マンション購入術

これからのマンション選びは、街の未来予測が重要

これからのマンション選びにおいては、街の未来予測がとても重要になってきます。なぜなら、今後街の姿はエリアによって大きく差がついていくことになるからです。今から10年20年先の街の姿を予測し、それを理解した上で、自分の価値観にあった住まいを選びましょう。

井口 克美

執筆者:井口 克美

関西の住宅事情ガイド

関西の新築マンションの価格は上昇傾向にありますが、魅力的な立地や史上最低水準の低金利、税制優遇など、マンション購入の環境としては引き続き恵まれた環境が続いています。購入環境から考えると、まだ買い時が続いていると言えるでしょう。

しかしながら、購入するマンション立地については、これからの社会の変化を見据えて選ぶことが重要になってきます。なぜなら、これから街の姿は大きく変化し、エリアによる住宅環境の差が広がっていくからです。今回は、マンション選びにおいて重要なポイントとなる「街の変化」と、それを踏まえたこれからの住まい選びについてお伝えします。
都心

開発が進む都心エリア



開発・整備される街、されない街の格差が広がる

少子高齢化や空き家問題・共働き世帯の増加などもあり、我々を取り巻く社会環境は、今までとは逆の方向に動き始めています。

高度成長期の時代には、人口増加による住宅不足を解消するために、山を切り開き海を埋め立てて街を広げて行きました。そして、都心部はビジネスや商業エリア、郊外は住宅エリアというように住み分けがどんどん進んで、現在の街が出来上がりました。

しかし、人口が減少し空き家が増加する時代になると、家を建てる場所を広げていく必要性がありません。また、高齢化や共働き世帯の増加により、交通や生活利便性を求める傾向が強くなっています。

行政としても、広い範囲でインフラを整備し、維持していくのも効率が悪くなるので、駅から歩けるエリアの住宅環境整備を行う、いわばコンパクトシティの方向に動いています。コンパクトシティとは、駅を中心として半径約1km圏内に、商業施設はもちろん、病院や公共施設、学校などを集め、小さな子供からシニアまで、徒歩圏内で日々の生活が完結できる街のことです。

最近、駅前や都心部での工事が多いと思いませんか?それは、約50年前の高度成長期に建てられた古い建物をこれからの時代に合わせて建て替えをしたり、再開発をしたりしているのです。また、駅の構内に商業施設が次々とできるなど、駅は電車を乗り降りするだけでなく、日々の生活をバックアップする重要な場所になっていくでしょう。

一方で、開発や再整備がされない街もありますので、街の様子や住宅環境にどんどん差が出てくるはずです。住宅地としての価値も、開発や再整備が進んでいるエリアや、もともと住宅環境の評価が高く、大きく変わらないことに価値のある場所は今後も上昇する可能性があります。しかしながら、交通利便性や生活利便性が不便になる街は、住宅地としての評価が下がっていくリスクがあります。

これからのマンション選びにおいては、街がどちらの方向に向かっているのかを見極めることがとても大事になってきているのです。街のインフラは、日々の暮らしに大きく影響を与えることになるからです。

では、将来性のあるエリアを見極めるためには、具体的にどういうところを見ていけばいいのでしょうか?

これからの住まい選びのポイント

理想とするマンション立地は、日々の生活が便利で快適、そして資産価値が落ちにくい場所。欲張りな話ですが、やはりこういうところを探したいですよね。そして、10年・20年とその場所で暮らすわけですから、長期的な視点で判断することが大事です。以下で、そうした街を見極める5つのポイントを考えてみましょう。

■将来性のある街を見極めるための5つのポイント
  1. 人口が増加している(若い人が増えている)
  2. 駅や駅周辺が再整備、再開発されている(予定がある)
  3. 商業施設・病院・学校・公共施設などが新しくできている(予定がある)
  4. 新築分譲マンション(新築戸建て)が、定期的に発売されている
  5. 多世代が暮らしやすい街である

行政のホームページを見れば、今後の街の開発予定や人口推移など街の情報を得ることができます。また、インターネットで駅や街を検索することでいろんな情報を得ることができます。

新築分譲マンション(新築戸建て)の発売に関しては、人気がある場所ではなかなか用地が手に入らないという逆の側面もあるのですが、価格上昇局面においては将来性の高いエリアを中心に発売される傾向が高いのです。

また、子供からシニアまで、いろんな世代の人が快適に暮らせる街かどうかもポイントです。多世代が暮らしやすい街は、将来にわたって街が存続していく可能性が高いからです。

ちなみに、(株)リクルート住まいカンパニーが毎年発表している「みんなが選ぶ住みたい街(駅)ランキング2016」のランキング表を見ると、交通利便性が高く、大型商業施設やレジャー施設が整った大きなターミナル駅が上位を占めていることがわかります。

ランキング

みんなが選ぶ住みたい街(駅)ランキング


例えば、関西では 1位:西宮北口(阪神間)、2位:梅田(大阪市内)、3位:神戸三宮(神戸市)、5位:千里中央(北摂) など、都市機能が整備された大きな駅ばかりです。これらの駅は直近10年の間に再開発や再整備が進み、駅の利便性や周辺環境が整備されていることが人気の要因だと考えられます。

これからは、今まで以上に利便性が重視されるようになり、都心部の交通アクセスや生活施設を上手に使いこなす暮らしがトレンドとなってくるでしょう。

そして、大事なことは、実際に街を歩いてみて自分の目で見て確かめ、感じることです。ただ単に情報を鵜呑みに知るのではなく、自分がそこで暮らす、もしくはそこを日々の生活圏にするという前提でしっかりと、観察することです。

上記の5つのポイントを意識して、できるだけバランスよく、長期的な視点で選んでください。
それは、皆さんの日々の生活を快適にするだけでなく、資産を守ることにもなるからです。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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