も同じ1万円ではないからです。

今でこそ超超低金利で年0.01%も利息のつかない異常な時代ですが、お金を今すぐ使わず将来に残すため預けることができればそれは利息を生み出し増えていきます。

短期的には下落リスクもありますが中長期的に経済成長する対象に投資を行うことができれば資産はもっと成長します。分散投資を適切に行い、10年くらいの投資を継続できれば、マイナスになる可能性は低く、平均的には年4%くらいの成長は期待できます。

仮に毎月1万円、ボーナスごと6万円の積立を10年続けられた人があれば、元本240万円を10年後には得たうえ、年平均4%増やせた場合、残高は約296万円までふくらみます。「待つ」意義は大きいわけです。

経済学や投資の世界ではこれを割引現在価値といった言葉と数値に置き換えますが、個人はなかなかそれを感覚的に理解できません。そのためお金を目の前の消費欲に使ってしまい、資産を増やしてもっといろんなことに使うチャンスを逃してしまうのです。

お金を借りて「待つ」、貯める努力の先送りはツケを大きくする

貯めて「待つ」という表の面はお金のポジティブな力が示されていますが、マイナスの力もあります。それは借りてしまったお金にのしかかる利息です。

貯める努力は、そのお金が成長する期待とともに、「お金が必要なときに借りてやりくりせずにすむ」という効果もあなたにもたらしています。

しかし、その場しのぎのマネープランを行っている人は、欲しいものや必要なものを購入するために借金でやりくりします。なお、クレジットカードの分割払い、リボ払い、キャッシングなどもすべて利息のつく借金です。

借金がふくらむ、とよく言いますが、借金は全額返せない限り、利息がつきます。預金や投資が自分の財産を殖やすのとまったく逆で、借金の残高を増やしていくわけです。

50万円の残高を年率14%の利息で借りており、毎月1万円ずつ返済していった場合、なんと75カ月の時間がかかります。要するに75万円も払うということです。3~5年目にまた10万円も借りてしまえば返済が終わるのは数年後に伸びてしまうでしょう。永遠に返し終わらない借金のループに入る人もいます。

借りたお金を返さず先送りすることは、お金で「待つ」ことでマイナスの効果を自分にもたらしています。なお、指定通り返していても、残高ゼロにするまで問題は解決していません。返済ペースを速めることは誰でもいつでも可能です。

先ほどの例も毎月2万円の返済なら30カ月で返し終えられます。返済金額も60万円を割ります。もっと早く、返済開始から6カ月後にはっと気がつき、ボーナスで全額返済すれば、50万円の借金に4万円以下の利息を払って借金生活を終わらせることもできます。

しかし、返済を先送りしたり貯める努力を先送りすることで、人は資産を増やすステージからどんどん遠ざかっていくことになるのです。

賢く「待つ」ことができる人はお金に困らずに生きていくことができる人である

実は同じような年収、同じような暮らしぶりをしていても、お金の「待ち方」はまったく違う人がいるのです。マネーハック的には、どちらが賢いかは明らかです。

今回紹介したお金を待つ選択肢は、どちらを選ぶかで対照的な人生になっていきますが、貯めて増やすことを知っている人は、決して借りて苦労する人生に道を外しません。お金を借りて「待つ」ことは自分の借金を増やすことだと知っているからです。

自分の消費欲もコントロールしながら賢く待つことができる人は、借金返済のためにムダに働きムダな返済時間を使うこともなく、お金に困らず生きていける人になります。

だとすれば頭を切り換えるべきは、すでに借りているお金がある人です。その借金残高をとにかく早く返すまで、消費欲・物欲に負けていけません。

もう少しで会社員にはボーナスの季節です。ボーナスがまとまった収入として入ってくる人は、ここがチャンスです。とにかくリボ残高、キャッシング残高を返していきましょう。

もし「借金返済を言われるがまま待つ」人生を終わらせることができれば、この夏、自由に使えるお金は減ったとしても、精神的にはすっきり過ごせるはずです。そして、今年の冬にはまったく違うステージでお金を使えるようになっていることでしょう。

それでもあなたは、言われるがまま返済期日を「待つ」のでしょうか?

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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