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床暖房リフォーム 見積り~工事の一部始終をレポート

築15年のマンションの仕事部屋に、床暖房を取り付けるリフォーム工事を行いました。電気かガスか?、見積額は?、実地する上の注意点は?、トラブルも発生? リフォーム工事の一部始終をご紹介します。

山本 久美子

執筆者:山本 久美子

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築15年のマンションで床暖房にしたい理由

15年前に新築マンションを購入したときから「床暖房がほしい」と思っていました。冷え性で、エアコンの風や乾燥が苦手なので、特に冷えが激しい足元からポカポカ暖かい、床暖房が私向きと思っていたからです。

自宅で仕事をするようになると、仕事部屋が角部屋の二面採光(北向きにサッシ、東向きに出窓の2箇所)で、開口部から熱が逃げるために自宅の中で最も寒いというのも困りものでした。

築15年経つと給湯器を交換する時期になるので、「どうせ給湯器を交換することになるなら、床暖房対応の給湯機にすれば無駄がないかもしれない」と思い、ガスと電気の床暖房について、工務店に相談することにしました。

床暖房のリフォームは、電気?ガス?

工務店は、以前取材したこともある地元の工務店を選びました。私が住むマンションの別の住戸で、リフォームの実績もある工務店だったので、すでにマンションの管理規約や基本構造も理解している点も相談先に選んだ理由です。

床暖房には電気式と温水式(ガス)がありますが、ガスより電気のほうが工事の制約が少なく、設置できる可能性が高いといわれています。

そこで、問い合わせたのは、以下の2点です。
○電気・ガスの床暖房が取り付け可能か
○それぞれの工事費用の見積もりはいくらになるか
見積書

電気式とガス式の見積もり


現地調査に来てもらい、それぞれ見積もりを出してもらいました。ガスの床暖房については、工務店を通すより直接ガス工事会社に依頼したほうが安く済むということで、温水式はガス工事会社から提示してもらいました。
当初の見積もり額は、次の通りです。
○電気式:60万円(工務店より見積もり提示)
○温水式(ガス):84万円(東京ガスライフバルより見積もり提示)

厚みイメージ

後付けなので15ミリメートルほど高くなる。仕上げ材は4色の中から選んだ。

マンションの構造が「直床」(コンクリートの床の上に直接フローリング材を貼るもの)なので、いずれも既設のフローリングの上に床暖房を設置する方法になります。そのため、仕事部屋の床はこれまでより高くなります。

見積もりの内訳では、いずれも床暖房にかかる材料費と電気やガスの工事費が大きいのですが、ガスについては床暖房対応可能な給湯器への交換が必要となるため、新しい給湯器の費用の分高くなっています。

一方、電気については今の契約アンペア(40A)を60Aまで引き上げる必要がありました。契約アンペアの交換自体には費用はかかりませんが、基本料金が年間で6739.2円アップすることになります。

給湯器はそろそろ交換する必要があったこと、電気のランニングコストがアップすることなどから、ガスの温水式を優先して検討することにしました。

マンションならではの床暖房後付けの確認事項

ガスの床暖房が取り付け可能かどうかは、いくつかポイントがあります。
(1)床の構造の確認
(2)メーターボックス内に床暖房対応の給湯機が交換できるか(サイズ等を含む)
(3)給湯機から床暖房と設置する部屋まで配管が通せるか
(4)床暖房の室内の床での配管の引込方法やコントローラーの設置場所をどうするか

(1)と(2)については事前調査で確認済みですが、(3)と(4)を確認するために、室内の天井か壁に点検口を開けて実際に目視する必要がありました。

もともと浴室やキッチンに水や湯を送るために、メーターボックスから住戸内に配管を引き込むための穴を空けて筒状の管(スリーブ)を埋め込んでいます。この大きさが小さいと床暖房用の配管が入らない可能性がありますので、そこが最大のポイントでしたが、点検口から配管に問題ないことが確認できました。

工期は通常は2日ですが、私のマンションの管理組合では工事時間が短めに設定されていたので、3日間を予定することになりました。そのほか、温水マットの設置位置を決めたり、見積もりの確認をしたりして、正式に工事を依頼することにしました。

