株・株式投資/日経平均株価の動向を専門家がチェック

日経平均1万6000円割れ!株安が止まらない理由とは?

16年4月に入り、日経平均は再び1万6000円を割れてきました。この背景には円高があることは間違いありません。そこで今回はどうして円高になっているのか、その理由を探ります。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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日経平均1万6000円割れ!株安が止まらない理由とは?

日経平均1万6000円割れ!株安が止まらない理由とは?

日経平均1万6000円割れ!株安が止まらない理由とは?

16年4月に入り、日経平均は再び1万6000円を割れてきました。今回の日経平均の大幅下落の背景には当然円高があります。逆に為替の影響を受けにくい(そして今、ブームに乗っているバイオ株が牽引する)東証マザーズ指数は年初来高値を更新しています。ここまで、日本の大企業の多くは円安によって業績拡大を重ねてきました。しかし、為替が逆に円高に動いてしまえば、企業業績は逆に悪化することになります。

ではどうして円高になっているのでしょうか? これにはいくつかの理由があります。1つは米国連邦準備制度理事会(FRB)が3月に2016年の利上げ予想回数を当初の4回から2回に引き下げたことです。結果としてドルインデックス自体が下落し、円高の一因となっています。
利上げ見通しの縮小に伴い下落するドルインデックス

利上げ見通しの縮小に伴い下落するドルインデックス

もっとも、(ドルインデックスの)95ポイント前後までの下落なら2015年にも数回に渡り起こっています。しかし2015年は115円を割ることが無かったので、ドルインデックスの下落だけでは現在の円高の説明が付きません。

黒田バズーカと年金筋が演出したプチバブルの反動

そこで2つめの理由ですが、2015年は大きな円の売り手であった(同時に国内株の大きな買い手でもあった)クジラがいました。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)を中心とした年金筋です。年金筋はずっと国内の債券を売却し、外国の株式や債券を(そして国内の株式を)買っていました。つまり円を売って外貨を買い続けていたわけで、2015年はこれがプチバブルを演出していたことになります。しかし、ポートフォリオ変更が完了し、買いがなくなったので、その反動がきているというのが現在の円高の1つの理由でもあると思います。

なお、黒田バズーカ第二弾が発射された2014年10月30日の為替レートは109円程度でした。したがって1年半かけて元に戻ってしまったことになります。ちなみに当時のドルインデックスは87ポイント前後でした。ドルインデックスは今なお、8%程度高くなっているわけで、本来であれば8%程度円安になっているのが普通です。しかし、逆に円高になっているのが現状なのです(もちろん、投機筋によって勢いが出て、オーバーシュートして円高になっている事もあるとは思いますが、その分を差し引いても)。

異次元の金融緩和も限界か・・

ここで異次元の量的緩和で年間に約80兆円もマネタリーベースを増やしているのに、なぜ円高になるのか?と疑問に思うかもしれません。ただ、実際のところ、異次元の量的緩和で印刷されて大量に銀行に供給されている資金の多くは日銀の当座預金に眠ったままで、実質的には市中に出回っていないのです。それを少しでも市中に出回るようにするために、マイナス金利が導入されたわけですが、マイナス金利は実際にはほとんど効果がありません(マイナス金利導入なのに日経平均が下がる理由とは?参照)。一方、異次元の金融緩和をすると長期金利が下がる効果もあるかもしれませんが、10年物の国債の金利はマイナス金利政策導入以降、既にマイナスに突入しており、その意味での効果は限定的ともいえます。おそらく、このあと黒田バズーカ第3弾がいずれ発射されると思われますが、その効果の持続期間は短時間で終わってしまう可能性があります。

つまり、異次元の量的緩和の限界が見えてきた(いくらマネタリーベースを増やしても、もっと市中にお金が出回るようにする本質的なことをやらないと効果がない)ことが分かってきたことも、今回の円高であり、日経平均が大きく下落している要因の一つと考えることも出来ると思います。

参考:日本株通信

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