いよいよ工事開始。意外なトラブルも…

1日目は温水パネルの設置と給湯器の交換の予定でしたが、早速トラブルが発生しました。設置する給湯器と同じ商品で排気筒の位置が異なるものを間違って発注していたことが分かり、発注をし直すために給湯器の交換だけ改めて別の日に行うことになってしまいました。

そのために、基本的な工事とは工程が少し異なりますが、工事の様子を紹介していきましょう。
リフォーム前

Before:ビニールで養生して、いよいよ工事開始。

まずは、床暖房用の配管を通します。温水式は一定温度の湯を循環させるために「温水を流す」「戻して温め直す」の2本がセットなのでかなり太いという特徴があります。
スリーブに配管

防火のためにスリーブはモルタルで埋められているので、それを取り除く工事から。2本セットの配管なので、かなり太い。このスリーブは後で再びモルタルで埋める。

次に、フローリングの上に温水マットを敷きます。温水マットの周囲にも、高さをそろえるためのダミーマットを隙間なく敷き詰めます。この間、コントローラー用の穴と電気配線の取り付け、配管を室内に引き込む穴と配管の取り付けなどの屋内配管をしていきます。
温水マット

デスクが窓際なので、温水マットも窓際のほうに配置。温水マットと温水配管をつないでふたをする。

ここからは、2日目。大工工事が主になります。
床が真っ白になったらビスで留めて、その上にフローリング材を貼っていきます。部屋の扉とウオークインクロゼットの扉の2カ所には、段差でつまずかないようにスロープ材を付けます。出入り口の扉を外して、下部をカットしてから再び扉を元に戻します。
出入り口の処理

温水マットと仕上げ材で高くなるため、扉の前にはスロープを付ける。部屋の出入り口の扉は、高くなる分だけ下をカットする。


敷き詰めたフローリング材の周辺、壁との間には、見切部材で仕上げます。こうして床暖房を取り付ける工事が完了します。
リフォーム後

after:フローリングがきれいに敷き詰められた。スロープと見切部材で既存の廊下との段差が緩やかに。

屋内配置

屋内配線完了後。既設の照明スイッチの上下にコントローラーや配管カバーを配置した。


ようやく給湯器を交換。床暖房が稼働してポッカポカ

メーターボックス内

メーターボックス側から見たスリーブからの配管。

初日に交換予定でしたが、遅れて床暖房用の給湯機に交換します。
設置されている給湯器を取り外し、メーターボックス側のスリーブから床暖房用の緑の配管を確認します。新しい給湯器を設置して、配管や排気筒とつなげれば、あとは試運転で最終確認をします。

並行して、浴室とキッチンのリモコンを新しい給湯器用のものに交換します。以前は、浴室側のリモコンにしか追い炊きボタンがありませんでしたが、新しいものはキッチン側にも追い炊きボタンがありました。
給湯器の交換

左:手前が取り外した給湯器。「こんな複雑な構造になっていたのか」と驚いた。奥が床暖房にも対応した新しい給湯器。 右:メーターボックス内に給湯器を設置して、試運転。コンピューターが判断してOKランプが点灯すれば完了。

ようやく床暖房が稼働するようになりました。これまで靴下と室内履きを重ねて履いていたのですが、靴下だけでパソコンに向かえるようになりました。床に座って、資料を分類したりするときには、熱いくらいです。
スイッチを入れてから30分もすれば暖かいですし、仕事をしている間は稼働したままなので、ガス代はどうなるのでしょうか。ガス代はまだ請求されていないのでわかりませんが、昨年と光熱費を比べてみたいと思います。

床暖房のリフォームで一番大変だったのは、仕事部屋の参考図書や資料が多くて、書棚が4本もあったことです。段ボール30箱に入れて和室に移すのに徹夜作業でしたし、元に戻すのも大変でした。おかげで、前より資料類を整理できたというオマケはありますが(笑)。
また、床が15ミリメートル高くなっただけで、書棚の転倒防止用の突っ張り棒のサイズが合わなくなってしまい、別のものを探すという想定外のこともありました。

いろいろありましたが、寒い冬にポッカポカの仕事部屋で過ごせるのは、とっても快適です。仕事もはかどるとよいのですが、どうでしょう。

以上が床暖房リフォームの一部始終です。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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